• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

日中関係の悪化、「悪影響」懸念が26.6% 対策は、調達面で「中国依存の低減」がトップ

~ 2026年2月 「日中関係悪化の影響に関するアンケート」調査 ~


 東京商工リサーチは2月8日の衆議院選挙の投票日直前、日中関係悪化の影響と対策についてアンケート調査を実施した。その結果、日中関係の悪化が企業活動にも悪影響としてジワリと上昇していることがわかった。
 対中ビジネスの受注や販売の見通しについては、「影響はなく、今後も影響はなさそう」との回答が7割(70.3%)を占めたが、2カ月前の前回調査(82.4%)からは12.1ポイント減少した。一方、「すでに受注が減少」、「今後受注が減りそう」との回答は合計26.6%(前回15.6%)と上昇した。
 また、今後の対策予定では、前回と同様、企業の3割以上が「調達面の中国依存の低減」を検討していることもわかった。
 アンケート調査は、企業を対象に1月30日~2月6日の期間でインターネットで実施。前回(2025年12月1~8日)と同様の設問を行い、変化を比較した。
 自民党は1月21日、衆院選の政権公約で、「中国とは開かれた対話を通じ、建設的かつ安定的な関係構築を目指す」としながらも「挑発的な行為には冷静かつ毅然と対応する」と牽制した。
 膠着状態が続く日中関係で、日中ビジネスへの悪影響は次第に広がり、高市政権にとっても難しい舵取りを迫られることになりそうだ。一方、企業もこれまでの中国依存への見直しが加速し、「チャイナリスク」への向き合い方が今後の大きな焦点になる可能性が出てきた。
※本調査は、1月30日~2月6日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答4,839社を集計・分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
※本調査は2025年12月1~8日(有効回答5,645社)に次いで2度目。


Q1.台湾有事に関する国会答弁後、日中の緊張感が高まっています。貴社の受注(販売)はこの影響を受けていますか?

■受注や販売の「減少、減少見通し」は4社に1社
 4,839社のうち、「すでに受注が減少」7.6%(368社)、「今後受注が減りそう」19.0%(923社)で、合計26.6%(1,291社)が日中関係の悪化による悪影響を回答した。前回調査で、悪影響を回答したのは15.6%だったが、約2カ月で11.0ポイント増加し、4社に1社が販売減などの悪影響の見通しを示した。
 一方、「現在は影響がなく、今後も影響はなさそう」が70.3%(3,406社、前回82.4%)と7割。また「すでに受注が増加」は0.7%(38社、同0.2%)、「今後受注が増えそう」は2.1%(104社、同1.7%)だった。

Q1.台湾有事に関する国会答弁後、日中の緊張感が高まっています。貴社の受注(販売)はこの影響を受けていますか?

業種別 「減少、減少見通し」メーカー関連が上昇

 業種別では、鉄鋼業(55.0%)がトップだった。このほか、4位金属製品製造業(48.6%)、5位輸送用機械器具製造業(48.3%)など、製造業が7業種(前回3業種)ランクインした。また、前回は61.9%でトップだった宿泊業は52.3%でやや落ち着いたものの、依然として全体で2番目の高水準で推移している。

「すでに受注が減少」「今後受注が減りそう」業種上位

Q2.今回の日中の緊張感の高まりを受け、貴社は何か対策を採る予定はありますか?検討予定も含めて回答ください。

■トップは「調達依存の低減」、「渡航自粛」はやや低下
 全企業2,409社中、最多が「調達面の中国依存の低減」の32.4%(781社、前回32.4%)でトップ。次いで「中国への渡航自粛」が26.5%(639社、同30.4%)だった。
 前回との比較では、調達依存の低減が同率だったのに対し、渡航自粛を挙げる比率が低下した。
 また、大企業と中小企業との比較では、調達依存の低減は大企業が中小企業より3.3ポイント高かったが、渡航自粛は大企業が中小企業を5.8ポイント下回った。
 その他の回答には、「何もしない」のほか、「在庫の確保」、「新たな販路開拓」などの回答があった。

Q2.今回の日中の緊張感の高まりを受け、貴社は何か対策を採る予定はありますか?検討予定も含めて回答ください。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

3

  • TSRデータインサイト

米穀卸、令和のコメ騒動で25年度の業績急伸 ~ 26年度はコメ価格下落で暗転へ ~

コメ価格の急騰や品不足で市場が混乱した「令和のコメ騒動」が過ぎ去った。コメを供給してきた米穀(米麦)卸売業は4期前と比べて売上高が約2倍、利益(最終利益)は4.5倍と、業績が急拡大したことが東京商工リサーチ(TSR)の調査でわかった。

4

  • TSRデータインサイト

「お弁当屋さん」の倒産、2年連続で過去最多へ ~ コメ価格下落と消費税引き下げもコスト高 ~

「お弁当屋さん」の倒産が急増している。2026年は8月までに83件に達し、これまで最多の2025年(1-12月)の89件超えが確実だ。コメ価格下落の兆しがみえ、食品の消費税率引き下げも控える。だが、肉や野菜などの食材や包装資材、電気・ガス料金の値上がり幅は大きく、経営の重しとなっている

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

TOPへ