• TSRデータインサイト

政策金利引き上げ 「1年は現状維持」が59.6% すでに「上昇」が52.0%、借入金利は上昇局面に

~ 2026年2月「金融政策に関するアンケート」調査 ~


 企業の59.6%が、これ以上の政策金利の引き上げに「待った!」を希望していることがわかった。昨年12月19日、日本銀行は政策金利(短期金利)の0.75%程度への引き上げを決定した。2024年3月にマイナス金利解除とイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を撤廃し、同7月の0.25%程度、2025年1月の0.50%程度に引き上げていた。0.50%を上回る金利は1995年以来、30年ぶりの水準となった。
 東京商工リサーチは1月30日~2月6日に企業アンケートを実施し、金利引き上げによる企業活動への影響を探った。この1年間で借入金利がすでに上昇している企業は52.0%に達し、断続的な利上げは多くの企業の資金調達に影響している。
 
 今後の望ましい政策金利の引き上げ時期は、「向こう1年は現状維持」が59.6%で最多だった。「引き下げ」も23.6%あり、企業経営の観点では利上げを望む声は少数(16.6%)にとどまった。
 ただ、メインバンクから「既存の金利より0.5%の上昇を打診」された場合、「受け入れる」と回答した企業は57.0%あった。「金利ある世界」に戻り、企業は借入金利の上昇を織り込んでいるようだ。一方で、受け入れ受容度が低い企業では、倒産や廃業に向かうことも予想される。
※本調査は、2026年1月30日~2月6日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答5,170社を集計・分析した。
資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。前回調査は2025年2月17日公表。


Q1. 日銀は昨年12月に短期金利の誘導目標を0.75%程度に引き上げました。資金調達の借入金利は今後どのように変化すると思いますか?昨年2月の水準と比較して回答ください(択一回答)

◇「すでに上昇」が52.0%
 最も多かったのは「すでに上昇している」の52.0%(5,023社、2,616社)だった。以下、「2026年6月末までに上昇」の25.7%(1,291社)、「2026年7~12月のあいだに上昇」の11.0%(554社)と続く。 
 「すでに上昇」、もしくは「今年(2026年)中に上昇」と回答した企業は合計88.8%に達した。
 「すでに上昇」、もしくは「今後(2026年、2027年以降)上昇する」と回答した企業を業種別(業種中分類、回答母数10以上)でみると、「繊維・衣服等卸売業」や「飲料・たばこ・飼料製造業」など4業種で100.0%だった。

Q1. 日銀は昨年12月に短期金利の誘導目標を0.75%程度に引き上げました。資金調達の借入金利は今後どのように変化すると思いますか?昨年2月の水準と比較して回答ください

Q2.今後(概ね向こう半年)の資金調達の借入金利について、メインバンクより、どのような説明がありましたか?1年以内に受けた説明を基にご回答ください(択一回答)

◇「引き上げ」に言及が過半数
 「今後の金利の話はしていない」が39.9%(5,170社中、2,067社)で最も多かった。以下、「金利引き上げをはっきり伝えられた」は32.6%(1,686社)、「金利引き上げの可能性を示唆された」が26.1%(1,351社)と続く。
 メインバンクと金利の話をした企業を分母(3,103社)にすると、金利引き上げを言及された企業は97.8%に達する。
 「引き上げ」を言及された企業を業種別(業種中分類、回答母数10以上)でみると、 トップが「各種商品小売業」の90.0%(10社中、9社)だった。

Q2.今後(概ね向こう半年)の資金調達の借入金利について、メインバンクより、どのような説明がありましたか?1年以内に受けた説明を基にご回答ください

Q3.メインバンクから今後の資金調達の借入金利について、既存の利率より0.1%、0.3%、0.5%、1.0%の上昇を打診されたと仮定した場合、貴社はどのように対応しますか?(択一回答)

◇上昇幅が上がるほど「受け入れる」は減少
 「受け入れる」と回答した企業は、上昇幅が0.1%では83.5%(4,686社中、3,915社)、0.3%では57.0%(4,511社中、2,573社)、0.5%は34.4%(4,306社中、1,482社)、1.0%は19.2%(4,162社中、800社)だった。上昇幅が増加するほど、割合は低下した。

Q4.今後の短期金利について、貴社の経営への影響を鑑みた場合、どのような推移が望ましいですか?(択一回答)

◇「現状維持」が過半数
 最多は「向こう1年は現状維持」の59.6%(4,300社中、2,566社)。「引き上げ」は16.6%(715社)、「引き下げ」は23.6%(1,019社)だった。
 業種別(業種中分類、回答母数10以上)でみると、「引き上げ」が最も多かったのは「各種商品卸売業」の31.8%(22社中、7社)だった。利上げによる物価高騰の抑制が念頭にあるとみられる。一方、「引き下げ」の割合が最も高かったのは、「洗濯・理容・美容・浴場業」の46.6%(15社中、7社)だった。

Q4.今後の短期金利について、貴社の経営への影響を鑑みた場合、どのような推移が望ましいですか?

Q5.日銀による短期金利の誘導目標の引き上げは、貴社にどのような影響を与えますか?影響の大きいものを3つまで選択ください(複数回答)

◇デメリットへの言及が多く
 最も多かったのは「借入金利の上昇に伴う、損益悪化」の57.1%(4,795社中、2,741社)だった。次いで、「借入金利の上昇に伴う、資金繰り悪化」の35.4%(1,698社)、「借入金の上昇に伴う、設備投資の削減・中止」の24.8%(1,191社)と続く。
 こうしたデメリットへの言及は、「預金金利の上昇」などメリットを大きく上回った。
 規模別でみると、「借入金利の上昇に伴う、損益悪化」は大企業で60.2%(365社中、220社)だったのに対し、中小企業では56.9%(4,430社中、2,521社)だった。規模の大きい企業ほど借入金利の上昇に敏感なようだ。

Q5.日銀による短期金利の誘導目標の引き上げは、貴社にどのような影響を与えますか?影響の大きいものを3つまで選択ください


記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

塗装工事業の倒産が急増、ナフサ供給の陰で ~ 1-4月の倒産、1989年以降で過去4番目 ~

塗装工事業の倒産は、2026年1-4月累計で48件(前年同期比26.3%増、前年同期38件)に達した。1989年以降、2002年の49件に次ぐ4番目の高水準だ。

2

  • TSRデータインサイト

居酒屋の倒産が過去最多ペース、1-4月は5割増 ~ 宴会・飲み放題の価格上昇、客離れ誘発も ~

2026年1-4月の「居酒屋」倒産は88件(前年同期比54.3%増)と急増した。1989年以降、同期間の倒産は2024年の59件を大きく上回り、最多を更新した。東京商工リサーチの企業データベースから1-4月の「居酒屋」倒産(負債1千万円以上)を抽出し、分析した。

3

  • TSRデータインサイト

2026年4月の「税金滞納」倒産40件 中堅以上の企業で増加、破産が9割超

2026年4月の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、40件(前年同月比100.0%増)で、1-4月の累計は70件(前年同期比12.9%増)となった。コロナ禍で、納税猶予などの措置があった2021年1-4月の8件の8.7倍と大幅に増加した。

4

  • TSRデータインサイト

あいちFGと三十三FGが統合に向け基本合意 メインバンク取引企業数が国内16位の金融Gに

金融グループの統合が加速してきた。あいちFG(あいち銀行、1万1,302社)と三十三FG(三十三銀行、7,544社)が経営統合に基本合意したと発表した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年4月「人手不足」倒産 33件発生 春闘の季節で唯一、「人件費高騰」が増加

2026年4月の「人手不足」倒産は33件(前年同月比8.3%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。 4月の減少は2022年以来、4年ぶり。

TOPへ