• TSRデータインサイト

2025年上半期の「負債1,000万円未満」倒産 250件 前年同期を下回るも高止まりが続く

2025年上半期(1-6月)「負債1,000万円未満」倒産状況


 2025年上半期の負債1,000万円未満の倒産は250件(前年同期比4.2%減)で、3年ぶりに前年同期を下回った。上半期では、2月と6月を除く4カ月で前年同月を下回ったものの、2年連続で250件以上となった。月間平均は41.6件(前年同期43.5件)で推移している。
 物価高や金利上昇など資金負担が増すなかで、小規模企業を取り巻く環境は厳しい状況が続く。

 産業別では、10産業のうち、増加が農・林・漁・鉱業、建設業、製造業、卸売業、不動産業の5産業、減少が小売業、運輸業、情報通信業、サービス業他の4産業だった。金融・保険業は前年同期と同件数の2件だった。

 2025年上半期のドル/円相場をみると、年始1月の150円台後半から6月時点で140円台前半と円高・ドル安が進んだ。ただ、依然として円安水準にあることは変わりなく、原材料やエネルギー価格の高騰が経営を圧迫する状況は続いている。
 また、小・零細企業は、金融機関からの借入依存度が高い企業も多い。貸出金利の引き上げが続くなかで、金利負担の増加で資金繰りに影響が出る企業も多い。収益力向上への施策が打てず、事業再生に足踏みをしている企業には金融機関からの寄り添った支援も必要になるだろう。

※本調査は、2025年1-6月に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、企業倒産集計(負債1,000万円以上)に含まれない負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。

負債1,000万円未満の倒産 件数推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

私立大学の経営、売上トップは(学)順天堂 赤字企業率5割に迫る、損益は地域格差が鮮明に

私立大学を経営する全国の543法人のうち、約半数の253法人が2024年決算で赤字だった。赤字企業率は46.5%にのぼり、前期(40.8%)から5.7ポイント上昇し、5割に迫った。

2

  • TSRデータインサイト

企業倒産、破産の割合が9割超で過去最大 ~ 背景に「手形減少」と「準則型私的整理」 ~

企業倒産のうち、破産の構成比が90.3%に達し、過去最大を記録した。民事再生法はわずか2.2%にとどまる。破産は、売上不振や財務内容が悪化し、再建が見通せない企業が選択する。なぜ今、破産の構成比が高まっているのか――。

3

  • TSRデータインサイト

リフォーム・塗装工事の倒産が急増 ~ 点検商法などのトラブル多発 ~

リフォーム・塗装工事の倒産が急増している。2025年上半期(1-6月)の倒産は119件に達し、過去20年で最多だったリーマン・ショック後の2009年同期の111件を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

M&A総研の関わりに注目集まる資金流出トラブル ~ アドバイザリー契約と直前の解約 ~

東京商工リサーチは、M&Aトラブルの当事者であるトミス建設、マイスHD、両者の株式譲渡契約前にアドバイザリー契約を解約したM&A総合研究所(TSRコード: 697709230、千代田区)を取材した。

5

  • TSRデータインサイト

1-6月の「人手不足」倒産 上半期最多の172件 賃上げの波に乗れず、「従業員退職」が3割増

中小企業で人手不足の深刻な影響が広がっている。2025年上半期(1-6月)の「人手不足」が一因の倒産は、上半期で最多の172件(前年同月比17.8%増)に達した。

TOPへ