クマ被害対策、企業の7.8%が「対応した」と回答 地区別は東北が9.2%、北海道の2倍と群を抜く
~2026年2月 「クマ出没と企業活動への影響」調査 ~
2026年の啓蟄は3月5日。冬眠していた動物や地中で眠っていた虫たちが春の訪れを感じて外に出てくる時期を迎える。2025年冬は全国でクマ被害が広がった。
クマ出没による企業の対応は、「業務に影響が出たため、対応をした」と回答した企業は1.7%(91社)、「業務に影響は出ていないが、対応をした」が6.0%(313社)で、合計7.8%(404社)に及んだ。また、「業務に影響が出たが、対応できていない」と回答した企業も1.8%(93社)あることがわかった。
地区別で、 「業務に影響が出たため、対応した」企業は、東北が9.2%(466社中、43社)で最も高く、次いで、北海道4.5%、北陸2.6%で、東北は他地区に比べて群を抜いて高いことがわかった。
東京商工リサーチ(TSR)は昨年12月に続き、1月30日~2月6日にインターネットで「クマ出没と企業活動への影響」を調査した。
クマ被害の影響があると回答した企業400社の対応は、「従業員への周知・啓蒙した」82.2%(329社)で、規模別では大企業88.0%、中小企業81.5%でいずれも8割を超えた。また、「護身用グッズを設置、または配布した」は45.7%(183社)と半数近くに及んだ。
従業員への安全配慮や操業停止リスクへの対応が求められるなか、「安全衛生委員会での議論と安全計画書への記載を指示した」と回答した企業もあった。
クマ騒動では、自治体は有害捕獲に必要な人員確保やわな設置、農作物被害対策などに追われたが、狩猟者の高齢化や人材不足で対応にも限界がある。国もクマ対策を重要課題と位置づけ、補正予算で対策費を計上したが、企業のクマ対策は一年を通じて求められることになるだろう。
※本調査は、インターネットによるアンケート調査で、有効回答5,140社を集計、分析した。調査は今回で2回目。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
Q1.昨今のクマ出没の影響について伺います。貴社の業務への影響や対応状況は以下のどれですか?(択一回答)
■クマ対応 「業務に影響は出ておらず、対応もしていない」が9割
回答があった5,140社では、「業務に影響が出ておらず、対応もしていない」が9割(90.3%)に達した。
だが、「業務に影響が出たため、対応をした」1.7%(5,140社中、91社)、「業務に影響は出ていないが、対応をした」が6.0%(313社)で、クマ対策は7.8%(404社)の企業で対応している。一方、「業務に影響が出たが、対応できていない」が1.8%(93社)だった。
規模別では、影響の有無にかかわらず「対応をした」との回答は、大企業が11.0%(388社中、43社)、中小企業が7.5%(4,752社中、361社)で、大企業が3.5ポイント上回った。

業種別 サービス業,娯楽業が最多
業種別で「業務に影響が出た」と回答した企業が最も多かったのは、生活関連サービス業,娯楽業の11.5%(69社中、8社)だった。
以下、農・林・漁・鉱業の11.1%(45社中、5社)、教育,学習支援業の10.0%(20社中、2社)の3業種が10%を超えた。
前回、クマの「影響あり」と回答した業種トップの宿泊業は9.5%(21社中、2社)、物品賃貸業8.5%(47社中、4社)、医療,福祉事業8.0%(99社中、8社)と続く。
レジャー施設の運営企業で、利用者の安全確保のためクマ対策を迫られたようだ。

業種別 影響あるも未対応の企業も
業種別で「業務に影響が出たが、対応はできていない」との回答は、農・林・漁・鉱業が11.1%(45社中、5社)で唯一、10%台に乗せた。
以下、織物・衣服・身の回り品小売業7.6%(13社中、1社)、物品賃貸業6.3%(47社中、3社)、生活関連サービス業,娯楽業5.7%(69社中、4社)、飲食業5.2%(38社中、2社)、教育,学習支援業5.0%(20社中、1社)が5%以上で続いた。
対策を講じる時間、人員を割けず、クマ対策に苦慮する企業が少なくない。

地区別 東北が他地区より対応進む
地区別では、「業務に影響が出たため、対応した」と回答が最も高かったのは、東北の9.2%(466社中、43社)。次いで、北海道4.5%(266社中、12社)、北陸2.6%(152社中、4社)、中部1.03%(679社中、7社)が続く。
東北は「業務に影響は出ておらず、対応もしていない」と回答は63.0%で、他地区に比べかなり低かった。影響がなくても、クマ被害への危機感が強いことを示している。

Q2.どのような対応をしましたか?(複数回答)
■「従業員への周知・啓蒙した」がトップ
クマ被害の対応したと回答した企業(400社)に、どのような対応をしたか聞いた。
最多は、「従業員への周知・啓蒙した」が82.2%(329社)が8割を超えた。特に、小売業92.8%、建設業83.4%、農・林・漁・鉱業83.3%など8産業で8割を超えた。次いで、「護身用グッズを設置、または配布した」が45.7%(183社)だった。
この他、「取引先、または顧客に周知・啓蒙した」、「クマを検知する機器を設置した」「クマ対応のマニュアルを作成した」 、「エサになりそうな樹木を伐採した」など。

「その他」では以下のような回答があった。(一部抜粋)
・クマ対策のビジネスを検討(岩手県、情報サービス業、中小企業)
・熊スプレーを貸与した(千葉県、その他の小売業、中小企業)
・従業員の送迎対応(長崎県、その他事業サービス業、中小企業)
・護身に繋がる備品をキャンペーン(東京都、映像・音声・文字情報制作業、中小企業)
・威嚇するため、音、爆竹、花火等を使用(北海道、その他の生活関連サービス業、中小企業)
・ドローンによる検知飛行実施(秋田県、娯楽業、中小企業)
・猟友会と連携を密にした(新潟県、鉄道業、中小企業)
・クマ対策の新規事業を開始した(京都府、専門サービス業、中小企業)
・熊捕獲設備の新製品開発に着手した(愛知県、金属製品製造業、中小企業)
・就労時間を短縮した。また、社員用の駐車場を変更した(秋田県、機械器具小売業、中小企業)
・対策する機器を依頼され設計した(東京都、専門サービス業、中小企業)
・安全衛生委員会での議論と安全計画書への記載を指示した(東京都、技術サービス業、大企業)
など