• TSRデータインサイト

7月の「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は36件 3カ月連続で30件台、小康状態が続く

2025年7月「ゼロゼロ融資」利用後の倒産状況


 2025年7月の「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」を利用した企業の倒産は、36件(前年同期比33.3%減)で、2024年6月から14カ月連続で前年同月を下回った。1-7月累計は247件(前年同期比35.3%減)で、2023年同期の386件をピークに2年連続で前年同期を下回っている。

 コロナ借換保証の終了から1年が経過した。 「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は、コロナ借換保証や返済猶予(リスケ)などで小康状態が続いている。しかし、物価高や人件費、金利上昇など、コストアップ要因が重なり、企業の収益に負担になっている。また、今後はトランプ関税の影響が懸念材料になりかねない。
 人手不足や物価高の影響で借入金の返済能力の低い「サービス業他」の倒産が目立っており、「ゼロゼロ融資」利用後の倒産が再び増勢に転じる可能性を残している。

 産業別では、最多はサービス業他が18件(前年同期比125.0%増)で、半数(構成比50.0%)を占めた。そのうち、「飲食店」は6件で、人手不足の常態化や食材費、光熱費の上昇が経営に重くのしかかっている。

 日銀は7月末の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%程度に据え置き、経済情勢の見極めに慎重な姿勢を崩していない。コロナ禍の緊急避難的な支援策だったゼロゼロ融資で、自社の収益力を越えて過剰債務に陥った中小企業は少なくない。さらに物価高や人手不足、人件費の上昇などの影響もあり、安定収益を確保できない企業の動向が注目される。
 「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は、2020年7月の第一号から5年間で2,039件に達した。 

※本調査は、企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」の利用が判明した倒産(法的・私的)を集計、分析した。

ゼロゼロ融資利用後倒産 月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

長渕剛さんの個人事務所、イベント会社に破産申立

歌手の長渕剛さんが代表を務める(株)オフィスレン(TSRコード:295731311、渋谷区)が、イベント運営を委託していた会社を相手取り、東京地裁に破産を申し立てたことが東京商工リサーチ(TSR)の取材で判明した。

2

  • TSRデータインサイト

みんなで大家さん、分配金の支払いが遅延

7月31日、不動産投資商品を販売するみんなで大家さん販売(株)(TSRコード:571226140)は、不動産投資商品「みんなで大家さん成田1号~18号(全18商品)」について、7月末の利益分配(分配金)が遅れると投資家に通知した。

3

  • TSRデータインサイト

ホテル業界 止まらない客室単価の値上げ インバウンド需要で高稼働・高単価が続く

インバウンド(訪日旅行客)需要に支えられ、ホテル業界は好調が続いている。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の2025年3月期の客室単価は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に前年同期を上回り、稼働率も前年同期並で高水準を維持している。

4

  • TSRデータインサイト

私立大学の経営、売上トップは(学)順天堂 赤字企業率5割に迫る、損益は地域格差が鮮明に

私立大学を経営する全国の543法人のうち、約半数の253法人が2024年決算で赤字だった。赤字企業率は46.5%にのぼり、前期(40.8%)から5.7ポイント上昇し、5割に迫った。

5

  • TSRデータインサイト

2025年上半期 20床以上の病院倒産が急増 「病院・クリニック」倒産21件、5年連続で前年同期を上回る

病床20床以上の病院の経営が厳しさを増している。2025年上半期(1-6月)の病院・クリニックの倒産は21件(前年同期比16.6%増)だった。上半期では、コロナ禍の2020年を底に、2021年から5年連続で前年同期を上回り、1989年以降で最多の2009年同期の26件に次ぐ、2番目となった。

TOPへ