決済代行業、業績は過去6年で最高 キャッシュレス決済市場の拡大が背景
~ 2026年「決済代行業」動向調査 ~
7月6日、大阪地裁から破産開始決定を受けた(株)全東信(TSRコード:575448075、大阪市)の倒産で一躍、決済代行業が注目を集めている。
キャッシュレス決済が急速に普及するなか、全国の主な「決済代行業」31社の最新期(2025年1月-2025年12月期)の業績は、売上高合計5,805億円(前期比21.7%増)、利益合計546億円(同30.7%増)と、過去6年間で売上高、利益ともに最高を記録したことがわかった。
決済代行業は、クレジットカード会社などの決済事業者と、飲食店の間に入り決済を代行し、手数料を徴収するビジネスモデルだ。
店側は、早期に現金回収できるメリットがある。だが、決済代行業者は、早期立替払い分をクレジットカード会社から支払いがあるまで繋ぎ資金が生じるため、借入金が過大となりやすい。
市場拡大を背景に、主な決済代行業の業績は好調だが、全東信の破産を受けて、経済産業省は関係省庁と連携して決済代行業者の実態調査を検討していることを明らかにした。これまで登録などが不要で、法的規制が曖昧な業界だったが、今後は大きく変わる可能性もでてきた。
東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースから、全国の主な決済代行業者31社の最新業績を抽出し、分析した。
コロナ禍で広がった巣ごもり需要でEC市場が急成長したが、同時にキャッシュレス決済も普及拡大し、最新期では31社のうち、7割以上(構成比74.1%)の23社が増収だった。
一方、利益は4割以上(同41.9%)の13社が減益だった。中小企業は、加盟店の維持を目的に手数料を下げる動きもあり、利益率が低下するなど業界の二極化が進んでいる。
経済産業省は、将来的な目標としてキャッシュレス比率80%(2025年実績58.0%)を掲げている。だが、競合が激化する中での全東信の倒産は、ビジネスモデルの脆弱さを露呈した格好となった。業界全体として、コンプライアンス意識やガバナンスの強化は必須で、加盟店や消費者を巻き込む決済代行業者の倒産を繰り返さない対策が求められる。
※本調査は、東京商工リサーチの企業データベースから扱い品名・営業種目に「決済代行業」「資金移動業者」を含む企業を対象に、2025年1月-2025年12月期を最新期とする6期連続で業績が判明した31社を抽出、分析した。
決済代行業者の業績は過去6年間で最高
非接触決済への移行やQRコード決済の拡充や、日常的なEC利用などが追い風となり、決済代行業31社の最新期の売上合計は5,805億円(前期比21.7%増)、利益合計546億円(同30.7%増)だった。過去6年間で売上高は約2.5倍、利益は約4.6倍へ拡大し、マーケットも急成長をたどっている。

売上高別 100億円以上の売上合計が約9割
売上高の規模別は、売上高10億円以上50億円未満が14件(構成比45.1%)で最多だった。次いで、同100億円以上が9社(同29.0%)、同50億円以上100億円未満が5社(同16.1%)と続く。一方で、売上高100億円以上の9社の売上合計は5,111億円にのぼり、全体の約9割(同88.0%)を占める。市場全体の売上が拡大するが、大半は上位企業に集中しており、スケールメリットを活かした構造が顕著となった。
前年比の増減収は、最新期は増収23社(構成比74.1%)、減収8社(同25.8%)だった。増収企業は前年から減少したが、トップラインの拡大は続き、市場拡大を背景に未だ7割以上が増収を維持している。一方で、減収の8社のうち、6社は売上高50億円未満の中小企業で、競争環境の厳しさは下位ほど強まっている。

損益別 黒字企業が9割超も、4割以上が減益
損益状況は、黒字企業が29社(構成比93.5%)と全体の9割超を占めた。黒字企業は、1期前に続き29社(同93.5%)で、全体の9割を超える高い黒字割合を維持している。
一方で、全体の4割以上の13社(同41.9%)は減益だった。大手企業による加盟店の囲い込みが激化し、これに対抗するため中小企業は手数料の引き下げ競争を強いられ、利益率が低下し、収益の二極化が顕著となった。
