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7月の「税金滞納」倒産16件 5カ月ぶり増加 物価高で苦悩する企業への納税支援が急務

2025年1-7月の「税金滞納」倒産状況


 2025年7月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産は16件(前年同月比33.3%増)で、5カ月ぶりに前年同月を上回った。1-7月累計は95件(前年同期比14.4%減)と4年ぶりに前年同期を下回ったが、2016年以降の10年では2番目の高水準となった。

 7月の負債総額は28億8,900万円(前年同月比24.7%増)だった。1-7月累計は335億2,700万円(同35.7%減)で、4年ぶりに前年同期を下回った。
 1-7月の「税金滞納」倒産は、資本金1千万円未満が55件(構成比57.8%)と、小・零細規模が半数以上を占めている。コストアップで資金負担が増すなか、運転資金の確保を優先し、税金納付を後回しにする企業も少なくない。こうした企業が押し上げる形で、税金滞納が一因の倒産は高水準をたどる可能性が高い。

 2025年1-7月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産95件のうち、破産が90件(前年同期比14.2%減)で全体の94.7%を占めた。税金滞納の企業の再建の難しさを示している。
 ここ数年、物価高、賃上げなどのコストアップで、社会保険料の負担が増している。納税には収益確保が必要だが、通常運営で納税が難しい企業には分納などの支援も重要となっている。

※2025年1-7月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)の「コンプライアンス違反」倒産のうち、「税金滞納」関連を集計・分析した。

「税金滞納」倒産

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