• TSRデータインサイト

2026年上半期「居酒屋」倒産が過去最多、初の100件超 ~ 値上げと節約志向の板挟み ~

  ビールやウイスキー、日本酒などの値上げに加え、食材や人件費、家賃も上昇し、「居酒屋」には逆風が吹き荒れる。
 値上げすると節約志向を強めるお馴染みさんの足が遠のく。苦しい板挟みで「居酒屋」の倒産が相次いでいる。
 2026年上半期(1-6 月)の「居酒屋」倒産は、過去最多の118件に増加した。バブル崩壊前の1989年以降、最多だった2024年同期の98件を大幅に上回り、上半期で初めて100件を上回った。
 混迷する「居酒屋」倒産を東京商工リサーチが分析した。



 「居酒屋」倒産の118件のうち、原因別では「販売(売上)不振」が105件(構成比88.9%)と約9割を占めた。「赤字累積」の7件を含めると94.9%に達し、業績低迷が倒産に直結していることを示している。
 また、形態別では、消滅型の破産が106件(同89.8%)と大半を占め、回復を見通せずに閉店する姿が浮かび上がる。
 事業規模では、従業員10名未満が115件(同97.4%)で、小・零細規模の「居酒屋」に集中している。

上半期118件、過去最多を更新

 1989年~2026年まで上半期の倒産は、バブル崩壊後の1995年に20件を突破。緩やかに増加し、ITバブル崩壊後の2002年に30件台に突入した。そして、東日本大震災後の2012年に60件台、消費税が5%→8%に引き上げられた2014年に70件台に突入した。
 コロナ禍で休業を迫られ、来店客数も急減した2020年に80件台、コロナ禍明けの2024年に98件まで増加した。

酒場・ビヤホールの倒産件数 年次推移

1回あたりの代金増、飲み会回数減?

 値上げにより5,000円以下の飲み放題が減り、気軽に同僚や友だちを誘いにくくなった。飲み会も週に数回が月に数回に減り、品数も1品減らすなど、利用者側の節約志向が居酒屋の売上減に追い打ちを掛けている。
 コロナ禍を機に、2次会など遅い時間まで飲み歩く人も減った。ラーメン店の倒産も2026年上半期は過去最多だった。こちらは「締めのラーメン」の減少を想起させる。
 40代の会社員は、「居酒屋も高くなり、最近は立ち飲みで時短・節約に努めている」と、飲み会事情を語る。
 短時間の低単価で業績を伸ばす飲み屋さんが増える一方で、居酒屋への逆風はますます強まる恐れもある。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年7月10日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハウスメーカーの倒産、26年上半期9割増の衝撃 ~ 踏み切れない抜本再生、施主の権利保護も重要 ~

コスト高や人手不足などでハウスメーカー(木造建築工事業)の倒産が急増している。2026年上半期(1-6月)は118件発生し、前年同期から約9割増えた。

2

  • TSRデータインサイト

倒産と無縁の税理士業界に異変、2026年上半期は4件発生 粉飾は詐欺罪も、コンプラ違反と健康問題がリスクに

過去、税理士事務所の倒産は半年で、概ね1~2件にとどまっていた。景気状況に相関せず、倒産と無縁の税理士業界だったが、2026年上半期(1-6月)はすでに4件発生した。

3

  • TSRデータインサイト

エブリライブの元従業員、「突然の解雇」に困惑

6月初旬から連絡が取りにくくなっているライブ配信のエブリライブ(株)(東京都港区)が、同時期に大半の従業員を解雇していたことがわかった。  解雇を通知の際、エブリライブ側は従業員に「破産予定のため」と説明したという。解雇された元従業員が東京商工リサーチの取材に応じた。

4

  • TSRデータインサイト

2026年上半期「医療機関」倒産 増勢続く 上半期で2番目の38件、「後継者難」は最多

医療機関の倒産が止まらない。2026年上半期(1-6月)に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は、38件(前年同期比15.1%増)と大幅に増加した。上半期では、2006年以降の20年間で、2024年と2025年の33件を上回り、2009年の39件に次ぐ2番目の高水準となった。

5

  • TSRデータインサイト

愛媛県のいよぎんHDと愛媛銀が経営統合へ  メインバンク取引社数 金融Gでは国内21位に

愛媛県内にある企業のメインバンクシェア57.5%(県内メインバンク取引社数1万966社)の伊予銀行を傘下に持ついよぎんホールディングスと、県内2位で18.5%(同3,542社)の愛媛銀行が、7月24日開催の取締役会で経営統合を付議することを発表した。

TOPへ