上半期(1-6月)の「物価高」倒産343件 小・零細企業を直撃、飲食店が約1.6倍増に
2025年上半期(1-6月)の 「物価高」倒産
円相場の乱高下が続くが、2025年上半期(1-6月)の原材料高騰などに伴う「物価高」倒産は、343件(前年同期比8.5%減)だった。2022年からの円安局面では、上半期に物価高倒産が前年同期を初めて下回ったが、2023年同期以降、3年連続で300件台の高水準で推移している。
負債総額は1,537億700万円(同29.2%増)で、2月に民事再生法の適用を申請した丸住製紙(株)(負債590億円)が押し上げ、負債総額が膨らんだ。
コロナ禍で過剰債務を抱えた中小・零細企業は、コストアップ分の価格転嫁が容易ではなく、物価高が資金繰りに大きな負担となってのしかかっている。
「物価高」倒産は、最多が飲食店の43件で、前年同期(27件)の約1.6倍に急増した。食材費や水道・光熱費などの上昇が収益を圧迫している。
形態別では破産が311件(構成比90.6%)、資本金別では1千万円未満が202件(同58.8%)と物価高は小・零細企業ほど深刻な影響が及んでいる。
ドル/円レートは、1ドル=140円~145円でもみ合い、輸入財の価格は高止まりしている。
小・零細企業を中心に物価高を一因とした倒産は、当面、高水準で推移する可能性が高い。
※本調査は、2025年上半期(1-6月)の企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、①仕入コストや資源・原材料の上昇、②価格上昇分を価格転嫁できなかった、等により倒産(私的・法的)した企業を集計、分析した。