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「未上場企業 業績見込」調査(2021年3月期)

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公開日付:2020.12.16

 2021年3月期の売上高は、未上場企業の63.9%が「減収」を見込んでいることがわかった。 また、「減益」見込みは経常利益で61.7%、当期純利益で63.9%に達した。2020年3月期(14万9,232社)は「増収」46.9%、「減収」45.3%、「増益」44.2%、「減益」47.4%だっただけに、新型コロナ感染拡大が業績の重しになっている。
 産業別では、「減収」予想が最も高かったのは製造業で約7割(71.8%)に達した。次いで、小売業(70.1%)、卸売業(69.0%)と、いずれも7割前後が厳しい業績を見込んでいる。
 小分類の業種別では、インバウンド消失と国内需要が冷え込んだ宿泊業、輸送用機器製造業などで「減収」見込みが80%を超え、新型コロナで大打撃を受けた業種が並んだ。一方、「増収」見込みは、電気・ガス・熱供給・水道業(64.4%)を筆頭に、スーパー(各種商品小売業)が54.6%と、コロナ禍による在宅勤務などの広がりで特需が業績をけん引し、好対照となった。
 新型コロナは年末の第三波の到来で、景気停滞が懸念されている。未上場企業は資金余裕が乏しいうえ、生産性も低く、新型コロナの資金繰り支援策で経営を維持している企業が少なくない。国内の6割の未上場企業で2021年3月期が厳しい業績見込みとなり、新型コロナの収束が長引くと春闘や雇用面での悪影響も懸念される。

  • 本調査は、2021年3月期決算(事業年度12カ月)の未上場のうち、売上・経常利益・当期純利益の業績見込が判明した企業(約5万社)を対象に業績を抽出し、分析した。
    「3%以上(未満)~」は前年業績との比較による。
    2020年3月期の業績は無作為抽出した中小企業14万9,232社の業績。

業績予想 6割が減収見込み、業績悪化が顕著に

 未上場企業の売上高予想は「減収」が6割(構成比63.9%)を上回った。「減収」の内訳は、「3%未満減収」(同38.2%)、「3%以上減収」(同25.7%)。
 一方、「増収」は4割弱(同36.0%)にとどまった。
 経常利益の予想は「減益」が約6割(同61.7%)で、内訳は「3%未満減益」(同37.8%)、「3%以上減益」(同23.8%)。「増益」は4割弱(同38.2%)で、「3%未満増益」(同25.8%)と微増が大半を占めた。
 当期純利益の予想も「減益」が6割以上(同63.9%)に達した。「3%未満減益」(同40.6%)、「3%以上減益」(同23.3%)で、経常利益より「3%以上減益」比率が改善したが、これはコロナ支援の給付金などが背景にあるようだ。
 なお、2020年3月期実績で中小企業の増収率は46.9%、増益率は44.2%で、2021年3月期の業績予想は著しい悪化が見込まれる。

未上場企業業績予想

産業別 製造業を中心に減収減益が鮮明

 売上高予想で「増収」比率が最も高かったのは、農・林・漁・鉱業(構成比50.5%)で、半数が増収見込みだった。次いで、金融・保険業(同49.3%)、情報通信業(同48.4%)、建設業(同44.0%)の順。一方、最低は製造業(同28.1%)だった。
 「減収」予想では、製造業の7割(同71.8%)が最も高かった。新型コロナで工場休止など生産活動の停滞や需要減などの影響が大きかったとみられる。次いで、小売業(同70.1%)、卸売業(同69.0%)の順で、外出自粛などで販売機会が減少したことが響いたようだ。
 経常利益予想で「増益」は、情報通信業が47.9%と約半数が増益予想だった。「減益」は製造業(同67.5%)が最も高かった。次いで、小売業(同65.4%)、卸売業(同65.0%)と売上高の落ち込みが収益に直結している。
 当期純利益予想では、「増益」は建設業(同44.9%)が最高だった。新型コロナで工期延長などはあったが、人手不足感の解消で利益を押し上げるようだ。一方、「減益」は、製造業(同69.4%)が最も高かった。2021年3月期の業績予想は、売上高、利益ともに製造業が最も厳しい業績となる見通しだ。

資本金別 資本金額の大きい企業で苦戦が目立つ

 資本金別では、「増収」比率が最も高かったのは、100万円未満(構成比49.6%)だった。次いで、個人企業他(同43.0%)、1百万円以上1千万円未満(同40.2%)と続く。
 「減収」比率では、5千万円以上1億円未満(同67.5%)が最も高く、次いで、1億円以上(同66.0%)、1千万円以上5千万円未満(同65.9%)と続く。資本金が大きい中堅企業は売上高も利益も落ち込み予想が多く、資本金の小さな企業は善戦する結果だった。

売上高別 売上規模の大きい企業で減収

 売上高別で、「増収」比率が最も高かったのは、1億円以上5億円未満(構成比39.9%)で約4割を占めた。次いで、1億円未満(同37.7%)、5億円以上10億円未満(同36.2%)の順。
 一方、「減収」は、50億円以上100億円未満(同69.5%)が約7割を占め、100億円以上も68.3%と売上規模の大きな企業の減収率の高さが目立った。
 売上高別でも、小・零細企業の減収率は低く、売上高の大きな企業ほど厳しい業績を見込んでいる。 

業種別売上高予想 宿泊業、輸送用機械器具製造業、印刷・同関連業で減収目立つ

 業種別の売上高予想では、「増収」は電気・ガス・熱供給・水道業(構成比64.4%)やスーパーマーケットなどの各種商品小売業(同54.6%)が上位で、新型コロナで在宅率が高まり生活に欠かせない事業が高比率だった。  「減収」は、宿泊業の85.0%が減収予想と影響が深刻だ。次いで、輸送用機械器具製造業(同83.9%)、印刷・同関連業(同82.4%)と続く。
 「増益」では、「増収」と同様に電気・ガス・熱供給・水道業(同60.1%)などが上位。「減益」では、宿泊業(同85.8%)が最も高かった。


 新型コロナ感染拡大の収束が見通せない状況が続く。2021年3月期決算の未上場企業の業績予想は「減収」、「減益」がそれぞれ6割を超え、新型コロナが未上場企業に深刻な影響を及ぼしていることが明らかになった。
 東京商工リサーチが6月16日に発表した「第5回『新型コロナウイルスに関するアンケート』調査」によると、当月の売上高が前年同月より落ち込んだ企業の割合を表す中小企業の「減収企業率」はピークの5月には88.0%だった。11月25日発表の最新アンケート調査では68.6%に低下したが、依然として約7割の企業が減収を余儀なくされている。さらに、同調査では企業活動への影響についてもコロナの「影響が継続している」と回答した中小企業が72.1%と7割を超え、経営へのダメージは止む気配がない。
 12月15日時点で新型コロナ関連破たんは2月以降、累計831件(負債1,000万円未満を含む)に達し、12月に入っても月間100件前後のペースで推移し高止まりしている。上場企業の倒産も発生する一方、従業員数が判明したコロナ関連破たん733件のうち「従業員5人未満」の企業は355件(構成比48.4%)で、小規模事業者に集中している。
 中小企業の多くは、国や自治体、金融機関などのコロナ関連支援で支えられている。だが、長引く新型コロナで業績回復が見込めない場合、消耗が続き息切れが現実味を帯びてくる。
 前期減収だった企業の7割超(72.4%)は今期も減収予想で、負のスパイラルから抜け出せず、中小・零細企業には後継者難も付きまとう。先の見通しが立たず、“あきらめ倒産”や廃業、休業に流れる企業が出てくる可能性もある。
 新型コロナウイルスに個々の企業努力だけで立ち向かうには、難しい段階に入っている。今後は資金繰り支援にとどまらず、将来を見据えた事業支援が求められている。

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