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「生放送24時間に戻すのは時期尚早」ジュピターショップチャンネル・新森健之社長インタビュー(後編)

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公開日付:2020.08.04

(コロナ以降)生放送に関わる社員の感染防止策は?

 距離を保つのは勿論だが、班分け後は、一切他の班の社員と会わない体制を組んだ。班分けは使用するスタジオによって2つの大きなチームに分け、さらにそこから、それぞれを小さな4班に分け、計8チームに細分化した。“最悪の事態”を想定し、もし感染者が出た場合の感染リスクを最小限に抑える形だ。
 スタッフ、出演者がたとえ一人でも複数のスタジオを出入りしてしまうと、その分、関わってしまう人数も自然と増える。これは、社員だけではなくオンエアに出る取引先のゲストさんも同様。現場はもうひっくり返っていたが、なんとか乗り切れた。

コールセンターも抱えている。注文を受ける体制に変化は?

 一部を収録や再放送にしたとは言え、放送は24時間流している。つまり、24時間売り場は止めていない。コールセンターで毎時注文を受け付けて、配送センターから毎日商品を発送しないといけない。社員やその家族の健康は何より大切で、なるべく政府の要請に寄り添うことを目指したが、出社人数を2割まで落とすのはなかなか厳しく、正直、そこまではいけなかった。会社全体でおそらく6割程度は在宅、残りの4割が出社しているというのがやっとだ。コールセンターも密にならないようにある程度は出社人数を抑えた。
 一方で、お客様が商品を待っている。また、商品を供給してくれているサプライヤーが準備してくれたものを売らないと、彼らの会社、生活にも関わる。非常に大変な時期だった。

現状のオンエア体制は?

 5月18日まで生放送7時間体制を続けた。翌19日から3日間、毎年恒例の特別イベントがあった。お買い得商品がいっぱい出ますよ、という期間。この間だけ12時間生放送に。その後は再び7時間へ。宣言解除後の6月以降、現行の16時間生放送に変更した。生放送に関わる部門については班分け体制を維持しつつ、全社的な運用は緊急事態宣言時に比べると緩やかにした。出社率も一時期よりは上がっている。5割強ほどだ。

生放送は短縮したが、24時間放送は続けた

 生放送以外は、前日に収録したものや、その日の生放送を再放送していた。収録を始めた4月上旬は、撮り貯めたものもなかったので、日に数度放送する「お買い得商品」の録画を何度も流して凌いだ。緊急事態宣言になったからと言って、体裁の整った収録番組をすぐに撮り貯めることはできない。だから、生放送時間を短縮する一方で翌日用の収録を行うということを続けた。

録画放送への移行での苦労は?

 今回、生放送を大幅に短縮したことで、数時間前に流したばかりの放送を再びオンエアするケースが度々あった。従前、うちは生放送しかやっていなかった。そのため、「あれ、この放送、さっきも見たぞ」と疑問に感じられた方が、コールセンターに問い合わせるケースもあった。「どうなっているの」と。それぐらいイレギュラーな対応だった。
 また、商品を販売する際も、放送中、お客様が迷われている間に買い逃さないように「あと5000個です」とか、洋服だったら「白が残りわずかです」と出演者がアナウンスする。しかし、同じものを数時間後に再放送すると、「残りわずかです」と出演者が放送で申し上げた色が実際には売り切れている場合もある。
 オンエアを見て、急いで「白をください」と電話を頂いても、こちらは「すみません、売り切れてしまいました」と申し上げるしかない。そうしたら「売り切れと表示されてないじゃないか」という不満につながる。このような問い合わせが、録画に移行した当初、コールセンターに多く寄せられた。

どのような対策を打った?

 テレビ画面に「生放送」「録画」と表記することに加えて、再放送する商品の選定を厳重に行っている。例えば、翌日に何度か放送する商品については「この商品で再放送して大丈夫か。在庫はあるのか?」とぎりぎりまで入念に確認する。緊急事態宣言後、お客様からもいろいろな声を頂戴したが、段々とどのように放映したら良いのか明確になってきた。それが、放映予定の打ち合わせにも生かされている。

緊急事態宣言後、現場に落ち着きを取り戻せたのはいつ頃か

 コールセンターのアナウンスを緊急事態向けにしたり、放映のテロップ関係や番組内容などの見直し体制ができ、「手を打てた」と思えたのが、宣言が出てから2~3週間後。それぐらい時間を要した。ただ、いまだって完璧な状況ではない。つかみ切れていないことも多くある。

ショップチャンネル図

緊急事態宣言後の放送体制(TSR作成)

コロナ禍での働き方に変化は?

 カメラマンや出演者は基本リモートワークが難しい。自宅で待機してもらうしかなかった。コールセンターも、在宅でお客様からの電話を受けられる機能が一部あるものの、主流ではない。緊急事態宣言時は、三密回避のため、コールセンターでは出勤者の席配置が市松模様になるよう配慮した。向かいと横に誰もいない、そういう状態。今は、出社人数も戻ってきて、アクリル板を立てるなど感染防止対策をとっている。
 今後はコールセンターの在宅人数も増やしたい。近年は毎年のように「100年に1度」と言われる大雨や台風が相次いでいる。いまは鉄道をはじめ交通インフラは、台風等の懸念があると、早くから運行を見合わせる。我々も時代に沿った取り組みが必要だ。

コロナ禍で、非正規社員の解雇問題が連日報道されている

 うちも派遣社員の方にも働いてもらっている。緊急事態宣言中、自宅待機をしていただいた際には休業補償を行い、契約を切るのではなく雇用を守っている。

前期は売上高が過去最高の1,634億円だった。コロナを受け、今期の業績見通しは?

 端的に言えば、コロナ以前は2019年度にたたき出した売上高の更新を狙っていた。達成できるはずだった。しかし、コロナの直撃で4~6月は出鼻をくじかれる形となった。6月は途中から生放送を16時間までに戻した。だが、売上は本来の100%水準には戻っていない。4~6月で生じた差をどう埋めていくか。7月以降は本格的チャレンジの時期と考えて、この3カ月間の気づきをどうやって生かしていけるのかが鍵になる。
 ただ、24時間に戻す予定は今のところない。コロナの感染者が高止まっているこの状況で24時間を決めるのは時期尚早だ。連日の報道にもあるが、第二波の懸念も強い。

コロナでの業績低迷を受け、新卒採用を取りやめる会社も出てきたが

 新卒は毎年、大体15人から20人程度。来年度の採用は今も活発に動いているし、採用人数、予定に変更はない。コロナの年だからといって減らすことはしない。これが100人以上を採用するような大きな企業なら話は別かもしれないが。15、20人という人数だし、この会社の将来を考えると、こういう事態だからといって穴は開けたくない。新卒の採用を始めて14年になる。新卒が育つということは、企業にとって大変な強みだ。骨の髄までショップチャンネルに染まっているという人も会社には必要だと思っている。一方で、キャリア採用に関しては、もしかしたら、現場のニーズ次第で調整していくかもしれない。

顧客の年齢層が高い。今後、若返りを図る予定は?

 我々の顧客データによると34%が60歳代、次いで70歳代(29%)、50歳代(24%)、40歳代(11%)と続く。30歳代、20歳代は合わせて5%以下だ。性別は女性が中心。では、ここで若い世代や男性顧客を意識して急速に開拓するのかとよく聞かれるが、成功率はかなり低いとみている。
 いきなり20歳、30歳代向けの商品や時間を充実させようと思っても、彼らにはすでにSNSをはじめ買い物に出会うツールやチャネルはすでに用意されている。そこに、うちがガチンコで勝負しても分が悪い。
 ただ、モノだけではなく、コト商品の販売も考えている。モノだけを売るのではない。だけど単純に思い出作りでもない、という商品。コトとモノがパッケージになっているような商品だ。その方が、若い世代を含め、男性など性別にも縛られずお客様の層を広げられるとみている。ズバッと固定した世代や性別をターゲットに絞った商品、時間帯を新規で作ると、どうしても(販売の)確率が落ちる。今、うちは毎時間、効率よく売上を上げているので、いきなり実験の場を設けて変えていくとなると、ちょっと厳しい。


 コロナ禍でテレビ放送、コールセンター、物流は、オペレーション体制に大きな変化が生じた。ジュピターショップチャンネルは、この3事業すべてを抱え、大きな変革を迫られた。新森社長はこの春を「現場はひっくり返っていた」「大騒動」と述懐。多くの場面で急速な決断が求められた。
 過去最高の売上を記録した2020年3月期から一転、いまは一旦足止めの状態だ。だが、新森社長は、「(生放送)24時間を望む声もあるが、戻すのは時期尚早。社員の安全にも十分配慮して」と、withコロナ時代に着実な組織運営での業績回復を強調する。


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