• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

2026年上半期「障害者福祉サービス」倒産33件 15年間で最多 不正受給で指定取消による倒産も

~ 2026年上半期(1-6月)「障害者福祉サービス」 倒産動向 ~


2026年上半期(1-6月)に発生した、障害者の就労継続支援などの「障害者福祉サービス」の倒産は、33件(前年同期比26.9%増)だった。上半期では、3年連続で前年を上回り、2012年以降の15年間で最多を更新した。
 負債総額は284億4,200万円(同1425.0%増)で、15.2倍に大幅に増えた。これは、(株)絆ホールディングスとグループ3社(負債合計268億7,500万円)が6月22日に会社更生法と破産を申請し、前年同期になかった負債10億円以上が4件発生し、負債を押し上げたため。
 人手不足や人件費高騰、施設管理に伴う水道光熱費など、あらゆる物価高が障害者福祉サービスの収益を圧迫している。さらに、不正受給などのコンプライアンス違反も目立ち、これを一因とした倒産は6件発生した。

 厚労省によると、障害者福祉サービスを展開する事業所は2025年度で17万7,987事業所(前年度比3.4%増)あり、判明している2017年度から8年連続で増加している。ただ、人員基準違反や不正受給などで2025年度に行政処分を受けた障害者福祉サービスの事業所は262件(同129.8%増)で、前年度の2.2倍に増加した。
 各都道府県が行う障害者福祉サービスの質や運営体制、報酬請求の実施状況等を確認する運営指導の実施率は、16.3%と低水準にとどまる。このため、厚労省は2026年6月8日、自治体間の指導格差や運営指導の実施率の低さを是正するため、全国一律の厳格な処分基準を盛り込んだ「集団指導・運営指導マニュアル」を公表した。
 マニュアルの公表で今後、障害者福祉サービスでの報酬改定に加え、行政による監査の目が厳しさを増すことが予想される。ガバナンス体制に不備のある事業者や資金力の乏しい零細規模や新興事業者を中心に、淘汰が加速する可能性が出てきた。
※本調査は、日本標準産業分類の「障害者福祉事業」(居住支援事業、その他の障害者福祉事業)の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。


2026年上半期の障害者福祉サービスの倒産は15年間で最多の33件

 2026年上半期(1-6月)の「障害者福祉サービス」の倒産は、33件(前年同期比26.9%増)で、上半期では2023年の10件から、3年連続で増加した。2012年以降の15年間では最多を更新した。 
 資本金別では1千万円未満が27件(構成比81.8%)と8割を超え、形態別では破産が30件(同90.9%)と9割を占めた。
 事業所の増加に伴い、利用者の獲得が厳しさを増し、一方で2024年の報酬改定で報酬額が減額されるなど、報酬改定が小・零細規模の事業者に大きな影響を及ぼしている。

「障害者福祉サービス」倒産 件数推移

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

三井住友銀行の「メインバンク取引社数」増加 ~ メガバンクで唯一増加、新設・中小企業向け脚光 ~

東京商工リサーチ(TSR)がまとめた「2026年メインバンク調査」で、三井住友銀行がメガバンクで唯一、社数が増加した。他に先駆けてデジタル総合金融サービスをリリースし、取引社数の増加につなげた。

2

  • TSRデータインサイト

「テレビ番組制作会社」の倒産 過去最多タイ コスト上昇と番組制作の予算削減で苦境

2026年1-8月のテレビ番組制作会社の倒産は14件で、同期間では最多の2010年に並んだ。このペースで推移すると、年間では2009年と2012年の21件を抜き、過去最多を更新する可能性が高まっている。

3

  • TSRデータインサイト

「一人で悩まず、まずは早めの相談を」 ~ 中小企業活性化全国本部 インタビュー ~

中小企業の伴走者として、中小企業活性化協議会の存在感が高まっている。 東京商工リサーチは、全国47都道府県の活性協を支援する中小企業活性化全国本部にインタビュー。再生支援の現場経験も豊富な松田正義氏、佐藤友泰氏、茂木俊裕氏の3名から話を聞いた

4

  • TSRデータインサイト

2026年1-8月の「税金滞納」倒産181件、前年超える 税金滞納が事業再建の障壁、破産が97.7%を占める

2026年8月の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、26件(前年同月比73.3%増)と大幅に増加、4月から5カ月連続で前年同月を上回った。1-8月累計は181件(前年同期比58.7%増)に達し、8月で前年の年間160件を上回り、納税(納付)に苦慮する企業が多いことを示している。

5

  • TSRデータインサイト

倒産前の「事業譲渡」 コロナ後に高水準 2025年度は213件、旅館,ホテルが最多

主力事業を他社に譲渡した後、倒産手続きに入る「事業譲渡後の倒産」が、2025年度は213件発生した。2024年度は227件で、2年間の平均は220件となり、前回調査(2019年度-2023年度)の同189件を上回り、増勢が続いていることがわかった。

TOPへ