1-6月の「人手不足」倒産 上半期最多の172件 賃上げの波に乗れず、「従業員退職」が3割増
2025年上半期(1-6月)の「人手不足」関連倒産
中小企業で人手不足の深刻な影響が広がっている。2025年上半期(1-6月)の「人手不足」が一因の倒産は、上半期で最多の172件(前年同月比17.8%増)に達した。
人材確保への賃上げが避けられないなか、物価高、金利上昇などのコストアップも重なり、企業収益に影響を及ぼしている。従業員の待遇改善が実現できない企業は人手不足に陥り、背伸びした賃上げは人件費上昇が資金繰りの悪化に直結している。今後も、「人手不足」関連倒産は増勢をたどることが懸念される。
「人手不足」関連倒産の内訳は、「求人難」68件(前年同期比17.2%増)、「従業員退職」54件(同31.7%増)、「人件費高騰」50件(同6.3%増)と、すべて過去最多を更新した。
資本金別は、1千万円未満が109件(前年同期比19.7%増)で、6割(63.3%)を占めた。ただ、1千万円以上も63件(同14.5%増)と1割以上増加し、規模を問わず人手不足の影響がみられる。
大手は事業の選択と集中で早期・希望退職の募集が増えている、中小企業は事業維持のための従業員の雇用も難しくなっており、人材への対応の違いが出ている。
※本調査は、2025年上半期(1-6月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出し、分析した。(注・後継者難は対象から除く)