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2020年1-10月『後継者難』の倒産状況調査

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公開日付:2020.11.10

 国や金融機関の資金繰り支援で、企業倒産は減少が続く。だが、代表者の高齢化や業歴30年以上の老舗企業で、後継者不在の『後継者難』倒産が急増している。2020年1-10月の『後継者難』倒産は301件(前年同期比47.5%増、前年同期204件)に達し、2013年の調査開始以来、 すでに2015年の279件を上回り、年間最多を更新した。
 代表者の平均年齢が年々上昇し、2019年は62.1歳に達した。業績不振や財務悪化などで事業の将来性が見えないと、事業承継が難しくなる悪循環に陥る。後継者が不在の企業では、代表者の死亡や体調不良などの健康問題、さらに設備投資が難しく収益構造を改善できないまま、倒産に至るケースが増えてくる。
 『後継者難』で倒産した301社のうち、業績30年以上の老舗企業は147件(構成比48.8%)とほぼ半数を占める。ビジネスモデルを変えられず、生産性向上を狙う投資も消極的で、後継者の育成が進まない老舗企業が『後継者難』倒産の件数を押し上げている。
 新型コロナの収束が見通せず、休廃業・解散も過去最多ペースで推移している。新型コロナ関連破たんは、11月5日に負債1千万円未満の零細規模の企業を含めて700件を突破した。持続化給付金や雇用調整助成金などの支援効果で倒産は抑制され、有効求人倍率も下落し人手不足は緩和している。しかし、新型コロナで経営体力を削がれた企業は多いだけに、資金支援だけでなく、後継者問題を抱える企業には事業承継や転廃業などの支援が急がれる。

  • 本調査は「人手不足」関連倒産(後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)から、2020年1-10月での「後継者難」倒産を抽出し、分析した。

1-10月 過去最多を更新、初の300件台

 2020年1-10月『後継者難』倒産は301件(前年同期比47.5%増)で、前年同期(204件)の1.5倍増と急増。集計開始の2013年以降、年間最多2015年の279件を上回り、過去最多を大幅に更新した。
 2013年の全国企業倒産は1万855件で、そのうち『後継者難』倒産は234件(構成比2.1%)にとどまっていた。金融機関の弾力的なリスケ(返済猶予)などの支援や景気回復で、倒産は減少した。
 2020年も新型コロナの支援策が奏功し、2020年1-10月の企業倒産は6,646件(前年同期比4.4%減)と減少。だが、『後継者難』倒産は10月までに過去最多の301件に達し、構成比も4.5%まで高まった。
 代表の高齢化が進行し、後継者を育てられないと、金融機関が重視する「事業性評価」が低くなり、融資が難しくなる。
 長期的な事業計画が立てられず、設備投資も進まず、業績が悪化する「負のスパイラル」に陥ると、ますます後継者が見つからなくなる。最終的に、経営の柱の代表が亡くなったり、病気で事業継続を断念する流れから抜け出すのは容易ではない。

後継者難

要因別 代表者の「死亡」と「体調不良」が約8割

 『後継者難』倒産を要因別にみると、最多は代表者などの「死亡」131件(前年同期比23.5%増、構成比43.5%)。次いで、「体調不良」105件(同50.0%増、同34.8%)、「高齢」36件(同111.7%増、同11.9%)、不慮の事故などを含む「その他」が29件の順。
 代表者などの「死亡」と「体調不良」の合計が236件(構成比78.4%)と、約8割を占めた。

後継者難

設立・創業年代別 1980年代以前が約5割を占める

 『後継者難』で倒産した企業の設立(個人企業は創業)は、最多が1980年代の64件(構成比21.2%)。
 以下、1990年代が58件(同19.2%)、2000年代が51件(同16.9%)、1970年代が46件(同15.2%)、1960年代以前が37件(同12.2%)の順。
 1980年代以前に設立された業歴30年以上の企業は147件(同48.8%)と、ほぼ半数を占めた。
 一方で、業歴10年未満は35件(同11.6%)と、1割にとどまった。

産業別 建設業が最多の65件

 産業別は、建設業が65件(前年同期比71.0%増)で最多。次いで、飲食業(12→27件)が急増したサービス業他61件(同19.6%増)、繊維・衣服等卸売業(3→11件)の増加が目立った卸売業52件(同79.3%増)、印刷・同関連業(2→6件)を含む製造業51件(同131.8%増)、小売業37件(同19.3%増)、運輸業12件(同100.0%増)、情報通信業8件(同33.3%増)も前年同期を上回った。
 一方、不動産業は10件(同41.1%減)と減少、金融・保険業は、ゼロだった。

後継者難

負債額別 負債1億円未満が7割超

 負債額別は、負債1億円未満が224件(構成比74.4%)で最も多く、全体の7割超が小・零細規模だった。内訳は、1千万円以上5千万円未満が157件(前年同期比41.4%増)、5千万円以上1億円未満が67件(同109.3%増)と急増し、全体の件数を押し上げた。
 負債1億円以上は、77件(同25.5%増)だった。内訳は、1億円以上5億円未満が66件(同22.2%増)、5億円以上10億円未満が6件(同100.0%増)、10億円以上が5件(同25.0%増)。

形態別 消滅型が9割

 形態別は、最多が破産の266件(構成比88.3%)で、同じ消滅型の特別清算8件(同2.6%)を合わせると消滅型が274件(同91.0%)と9割以上が事業が継続できなかった。
 再建型は民事再生法の1件(同0.3%)、会社更生法ゼロで、『後継者難』企業の再建は難しいことが浮き彫りとなった。
 このほか、取引停止処分が25件(同8.3%)、内整理が1件(同0.3%)だった。

後継者難

資本金別 1,000万円未満が5割強

 資本金別は、1,000万円未満(個人企業他を含む)が166件(前年同期比33.8%増)と増加し、全体の5割強(構成比55.1%)を占めた。
 内訳は、100万円以上500万円未満が82件(前年同期比24.2%増)、500万円以上1,000万円未満が49件(同53.1%増)、個人企業他が25件、100万円未満が10件。
 このほか、1,000万円以上5,000万円未満が123件(同64.0%増)、5,000万円以上1億円未満が11件(同120.0%増)。
 資本金1億円以上は、1件(前年同期ゼロ)だった。

都道府県別 増加30道府県、減少11都県、同数6県

 都道府県別では、増加が30道府県、減少が11都県、同数が6県だった。  都道府県別の最多は、東京の43件(前年同期比2.2%減)。次いで、福岡18件(同80.0%増)、北海道(同60.0%増)と大阪(同6.6%増)、広島(同100.0%増)が各16件、愛知15件(同114.2%増)、神奈川(同40.0%増)と新潟(同1300.0%増)が各14件だった。
 中小企業庁は、2019年12月20日に「第三者承継支援総合パッケージ」を公表し、同庁は「中小企業のM&Aは年間4,000件弱に留まり、潜在的な後継者不在の中小企業の数(127万者)からして不十分」と指摘した。そのうえで、黒字廃業を回避するため、経営者の売却を促すためのルール整備やマッチング後の事業の選択と集中を促す補助金の創設などを進めていく意向だ。
 『後継者難』企業の事業承継支援が加速すれば、地域の雇用や技術の伝承など地域経済の下支え効果が期待される。

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