• TSRデータインサイト

「建設コンサルタント」 の業績拡大 ~ 災害対策や老朽化修繕など、安全対策が寄与 ~

 2025年1月28日に埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損による大規模な道路陥没事故から1年が経過した。事故を機に、普段何気なく利用するインフラの老朽化を身近に感じた人も多いだろう。工事を直接担うのは建設会社だが、その裏で工事の手法、手順などを設計監理する土木工事の「建設コンサルタント」の業績が好調だ。



 東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースから、建設コンサルタント(建築設計業のうち、土木設計を手がける企業)2,019社を抽出し、各年8月までの1年間の業績を比較した。

 最新期の売上高は1兆7,651億円、最終利益は1,090億円で過去最高だった。6期前以降は毎年増収を継続し、最終利益は1期前は前期比減益だったが、最新期は再び過去最高を更新した。

建設コンサルタントの業績推移
 

 この間、全国各地で多くの豪雨被害などの災害が発生。その復旧や対策強化の需要が業績に寄与している。
 今後も、気候温暖化による台風や大雨など天候の異変で、需要はますます拡大が見込まれる。国土交通省の「河川事業概要2025」によると、過去10年間に約97%の市町村で水害・土砂災害が発生したとされ、予防保全による対策を推進している。同時に、戦後から急速に普及した下水管、上水道などの老朽化も進んでおり、国土交通省によると下図の通り修繕が急務になっている。

建設後50年以上経過する社会資本の割合



 老朽化したインフラ修繕は、周辺住民の安全や交通など、既存の機能を維持したままの工事を求められる。そのため、重機を搬入・設置できる範囲が限られるなど、設計にあたり高度な技術が要求される。そうした業務は今後も増加が見込まれ、建設コンサルタントの果たすべき役割は大きい。
 AIやDXなどを活用した高度な技術を活用するコンサル会社と、旧来の技術に依存せざるを得ないコンサル会社との差別化が加速するだろう。




(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年3月5日号掲載「取材の周辺」を再編集)



人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【2026年3月期決算】役員報酬額1億円以上の開示 過去最多の934人に 社数も387社で最多を更新 上位5人中、外国人4人

2026年3月期決算の上場企業2,198社のうち6月26日12時までに有価証券報告書の提出を確認できたのは9割(90.7%)の1,995社だった。例年と異なり株主総会前に有価証券報告書を提出する上場企業が増えた。報酬額1億円以上の役員を開示した企業は387社、人数は934人で前年の364社・887人を上回った

2

  • TSRデータインサイト

「想定為替レート」 平均1ドル=151.4円 調査開始の2011年以降、初めて対ドル150円を突破

歴史的な円安が加速する中、主な株式上場メーカー103社の2026年度決算(2027年3月期)の期首ドル想定為替レートは、1ドル=150円が60社(構成比58.2%)と約6割を占めた。 調査を開始した2011年3月期首以降の16年間で、「想定為替レート」がドルに対し最安値を更新し、初めて150円を突破した。

3

  • TSRデータインサイト

東証グロースの海帆、資金繰り悪化が表面化

居酒屋経営などを手掛ける(株)海帆は6月26日、弁済が出来ていない民間企業1社に対する1億993万円の債務を巡り、名古屋地裁から預金の差押命令を受けたと公表した。また、5・6月の社会保険料を滞納しており、日本年金機構から商品代金・預金の差押を受けたと明らかにした。

4

  • TSRデータインサイト

「リファラル採用」 企業の半数に広がる 定着率はリファラルが新卒、転職エージェントを上回る

東京商工リサーチは、採用に関する企業向けアンケート調査を実施した。人手不足やAI・DXの普及で転職市場の活況が続き、近年はリファラルやアルムナイ採用も広がっている。特に、リファラル採用は、転職エージェントの紹介より従業員の定着率が高いと考える企業が多いことがわかった。

5

  • TSRデータインサイト

サッカーW杯 日本代表を支える40社 売上1兆円以上8社 設立10年未満も

2026年6月11日、米国・カナダ・メキシコの3カ国共催で、史上最大規模のFIFAワールドカップが開幕する。5月15日、日本代表メンバー26名も発表され、関心が集まるなか、スポンサーシップやパートナーシップなど、サッカー日本代表・日本サッカー協会を支援する企業40社を調査した。

TOPへ