防犯業界の業績好調、相次ぐ凶悪事件で防犯意識高まる
防犯業界の業績が好調だ。
近年、窃盗や強盗だけでなく、SNSを通じた特殊詐欺や強盗などの「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」に関連した事件が社会問題になっている。こうしたことを背景に、監視や記録する機器など人や財産を守る意識が高まり、防犯業界の業績を押し上げているようだ。
東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースで、需要が広がる防犯業界の業績動向を調査した。
ことし5月、栃木県で起きた痛ましい強盗殺人事件は世間に衝撃を与えた。住人が在宅するなか住宅に押し入る荒々しい手口や、宅配や点検業者を装った凶行など、手口も多様化している。
TSRが保有する440万社の企業データベースを活用し、主な防犯関連企業(セキュリティ機器の製造、販売など)のうち、5期の業績比較が可能な742社を抽出、分析した。
742社の2021年(1-12月)の売上高合計は3,660億円、最終利益は146億円だった。
売上高は増収を続け、2025年の売上高合計は4,405億円(前年比6.0%増)で、2021年から約2割増えた。最終利益もコロナ禍の2023年を底に2年連続で増加し、2025年は196億円(前年比23.7%増)と、2021年から34.2%伸びた。
業界関係者は「昨今の防犯意識の高まりと、原材料や人件費高騰などで各社価格転嫁を進めている」と背景を分析する。

1日47件の侵入窃盗
警視庁によると、侵入窃盗の認知件数は2003年から減少をたどっていたが、2025年は4万7,233件(前年比9.8%増)と増加した。
このうち、住宅を対象とした侵入窃盗の認知件数は2004年から減少傾向にあったが、2025年は1万7,152件(同7.2%増)となった。侵入強盗は1日47件発生している計算だ。自分や家族の身を守るため、セキュリティシステムや鍵の変更、インターホン設置は欠かせない。防犯業界は、犯罪阻止に向け多忙な日々が続いている。
学校が夏休みに入る。これからの時期は子供が巻き込まれる犯罪への警戒が怠れない。手口が巧妙化し、凶悪化が進む犯罪には、時代に即した防犯対策が求められる。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年7月17日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)