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2020年度「賃上げに関するアンケート」調査

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公開日付:2020.07.20

 「新型コロナウイルス」感染拡大の影響が、賃金を直撃している。2020年度に賃上げを実施した企業(一部予定含む)は57.5%で、前年度を23.4ポイント下回り、2016年度以降、最大の下げ幅となった。東京商工リサーチが6月29~7月8日に実施したアンケートを集計した。
 ここ数年、官製春闘の定着で「賃上げ実施率」は80%を超えていたが、新型コロナによる経済活動の停滞で大幅に落ち込んだ。実施率が80%を割り込むのは、2016年度以降で初めて。
 3月27日~4月5日に実施した中間集計では、「実施する(予定含む)」が72.1%、「実施しない(同)」が27.9%だった。わずか3カ月で「実施」は14.6ポイント下落した。
 産業別では、中小企業(資本金1億円未満、個人企業等)の金融・保険業、不動産業、サービス業他で実施率が5割を割り込んだ。また、賃上げ実施企業(規模問わず)の「賃上げ率」は3%未満が57.7%に達し、約6割を占めた。
 新型コロナの終息が長引くと、冬の賞与(一時金)だけでなく、来春の賃上げも厳しい事態が現実味を帯びてくる。可処分所得の下落は消費マインドを冷え込ませ、小売業や卸売業、製造業の業績悪化を誘発し、負のスパイラルに陥りかねない。

  • 2020年6月29日~7月8日にインターネットでアンケートを実施し、有効回答1万3,870社を集計、分析した。
  • 賃上げ実体を把握するため「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)」、「新卒者の初任給の増額」、「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義した。
  • 資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。

Q1.今年度、賃上げを実施しましたか?(択一回答)

「実施率」、過去最低の57.5%
 アンケートの回答企業1万3,870社のうち、「実施した」は57.5%(7,986社)で、定期的な集計を開始した2016年度以降で最低となった。
 規模別では、大企業の「実施率」が65.9%(2,290社中、1,509社)に対し、中小企業は55.9%(1万1,580社中、6,477社)で、10ポイントの差がついた。

賃上げ動向 年度推移

産業別 金融・保険業の「実施率」が3割割れ
 Q1の結果を産業別で集計した。「実施した」の割合が最も高かったのは、製造業で62.8%(3,949社中、2,480社)だった。以下、卸売業60.8%(2,968社中、1,807社)、建設業59.9%(1,624社中、973社)と続く。最低は、金融・保険業の29.4%(170社中、50社)。
 規模では、大企業は農・林・漁・鉱業、建設業、製造業の「実施率」が70%を超えたが、中小企業では70%を超えた産業はなかった。特に、製造業は大企業の73.4%(741社中、544社)に対し、中小企業は60.3%(3,208社中、1,936社)にとどまり、13.1ポイントの開きがでた。
 宿泊業や旅行業、飲食業などが含まれるサービス業他の「実施率」は、大企業が58.3%(365社中、213社)に対し、中小企業は48.1%(2,164社中、1,041社)で半数に届かなかった。新型コロナの影響が大きい業種では、規模が小さいほど賃上げが難しい事を示している。

Q2. Q1で「賃上げを実施した」と回答した方にお聞きします。実施した内容は何ですか。(複数回答)

「ベースアップ」は30.8%にとどまる
 Q1で「実施した」と回答した企業に賃上げ内容について聞いたところ、7,589社から回答を得た。
 最多は、「定期昇給」の84.8%(6,436社)だった。以下、「ベースアップ」の30.8%(同2,344社)、「賞与(一時金)の増額」の23.5%(1,784社)、「新卒者の初任給の増額」の8.2%(623社)など。
 「新卒者の初任給の増額」は、大企業の12.8%(1,380社中、177社)に対し、中小企業は7.1%(6,209社中、446社)で、5.7ポイントの開きがあった。

Q3.賃上げ率(%)はどの程度ですか?年収換算ベース(100までの数値)でご回答ください。

「3%未満」が約6割
 Q1で「実施した」と回答した企業に賃上げ率を聞いたところ、7,589社から回答を得た。
 1%区切りでみると、最多は、「2%以上3%未満」の26.7%(2,027社)。
 次いで、「1%以上2%未満」の23.6%(1,795社)。「1%未満」を含めた「賃上げ率3%未満」は57.7%(4,382社)で6割近くに上る。
 規模別では、大企業の「3%以上」は28.9%(1,380社中、400社)に対し、中小企業は45.2%(6,209社中、2,807社)に達した。中小企業は、人材獲得や定着率を上げるため、身の丈を超えた賃上げを迫られている状況がうかがえる。

賃上げ率


 2020年度の「賃上げ実施率」は57.5%(前年度比23.4ポイント減)で、過去最低となった。さらに、実施率は中小企業が55.9%にとどまる一方、大企業は65.9%で、規模間の財務内容の格差が顕在化した格好となった。
 ただ、中小企業でも実施企業のうち、45.2%の企業の賃上げ率が3%を超えている。中小企業の間でも格差が拡大している。人材確保や定着率などで苦戦を強いられる中小企業にとって、賃金引き上げによる待遇改善は止むにやまれぬ施策ともいえる。だが、コロナ禍で売上や受注の先行きが不透明な状況では、利益の圧迫などで経営に大きな影響を与える可能性もある。
 5月25日に緊急事態宣言が全面解除されたが、その後も新型コロナ感染をコントロールできず、都市部を中心に新規感染者数は再び増加している。
 実施率は、中間集計(3月27~4月5日)より14.6ポイント下落したが、この間の感染拡大で、さらに悪化している可能性もある。経済活動の一段の停滞は、冬の賞与(一時金)だけでなく、来春の賃上げにも影響を及ぼしかねない。新型コロナ感染拡大は、社会や企業活動だけでなく、国民生活にもジリジリと影響を広げている。

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