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全国「老舗企業」調査 ~ 創業100年超は2万7,441社、北海道が急増 ~、信用調査、与信管理、倒産情報は東京商工リサーチ。

公開日:2012.08.02

全国「老舗企業」調査 ~ 創業100年超は2万7,441社、北海道が急増 ~

 全国で2012年に創業100年超の老舗企業は2万7,441社あることがわかった。前回(2009年8月)の調査より6,426社増加した。地区別では、東京都を含む「関東」(構成比30.0%)に約3分1が集中し、業種別では「清酒製造業」、「旅館、ホテル」、「呉服・服地小売業」の3業種が上位を占めた。老舗率(企業数に占める老舗企業の割合)は、古くから温泉地で栄え、漁業や眼鏡枠製造、薬売など地場産業が活発だった「北陸」が2.0%でトップ。一方、老舗企業率が0.67%と最も低かった北海道は、1910年に国策の第1期拓殖計画が始まり、前回(455社)から718社に急増した。屋号では、姓にあやかった「田中屋」、「井上商店」、「木村商店」が御三家だった。


  • 本調査は、東京商工リサーチの企業データ約244万3,000社から、創業が1913年以前の企業を抽出し分析した。
  • 100年超企業には2012年に100年目を迎える企業を含む。
  • 創業年について
    創業が「〇〇年間」等のように元号もしくは時代のみ判明した場合は、その元号もしくは時代の最終年を創業年とした。ただし、江戸時代は前・中・後期が判明している場合は、それぞれ1700、1800、1868年とした。
  • 業歴年数の算出方法
    1. 基準年月と創業年月を月換算する
      基準年月(2012年12月) = 2012×12+12 = 24156ヶ月
      創業年月(1900年10月) = 1900×12+10 = 22810ヶ月
      ※月が不明の場合は月をゼロとする(1900×12+0)
    2. 月ベースの業歴を算出する   基準年月(24156)- 創業年月(22810)= 1346ヶ月
    3. 年に直す       1346(ヶ月)/12(ヶ月)= 112.166666666667
    4. 整数部を業歴とする         業歴 = 112年

業歴別 「100年以上200年未満」が9割

 業歴別は、「100年以上200年未満」が2万4,924社(構成比90.8%)で圧倒的に多かった。以下、「200年以上300年未満」835社(同3.0%)、「300年以上400年未満」582社(同2.1%)の順で、「500年以上」も158社(同0.5%)あった。

 宗教法人を除き、最も創業が古かったのは社寺建築の(株)金剛組(大阪府)で、578年創業で業歴1435年。飛鳥時代に四天王寺建立のため創業。現在は新会社が2006年に旧金剛組から事業継承している。次いで、いけばなの(財)池坊華道会(京都府)が587年創業で業歴1426年。3位は武田信玄や徳川家康も訪れたと伝えられる(有)西山温泉慶雲館(山梨県)が705年創業で、業歴1308年と続く。業歴1,000年以上を誇る老舗企業は7社で、旅館、建築工事、鐘・農機具鋳物製造、宗教用具製造などが占めた。業歴の上位30社のうち、ほぼ半数の13社が湯治場の老舗旅館だった。千年以上も前から温泉が町を興し、地域の中心に育っていたことがうかがえる。


老舗企業 業歴ランキング


時代別 「明治」が8割

 創業年の時代別では「明治」が2万1,746社(構成比79.2%)で、約8割を占めた。次いで、「江戸」3,800社(同13.8%)、「大正」1,578社(同5.7%)、「安土桃山」107社(同0.3%)の順。

 明治は、江戸幕府の封建制度の終焉に伴い、文明開化で西洋文明を積極的に取り込んで文化が多様化していた。また、政府主導で殖産興業が推進され、各地で様々な企業が産声を上げた。  

 1872年(明治5年)に富岡製糸場(群馬県)が国策事業として創業され、生糸輸出に力を注ぎ、日本銀行が創立された1882年(同15年)には輸出が輸入を上回り、日本の貿易立国の礎を築いた。

 さらに時代をさかのぼると、古刹(由緒ある古い寺)や名刹(有名な寺)の宗教法人を中心に「飛鳥時代」8社、「古墳時代」5社、「弥生時代」2社も確認された。

業歴別・時代別 老舗企業

地区別 トップは「関東」、老舗率トップは「北陸」

 地区別の老舗企業数は、「関東」が8,255社(構成比30.0%)で最多だった。以下、「近畿」4,912社(同17.9%)、「中部」4,384社(同15.9%)と、大都市圏の3地区で約6割(同63.9%)を占めた。最も少なかったのは、開拓後140年あまりの「北海道」で718社(同2.6%)だった。  

 北海道は前回調査から増加率57.8%増と平均(30.5%増)を大きく上回った。産業別にみると、前回調査から小売業(28.2%増)が大幅に増加し、第1期拓殖計画で道路、橋梁、排水事業など社会インフラを中心に生活密着型の産業が増えた。次いで、増加率が高かったのは、「九州」(33.4%増)で、鹿児島本線開通(1909年)や吉都線開通(1913年)など、鉄道開発で人の移動がダイナミックに変化し起業環境が激変した。こうした事情を反映して、鹿児島県(48.1%増)、宮崎県(46.0%増)、佐賀県(43.2%増)などで大幅に増えた。

 老舗率(企業数に占める老舗企業の割合)は、「北陸」が2.0%でトップ。北陸は眼鏡枠製造の福井県(同2.1%)、薬の行商で発展した富山県(同2.0%)が押し上げた。

 次いで、「東北」の1.7%で、温泉のほか、鋳物で歴史のある山形県(同3.0%)、天然秋田杉で林業や関連産業が発展した秋田県(同2.0%)、酒蔵が多く安土桃山時代に始まった会津塗で有名な福島県(同2.0%)が牽引した。最も低かったのは「北海道」(同0.6%)で、開拓の歴史の浅さが表れた格好となった。 


都道府県別 「東京都」が1割を占める

 都道府県別では、「東京都」が3,003社(構成比10.9%)で最多。次いで、「大阪府」1,614社(同5.8%)、「愛知県」1,514社(同5.5%)と続く。1,000社超は、「京都府」1,259社(同4.5%)、「新潟県」1,121社(同4.0%)を加えた5都府県。

 一方、最少は「沖縄県」の16社(同0.06%)。次いで、「宮崎県」130社(同0.4%)、「鳥取県」160社(同0.5%)、「高知県」173社(同0.6%)と、南九州、中国、四国が下位に集まる。

 江戸時代から政治経済の中心地だった「東京都」、浪花商人が交易を支え「天下の台所」を持つ「大阪府」、中部の中心「愛知県」、かつて都だった「京都府」が上位に顔をそろえている。5位の「新潟県」は、北前船の拠点で物流の要衝として古くから栄えたほか、気候的に米どころの利点を活かし清酒製造業、和釘や和包丁など金属加工業も発展した。

都道府県別 老舗企業

産業別 「製造業」「卸売業」「小売業」で7割

 産業別では、「製造業」7,294社(構成比26.5%)、「卸売業」6,449社(同23.5%)、「小売業」6,406社(同23.3%)、「サービス業他」2,817社(同10.2%)、「建設業」2,570社(同9.3%)の順。地域経済を支えた「製造業」や「卸売業」、「小売業」の3産業で約7割を占めた。

 また、「金融・保険業」は156社(同0.5%)、「情報通信業」は135社(同0.4%)だった。「情報通信業」は、新聞社や出版関係が中心で、1872年創業の(株)毎日新聞社、1913年創業で今年創業100年目の(株)岩波書店などがある。

 江戸時代に発展した両替商を起源とする銀行や、生命保険・損害保険会社は、明治時代の創業が少なくないが、バブル崩壊後の金融再編、1998年(平成10年)の銀行持株会社解禁で統合・再編が急速に進み、創業年月を定めない金融機関も散見される。


業種別 「清酒製造業」がトップ

 業種別では、「清酒製造業」が763社(構成比2.7%)で最多。須藤本家(株)(茨城県)は1141年(平安時代)創業、現当主は55代目で国内最古の酒蔵。日本酒の酒蔵は新潟県や京都府、兵庫県などにも多い。次いで、「旅館,ホテル」624社(同2.2%)で、705年創業の(有)西山温泉慶雲館(山梨県)、717年創業の(株)古まん(兵庫県)、718年創業の(有)善吾楼(石川県) など、有名な温泉地で飛鳥時代から奈良時代に創業された古湯治場が多い。「呉服・服地小売業」は598社(同2.1%)だった。

 上位10位を業種別にみると、価格競争が激しい「ガソリンスタンド」が399社(同1.4%)、「酒類卸売業」が377社(同1.3%)、「生菓子製造業」は347社(同1.2%)だった。 

 鎌倉時代から貨幣経済が浸透するにつれて商業が活発になった。伏見や灘などでは自前の蔵による酒造りが始まり、次第に全国に伝播した。江戸時代以降は、商業や工業の発展に伴って人の移動が活発になり、街道沿いに多くの宿場町が生まれた。人の移動で文化が広がり、衣・食・住の関連産業が今日まで連綿と引き継がれている。

業種別・産業別 老舗企業

 

売上高別 「5億円未満」の中小・零細企業が7割を占める

 売上高別は、「1,000万円以上1億円未満」が8,831社(構成比32.1%)で最多だった。次いで、「1億円以上5億円未満」8,795社(同32.0%)、「10億円以上50億円未満」3,422社(同12.4%)の順。「5億円未満」の中小・零細企業が1万8,555社(同67.6%)と約7割を占めた。

 売上高トップ3は、JX日鉱日石エネルギー(株)(東京都)の8兆3,486億円。次いで、日本生命保険(相)(大阪府)の7兆749億円、丸紅(株)(東京都)の6兆3,847億円。売上高1兆円以上は35社だった。

 上位30社のうち、24社(構成比80.0%)の本社が東京都。次いで、大阪府4社、兵庫県・静岡県が各1社。東京への一極集中が顕著になっている。


従業員数別 「4人以下」が3割

 従業員別では、「4人以下」が8,652社(構成比31.5%)で最多。次いで、「5人以上10人未満」5,789社(同21.1%)、「10人以上20人未満」4,669社(同17.0%)と続く。

 「50人以上300人未満」は、3,079社(同11.2%)。「300人以上」は935社(同3.4%)にとどまった。従業員数10人未満で過半数(52.6%)を占めた。


商号別 最多は「田中屋」で16社

 商号別では、「田中屋」が16社で最多。次いで、「井上商店」13社、「木村商店」11社、「鈴木商店」、「大黒屋」、「伊勢屋」ほか10社と続く。

 商号末尾が「商店」で終わる商号が3,415社(構成比12.4%)で最多。次いで、「屋」が1,141社(同4.1%)と続く。漢字商号は21,416社(同78.0%)で、約8割を占めた。

 商号で最も多いのは、創業者の「姓」とみられる屋号を含むもので、東京や大阪など「地名」や業種を表す「酒造」、「呉服店」なども多かった。また、のれん分けの時代を背景にした「本店」も上位に入った。商号には、創業時の伝統を守る老舗企業の心意気が透けて見える。

上場企業 全上場企業の1割強

 東証など国内証券取引所に上場する老舗企業は469社で、全体の1.7%だった。内訳は、東証1部が322社(構成比68.6%)で最多。次いで、東証2部57社(同12.1%)、地方上場48社(同10.2%)、JASDAQ42社(同8.9%)で、国内の上場企業3,566社(外国法人および投信を除く)の13.1%を占めた。

 上場企業の業歴最古は、中堅ゼネコンの松井建設(株)(東京都、東証1部)。同社は1586年創業で、江戸時代末期まで前田藩一筋に仕え、関東大震災を機に東京へ進出。本願寺築地別院復興工事(昭和9年竣工)や小田原城復元工事(同35年竣工)などを手掛けたことから、「社寺の松井」とも称される。薬用酒メーカーとして著名な養命酒製造(株)(東京都、東証1部)は1602年の創業。このほか、傘下に呉服商から発展した百貨店を持つ、持株会社のJ.フロントリテイリングと三越伊勢丹ホールディングスも老舗企業のトップ10に入った。


老舗上場企業 業歴ランキング

創業120周年企業

 東京商工リサーチは今年、創業120周年を迎える。そこで全国で創業120年目の企業をみると374社あった。このうち上場企業は11社だった。

 売上高の上位20社には、建設や保険、化学品関係、金属製造、百貨店、運送、新聞社など多種多様な業種が並ぶ。

 大林組は1892年大阪市で創業。昭和33年12月大阪証券取引所に株式上場し、スーパーゼネコンの1社にあげられている。殺虫剤製造のアース製薬も大阪で創業、1973年に大ヒット商品の「ごきぶりホイホイ」を発売、9割のシェアを占めている。

 1892年は第二次伊藤博文内閣が組閣された。文明開化から25年を経て産業界が動き出し、わが国初の日刊新聞も創刊された。また、日本初の養蚕学校が長野県につくられ、後の富岡製糸場をはじめとする国策事業に繋がり、日本の産業の大きな転機となった年でもある。 


まとめ

 毎年、全国で約10万社の新しい企業が生まれている。一方、創業から100年を超す老舗企業は2万7,441社あった。老舗企業は繰り返された戦災や自然災害、経済危機など計り知れない苦難の歴史の目撃者でもある。その都度、困難を乗り越えられた原動力は、経営者のリーダーシップだけでなく、事業継続の強い「信念」、長年培った品質・ブランドに裏打ちされた「信用」、そして時代に即した柔軟な経営感覚も大きい。

 また、創業者の経営理念が生きている企業は多い。こうした要素の積み重ねと、今も継続に力を発揮している世代との融合が、世界でも数少ない長寿企業の条件かも知れない。


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