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上場企業「新型コロナウイルス影響」調査 (5月13日時点)

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公開日付:2020.05.14

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」の対象地域が4月16日に全国に拡大されてから1カ月が経過する。対象期間は、当初の5月6日から5月31日まで延長されたが、一方で感染者数が沈静化してきた地域では緩和措置や解除の動きも出てきた。
 5月13日までに、新型コロナ関連の影響や対応などを情報開示した上場企業は2,601社に達した。これは全上場企業3,778社の68.8%と、約7割だった。業績の下方修正を発表した580社のマイナス分は合計で、売上高が4兆8,405億円と5兆円に迫り、利益は3兆1,148億円と3兆円台に乗せた。
  5月13日までに2020年3月期決算の2,406社のうち、1,081社(44.9%)が決算短信を発表した。このうち、次期(2021年3月期)の業績予想を「未定」とした企業は609社と半数を超え、終息が見えない新型コロナウイルスの企業業績への影響が深刻化している。

  • 本調査は、2020年1月23日から全上場企業の適時開示、HP上の「お知らせ」等を集計した。
  • 「影響はない」、「影響は軽微」など、業績に影響のない企業は除外した。また、「新型コロナウイルス」の字句記載はあっても、直接的な影響を受けていないことを開示したケースも除外した。前回発表は5月7日。


下方修正額、1週間で売上高1兆5,000億円増加 国際石油開発帝石が最大の売上下方修正

 情報開示した2,601社のうち、決算短信や月次売上報告、業績予想の修正などで新型コロナウイルスによる業績の下振れ影響に言及したのは803社だった。一方、「影響の懸念がある」、「影響を精査中」、「影響確定は困難で織り込んでいない」などの開示は879社だった。
 下振れ影響を公表した803社のうち、580社が売上高や利益の減少などの業績予想、従来予想と実績との差異などで業績を下方修正した。業績の下方修正額のマイナスは合計で、売上高が4兆8,405億円、最終利益が3兆1,148億円に達した。
 業績下方修正額は、前回調査時(5月6日時点)で売上高が3兆3,533億円、最終利益が2兆6,016億円のマイナスだったが、1週間で売上高のマイナス幅は約1兆5,000億円、利益も約5,000億円と大幅に膨らんだ。
 原油・ガス開発最大手の国際石油開発帝石(株)は5月12日、「新型コロナウイルス感染拡大の影響によるエネルギー需要の落ちこみ等」を理由に2020年12月期決算の業績予想を売上高4,940億円、最終利益を1,350億円引き下げた。これまで売上高のマイナス幅で最大だったJXTGホールディングス(株)(売上高▲3,500億円)を上回り、コロナ影響による最大の売上減少となった。前回発表以降、新たに業績下方修正を開示した企業では、マスク生産で話題を集めたシャープ(株)が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、納入先工場の稼働低下や生産や物流、販売活動が十分でなかったとして大幅な下方修正(売上高▲1,800億円、利益▲600億円)を公表した。
 このほか、三菱重工業(株)(売上高▲1,086億円、利益▲128億円)、マツダ(株)(売上高▲698億円、利益▲309億円)、(株)ニコン(売上高▲290億円、利益▲100億円)など、3月期決算の発表が迫るなかで、大手メーカーが大幅な下方修正を開示するケースが相次ぎ、業績下方修正額を押し上げた。
 一方、新型コロナウイルスの影響が見通せず、従来の業績予想を一旦取り下げ、「未定」と修正したのは580社中、102社(構成比17.5%)にのぼった。

業績下方修正額の推移(累計)

下2020年3月期は「減収減益」が35.6%で最多、2021年3月期の業績予想は「未定」が半数以上

【2020年3月期決算】
 5月13日までに決算短信で2020年3月期決算を公表した上場企業1,081社(3月期決算の上場企業の44.9%)の業績動向を集計した。2020年3月期決算の最多は「減収減益」で385社(構成比35.6%)。次いで、「増収増益」が同水準の360社(同33.3%)だった。
 増収企業は577社(同53.3%)で、減収企業の504社(同46.6%)を上回った一方、利益面では減益企業が602社(55.6%)で、増益企業の479社(同44.3%)を11.3ポイント上回った。資材高や人材不足などでコストアップ傾向が続くなか、第4四半期以降は新型コロナウイルスの影響が業績ダウンに拍車をかけたとみられる。
【2021年3月期決算見通し】
 次期(2021年3月期)の業績予想は、1,081社のうち、609社(構成比56.3%)と半数以上が「未定」として開示しなかった。新型コロナウイルス感染拡大の終息時期の見通しが立たず、業績予想の算定が困難としている。次期の業績予想を開示した472社では、最多は「減収減益」の190社で、今後の景況感の悪化を見越してシビアに予測する企業が多い。

トヨタ自動車が1兆2,500億円、ブリヂストンが2,000億円の資金借入を公表

 新型コロナウイルスの影響・対応を分類すると、店舗・拠点の休業、サービス停止を開示したのは258社だった。このうち、緊急事態宣言に伴う店舗休業や、休業延長の公表が180社(構成比69.7%)と7割を占めた。5月末までの期限延長で、経過報告や今後の営業スケジュールについての追加の「お知らせ」が増えている。
 「その他」(692社)のうち、プラス効果についての公表は86社で、全体(2,601社)の3.3%にとどまった。マスク、消毒剤など衛生用品関連や「巣ごもり需要」による食料品の需要増、テレワーク実施による設備投資需要など、一部の関連業種は新型コロナウイルスによる、様々な社会の変化が追い風になっている。
 同じく「その他」のうち、金融機関からの資金借入を公表した企業が60社あった。トヨタ自動車(株)は2020年3月期決算短信で、「新型コロナウイルスの影響長期化リスクを見据えた資金動向や市場動向を勘案」し、複数の国内金融機関と総額1兆2,500億円の銀行借入を実施したことを公表。また、ブリヂストン(株)も「新型コロナウイルス感染症影響による当社グループの運転資金需要に対応するため」としてメガバンク3行から2,000億円の新規借入を実施した。
 このほか、報道ベースなども含めると新型コロナに対応して、上場大手企業などが金融機関から資金調達した金額は総額5兆円以上と推計される。終息のタイミングが読めないだけに、事態の長期化に備えて運転資金の確保や手元資金を厚くする動きが広がっている。

決算発表延期が686社、製造業が半数占める

 決算発表(四半期決算の発表なども含む)の延期を公表した企業は累計686社にのぼり、全上場企業3,778社の約2割(18.1%)に膨らんだ。
 業種別では製造業の346社(同50.4%)が最多で、半数を占めた。以下、サービス業79社(同11.5%)、情報通信業64社(同9.3%)、小売業59社(同8.6%)、卸売業48社(同7.0%)の順。
 国内での在宅勤務や、ロックダウンによる海外子会社の決算業務や監査の遅延などが主な原因となっており、海外子会社の決算業務遅延を理由に挙げたのは142社だった。
 142社のうち製造業が106社と7割以上にのぼり、生産拠点や販売市場として海外にグローバルに展開する製造業への影響が特に大きい。
 また、当初の延期発表から、再延期を公表した企業も7社あり、新型コロナウイルスが決算業務に与える影響が長引いている。

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