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普通法人の「市場退出率」 情報通信が5%で突出 退出法人数は6万5,858社、3年連続で最多更新

~ 2025年「退出法人(倒産+休廃業・解散)」動向調査 ~


 2025年に「倒産」と「休廃業・解散」で市場から退出した普通法人(以下、退出法人)は、6万5,858社(前年比6.8%増)だった。集計を開始した2013年以降、前年の6万1,613件を超え、最多を更新した。

 退出率も過去最高の2.17%で、前年の2.06%から0.11ポイント上昇した。普通法人は302万5,599社(同1.4%増)に増えたが、倒産が8,795件(同2.5%増)、休廃業・解散が5万7,063件(同7.5%増)とそろって普通法人数の増加率を上回り、退出率を押し上げた。
 産業別の退出率は、情報通信業が4.98%で最も高く、以下、卸売業3.06%、製造業2.61%の順だった。

 「2026年版中小企業白書」(中小企業庁)では、2024年度の全業種の「廃業率」は3.7%(前年3.9%)でわずかに低下した。これは「雇用保険事業年報」を基に事業所単位での集計だが、本調査は「倒産」と「休廃業・解散」を企業単位で集計しており算出基準が異なる。
 2016年の退出法人数を基準(指数=100)とした2025年の退出法人指数は163.4で、前年の152.9から10.5ポイント上昇し、過去10年間で最高となった。産業別では、情報通信業が243.6で最も高く、次いで、サービス業他189.5、不動産業172.5と続く。
 2025年は、前年に続き退出率、退出指数ともに過去10年で最高を更新した。足元は円安の定着で原材料コストが上昇するが、中東情勢の不透明さで原油やナフサなどの調達環境にも不安を解消できない状況が続いている。また、金利上昇で資金調達コストも上昇し、負担の増加分を価格転嫁や収益改善で吸収できない企業を中心に、市場撤退が加速する可能性が強まっている。

※本調査は、東京商工リサーチ(TSR)が保有する企業データベースから、「倒産(再建型を除く)」、「休廃業・解散」が判明した普通法人を抽出し、普通法人企業の「退出件数(倒産+休廃業・解散件数)」を集計・分析した。

※普通法人数は、国税庁「税務統計」から年度数値を抽出し、各対象年の退出率の分母とした。
※休廃業・解散件数は、2024年に取材方法を一部改定し、公告情報をトリガーとした解散判定の精緻を高めた。



2025年の退出法人数は6万5,858社 退出率は2.17%

 2025年の普通法人うち、市場からの退出法人数(倒産+休廃業・解散件数)は、6万5,858社(前年比6.8%増)と4年連続で増加し、2013年以降で最多を更新した。
 内訳は、倒産が8,795件(同2.5%増)、休廃業・解散が5万7,063件(同7.5%増)で、ともに前年から増加し、退出法人数を押し上げた。後継者の不在や事業承継に課題を抱える企業を中心に休廃業・解散の増加が目立つ。一方で、倒産は金融支援や準則型私的整理手続きの拡充、M&Aなどで増加率は休廃業・解散に比べ小さかった。
 2025年の退出率は2.17%で、前年から0.11ポイント上昇した。2021年の1.49%を底に、2024年から上昇ピッチを強めており、2年連続で最高を更新した。

退出法人数と退出率の推移


産業別退出率 情報通信業が約5%で突出

 2025年の産業別の退出率(普通法人全体に占める退出法人の割合)は、情報通信業が4.98%で最も高かった。前年4.52%から0.46ポイント上昇し、2016年以降の最高を更新した。2016年以降は一貫して全産業を上回り、2年連続で上昇している。参入障壁が比較的低く、競合が多いなか、価格の安さを競争力の軸としていた事業者の退出が増えているとみられる。
 次いで、卸売業が3.06%と高かった。前年の2.93%から0.13ポイント上昇し、2016年以降で初めて3%台に乗せた。物価高で仕入値が上がった一方で、顧客の流通経路の見直しで取引縮小を迫られた企業、価格上昇分の転嫁が難しい企業が、市場退出を押し上げた可能性がある。
 このほか、製造業2.61%(前年2.57%)、小売業2.51%(同2.25%)、建設業2.13%(同1.90%)、サービス業他1.86%(同1.76%)、不動産業1.36%(同1.34%)で、退出率が前年から上昇した。
 一方、金融・保険業は2.45%(同2.97%)、農・林・漁・鉱業は1.72%(同1.88%)、運輸業は1.67%(同1.75%)で前年を下回った。

産業別 法人退出率の推移

産業別退出指数 情報通信業が243.6で最高

 2016年を基準年(指数=100)とし、退出法人数の推移を指数化した。全産業の2025年の退出指数は163.4で、前年から10.5ポイント上昇し、過去10年の最高値を更新した。
 産業別での最大は情報通信業の243.6で、前年から27.2ポイント上昇した。ソフトウェア開発やホームページ制作などの「情報サービス業」の退出法人数が特に増加し、指数を押し上げた。
 次いで、普通法人数と退出法人数が突出して多く、入れ替わりが激しいサービス業他が189.5で続いた。中分類別の内訳をみると、専門サービス業、飲食店、社会保険・社会福祉・介護事業などで増加が目立った。
 このほか、不動産業が172.5、農・林・漁・鉱業が169.6、運輸業が168.4で続く。
 一方、金融・保険業は125.3で、前年から23.5ポイント低下し、10産業で最も低かった。中分類別では、金融商品取引業・商品先物取引業や保険業の退出法人数の減少が大きかった。
 前年と比較した指数の上昇幅では、最も大きく伸びたのは退出指数が最大の情報通信業で27.2ポイント増。次いで、建設業とサービス業他が各15.7ポイント増、小売業が13.3ポイント増、卸売業が7.7ポイント増で続く。

産業別 法人企業退出指数の推移

◇   ◇  ◇

 2026年上半期(1-6月)の企業倒産(負債1千万円以上)は5,346件(前年同期比7.1%増)で、2021年を底に5年連続で前年同期を上回り、増加率も加速した。
 「上半期」倒産で注目されたキーワードは、「物価高」「人件費高騰」「税金滞納」だ。物価高などで収益確保が厳しい中小企業は、人材流出を防ぐための賃上げが負担になり、「人件費高騰」が一因の倒産は120件(同140.0%増)と2.4倍に急増した。賃上げと連動する社会保険料の支払いに苦慮する企業も増え、「税金関連」倒産も126件(同53.6%増)と増加した。
 物価や人件費などのコスト上昇が続くなか、中東情勢の悪化で原油やナフサなどの石油化学製品の供給懸念も影を落とす。先行きの不透明感は強まっており、退出企業数の増加が続く可能性が高い。

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