倒産と無縁の税理士業界に異変、2026年上半期は4件発生 粉飾は詐欺罪も、コンプラ違反と健康問題がリスクに
過去、税理士事務所の倒産は半年で、概ね1~2件にとどまっていた。景気状況に相関せず、倒産と無縁の税理士業界だったが、2026年上半期(1-6月)はすでに4件発生した。
税務申告に加え、最近は事業承継に関連した業務も手掛けている。ニーズが増えて多忙なはずの税務会計のプロに、なぜ異変が生じているのか。バブル崩壊後の1993年以降、上半期で4件の倒産は初めてだ。年間でも最多は2009年と2015年の5件にとどまる。倒産しない「税理士・会計事務所」だが、倒産がジワリと身近に迫っている。

東京商工リサーチ(TSR)の倒産データベースから、公認会計士事務所を除く、税理士・会計事務所の負債1,000万円以上の倒産を分析した。2026年上半期に倒産した4件の内訳は、税理士法人、会計事務所が各2件で、形態はいずれも破産だった。
東京都内の税理士法人は、給付金の不正受給の指南容疑で当時の代表が逮捕され、解散後に破産した。別の税理士法人は、競合から赤字を計上し、事業継続が困難になった。
会計事務所の2件は、前代表の死去、そして代表の体調悪化で、いずれも代表の健康問題が要因だった。
年間でみると、1993年以降、上半期に倒産が3件発生したのは1993年の1回だけ。2026年までの34年間では、ゼロが15回で平均1件に満たず、ほとんど倒産が発生していない。主だった商品仕入もなく人件費がコストの中心で、資金繰りや損益予想も立てやすい。
だが、士業特有のデメリットもある。税理士資格を代表しか保有していない場合、代表が死去したり、体調不良で事業に取り組めないとたちまち事業継続が困難に陥る。これに逮捕など、コンプライアンス(法令順守)問題や信用失墜が重なると、経営破たんに向けて真っ逆さまに転げ落ちる。
訴訟リスク
TSRの裁判情報データベースで、税理士が被告の事件を検索すると、令和に入って(2019年5月)以降、90件ヒットする。原告が個人の場合もあるが、法人も多い。事件名は損害賠償請求が中心で、税務関連の訴訟リスクも高まっている。
また、近年増えている粉飾決算の発覚もリスクになってきた。粉飾した決算書を利用した融資金搾取で詐欺罪に問われた税理士は、懲役3年6カ月の実刑判決を受けた。国税庁は、不正に所得金額を圧縮した申告書を作成した税理士に対し、業務停止の処分を出している。粉飾や故意の不適切な申告などは、刑事事件や懲戒処分のリスクが生じ、事業継続が困難となることも多い。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年7月24日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)