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上場企業「新型コロナウイルス影響」調査 (4月29日時点)

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公開日付:2020.04.30

 大型連休(GW)に入っても、新型コロナウイルス感染者数は全国で増加をたどっている。
 4月16日、政府が全国に発令した5月6日までの「緊急事態宣言」も期間延長が現実味を帯びるなか、外出自粛や休業要請が広がるにつれて企業活動への影響が深刻さを増している。
 4月29日までに、新型コロナ関連の影響や対応などを情報開示した上場企業は1,929社に達した。これは全上場企業3,778社の51.0%と半数を超えた。
 業績の下方修正は、当初予想から売上高3兆1,416億円、最終利益2兆3,646億円が消失した。
 2020年3月期の決算企業を中心に、決算発表の延期は399社(上場企業の10.5%)にのぼった。さらに、4月29日までに2020年3月期決算を163社が発表したが、このうち次期(2021年3月期)の業績予想を「未定」とした企業は約7割(66.8%)に達する。終息時期が見えない新型コロナの影響は世界に広がり、グローバル展開する上場企業の業績見通しは不透明感を深めている。

  • 本調査は、2020年1月23日から全上場企業の適時開示、HP上の「お知らせ」等を集計した。
  • 「影響はない」、「影響は軽微」など、業績に影響のない企業は除外した。また、「新型コロナウイルス」の字句記載はあっても、直接的な影響を受けていないことを開示したケースも除外した。前回発表は4月23日。

日産、三菱自、デンソーなど自動車関連が相次いで大幅下方修正、売上減少は3兆円超え

 情報開示した1,929社のうち、決算短信や月次売上報告、業績予想の修正などで新型コロナウイルスによる業績の下振れ影響への言及は501社だった。このうち、359社が、売上高や利益の減少などの業績予想、従来予想と実績との差異などで業績を下方修正した。
 また、新型コロナウイルスの影響が見通せず、従来の業績予想を一旦取り下げて、「未定」に修正した企業は40社にのぼった。
 業績の下方修正分のマイナスを合算すると、売上高が3兆1,416億円、最終利益が2兆3,646億円に達した。「影響の懸念がある」、「影響を精査中」、「影響確定は困難で織り込んでいない」などの開示は633社だった。
 売上高の下方修正額の合計は、前回発表(4月22日集計)時で2兆1,799億円だったが、わずか1週間で約1兆円が上乗せされ、3兆円を超えた。前回発表以降で、パナソニック(株)(TSR企業コード:570191092)が2020年3月期の売上予想を2,500億円引き下げ、全体で2番目の大幅な下方修正幅となった(利益は100億円の上方修正)。また、三菱自動車工業(株)(TSR企業コード:290569729、売上高▲1,800億円、利益▲310億円)や日産自動車(株)(TSR企業コード:350103569、利益▲1,600億円)、(株)デンソー(TSR企業コード:400026295、売上高▲1,100億円、利益▲1,570億円)など、自動車関連メーカーが相次いで大幅な業績下方修正を公表した。自動車関連の各メーカーは、世界的な減産の影響が続いており、日本の基幹産業でもあるすそ野の広い自動車産業のダメージが懸念される。

製造、サービス、小売の3業種で7割以上

 新型コロナウイルスの影響を主な要因とした業績下方修正は、前回発表(4月22日集計)時で275社だったが、その後1週間で84社が新たに開示し359社に拡大した。
 業種別では、製造業が最も多く146社(構成比40.6%)と4割を占めた。サプライチェーンの乱れや市場縮小などで業績予想に狂いが生じた。
 次いで、サービス業68社(同18.9%)、小売業58社(同16.1%)と、個人消費関連の業種が続き、上位3業種で全体の75.6%を占めた。

3月期決算企業 次期の業績予想「未定」が6割以上

 4月29日までに決算短信で2020年3月期決算を公表した上場企業(163社)の業績動向を、集計した。最多は「減収減益」の60社(構成比36.8%)。次いで、「増収増益」が同水準の57社(同34.9%)とほぼ並んだ。また、増収企業(82社)と減収企業(81社)、増益企業(78社)と減益企業(85社)も、ほぼ拮抗している。
 一方、次期(2021年3月期)の業績予想は、163社のうち、108社(構成比66.2%)が「未定」として開示しなかった。現時点では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う業績への影響について、合理的な算定が困難としている。国内外の感染拡大の終息の見込みを筆頭に、緊急事態宣言下での店舗・サービスの休業、国内消費の停滞、海外の生産体制や材料調達など、流動的な要素が多く、今期の業績見通しが立たない企業の苦境を浮き彫りにしている。
 次期の業績予想を開示した企業55社では、最多は「減収減益」で、20社(構成比12.2%)あった。また、2020年3月期に続き、2期連続で「増収増益」を見込んでいるのは13社(同7.9%)で、全体の1割に満たなかった。

上場企業 2021年3月期業績予想

決算発表の延期が全上場企業の1割を超える

 3月期決算の発表時期を控え、決算発表を例年のスケジュールから先延ばしする動きが加速している。決算発表(四半期決算の発表なども含む)延期を公表した企業は累計399社となり、全上場企業(3,778社)の1割を上回り、前回発表(168社)の2.3倍に拡大した。
 海外子会社の決算や監査業務が進まない点と、国内でも在宅勤務の実施などで決算集計を終えることができない点が主な要因。3月期決算の発表(決算短信の開示)は従来、5月の大型連休後に集中するが、今年は多くの3月期決算の開示が大幅にズレ込みそうだ。
 店舗・拠点の休業、サービス停止を開示した企業は242社だった。このうち、緊急事態宣言を契機に店舗などの休業や、従来の休業範囲の拡大や延長を公表したのは判明分で174社(構成比71.9%)にのぼった。
 休業期間の延長などをアナウンスするケースも相次いでいる。「緊急事態宣言」の期間が延長された場合、飲食業や小売業などの個人消費関連の業種では、深刻な影響がさらに広がることが懸念される。

新型コロナウイルス関連の特別手当を支給する企業も

 新型コロナウイルスの影響では、従業員などに手当の支給を公表する企業も相次いでいる。
 小売業では、営業継続する店舗で勤務する従業員向けに各種の手当を支給するケースもある。また、在宅勤務の費用補填を目的とした「在宅勤務手当」、逆に在宅勤務体制をとっているにも関わらず業務上、出社しなければならない従業員向けの「出勤手当」や「危険手当」を支給する企業も目立つ。新型コロナは企業に福利厚生だけではなく、社員の安全性への配慮やモチベーション維持などにも目を向けさせる機会になっているようだ。

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