上場ゼネコン53社 2024年度は受注が過去最高 利益率改善も、人手不足で受注残が積み上がる
~ 2025年3月期決算「上場ゼネコン53社 業績動向」調査 ~
主要上場ゼネコン53社の2025年3月期(単体決算)の売上高は、14兆3,425億円(前期比4.8%増)で、集計を開始した2009年以降、最高だった2024年を超えて過去最高を塗り替えた。
また、利益も、粗利益、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてが前年を上回った。当期純利益は6,956億円(前期比54.8%増)で、4年振りに6,000億円台に戻した。ただ、本業の儲けを示す営業利益率は5.0%(前期3.1%)で、ピークだった2018年3月期の8.5%を3.5ポイント下回り、資材費や人件費の高騰が採算性向上の足かせになっている。
主要53社のうち、増収増益は28社(構成比52.8%)で半数を超えた。減収増益は11社(同20.7%)で、増益は39社(同73.5%)と7割を超えた。赤字企業は前期2社あったが、今期はすべての企業が黒字を計上した。
旺盛な建設需要と工事価格の上昇で、ゼネコン各社の業績は売上高、利益とも好調だった。資材費や人件費などの高騰を織り込んだ価格設定、価格転嫁が進み、収益は改善している。
また、期末繰越高も21兆8,621億円で過去最高を更新した。人手不足による工期の長期化や資金繰り悪化、「2024年問題」などが懸念されるが、建設業各社は堅調な受注が続いている。
※ 本調査は、2009年3月期から2025年3月期までの決算期を対象に、連続比較が可能な上場ゼネコン53社の単体ベースの業績(売上高・粗利益・営業利益・経常利益・当期純利益など)を集計、分析した。
売上高は前期から1兆円増 粗利益率は10%台に回復
上場ゼネコン53社の2025年3月期(単体)売上高は14兆3,425億円(前期比4.8%増)で前期から6,611億円増加した。粗利益率は10.7%で前期8.9%から1.8ポイント改善し、2022年以来、3年ぶりに10%台となった。
以下、営業利益率は5.0%(前年同期3.1%)、経常利益率は5.4%(同3.8%)、当期純利益率は4.8%(同3.2%)と、いずれも前期を上回った。
受注高 建築、土木ともに増加し過去最高
2025年3月期の受注高は15兆5,558億円(前期比6.8%増)で、4期連続で前期を上回り、2009年の集計開始以来、初の15兆円台に乗せた。
工事種類別では、建築工事が10兆999億円(前期比8.8%増)、土木工事は4兆9,619億円(同3.9%増)で、いずれも前期を上回り、過去最高を更新した。ただ、その他の受注高は4,869億円(同4.4%減)落ち込み、主力の建築、土木工事が堅調にけん引した格好となった。
期末繰越高は21兆8,621億円(前期比8.3%増)と過去最高を更新した。未完了工事が積み上がっており、収益への影響が注目される。