• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

動物病院の倒産急増、2年連続の最多 ~ 熾烈な競争と高度化による機器投資が重し ~

 癒しと家族の一員としての存在感で、ペット需要は根強い。だが、動物病院を取り巻く環境は、ここにきて大きく変化していることがわかった。 
 動物病院は、これまで倒産が少ない業種の1つだった。だが、コロナ禍が落ち着いた2024年度から状況が一変。飼い主のシビアな目による競争激化や高度化する医療機器への投資負担で業績が悪化、獣医師の高齢化や人手不足も深刻化している。2025年度(4-1月)は10カ月間で8件の倒産が発生し、2年連続で過去最多を更新した。
 診察や治療技術の向上で、犬や猫の平均寿命も伸びている。一方で、利用者の知識と要求も高まり、専門的な医療機器を揃えた動物病院も台頭し、競争は激しさを増している。

動物病院 過去30年で最多

 動物病院(獣医業)の倒産は、少ないことで知られる。1996年度~2023年度の28年間で、最多は2012年の3件。ほとんど年間0件や1件という状況だった。
 これは地域に根ざした動物病院が、お馴染みさんを相手に手堅く経営地盤を固めていたことが背景にある。だが、ペット人気が盛り上がると、新しい高度な医療機器を備えた動物病院が増えてきた。
 また、ペット保険の普及で、本格的な検査や治療ニーズが高まり、動物病院もその対応策として高度な医療機器の導入を迫られ、投資負担が重くなっている。
 さらに、獣医師や看護師などスタッフの人手不足も問題だ。2024年度は5件のうち2件、2025年度は8件のうち3件が、人手不足が影響した倒産だった。
 他の動物病院に飼い主が流れた売上不振、高度医療機器の導入に収入が追い付かない。そして、終わりのない人手不足。動物病院の経営は、かつての安穏とした時代から激変している。

動物病院(獣医業)の倒産 年度推移



 ペットは家族の一員である。一緒に長く生きるための定期的な健康診断、そして病気になると少しでも負担(苦痛)のない治療をしてあげたい。それは親心だろう。病気になると専門的な技術を持つ医師と高度な医療機器で、助からなかった命も回復することも可能なった。
 これまでは家から近い病院が選ばれたが、いまは深夜でも診察する病院、技術や信頼感のある病院の複数通院も珍しくない。それだけ飼い主も動物病院を見る目が厳しくなっている。ペットは可愛くても、飼い主の目はシビアだ。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

上場企業「個人情報漏えい」、過去最悪ペース ~ 100万件以上、2026年はすでに10件の異常事態 ~

情報セキュリティ対策は、企業の事業継続上でも不可欠な経営課題に浮上している。 AI普及で、より強固な対策が必要なのは当然だが、被害を受けた場合の迅速な対策を示す事業継続計画(BCP)の整備も求められる。

2

  • TSRデータインサイト

リフォーム工事業の倒産、過去最多ペース ~ 資材高と人手不足、値引き要求で「利益なき工事」 ~

住宅ローン金利上昇、地価高騰で中古への視線が熱い。ただ、2026年のリフォーム工事会社の倒産は、1-9月で96件(前年同期比20.0%増)に達し、2002年以降の最多を更新した。このペースだと年間120件を超える。

3

  • TSRデータインサイト

ハウスメーカーの倒産、26年上半期9割増の衝撃 ~ 踏み切れない抜本再生、施主の権利保護も重要 ~

コスト高や人手不足などでハウスメーカー(木造建築工事業)の倒産が急増している。2026年上半期(1-6月)は118件発生し、前年同期から約9割増えた。

4

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

5

  • TSRデータインサイト

年度上半期の「人手不足」倒産 過去最多の240件 深刻な“賃上げ疲れ”、『賃上げ倒産』が1.7倍に増加

2026年度上半期(4-9月)の「人手不足」倒産は、240件(前年同期比17.0%増)と過去最多を記録した。コロナ禍の2021年度同期の26件を底に、5年連続で前年同期を上回った。調査を開始した2013年以降の年度上半期では、これまで最多だった前年同期(205件)を抜いて最多を更新した。

TOPへ