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2018年全上場企業「不適切な会計・経理の開示企業」調査

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公開日付:2019.01.24

 2018年(1-12月)に「不適切な会計・経理(以下、不適切会計)」を開示した上場企業は54社で、2017年の53社(前年比1.8%増)を1社上回った。不適切会計の開示企業は、調査を開始した2008年の25社から2016年は過去最多の57社と9年間で2.2倍に増え、2018年は過去2番目となった。
 市場別では東証1部上場が26社(構成比48.1%)でほぼ半数を占めた。内容別は、経理や会計処理ミスなどの「誤り」が22社(同40.7%)のほか、子会社で不適切会計処理が行われるなどの「粉飾」が21社(同38.8%)だった。産業別の最多は「製造業」で、17社(同31.4%)、次いで運輸・情報通信業が、10社(同18.5%)だった。
 適正会計に対するコンプライアンス意識が求められる中、不適切会計は高止まりが続いている。


  • 本調査は、自社開示、金融庁、東京証券取引所などの公表資料を基に、上場企業、有価証券報告書提出企業を対象に「不適切な会計・経理」で過年度決算に影響が出た企業、今後影響が出る可能性を開示した企業を集計した。
  • 同一企業で調査期間内に2回以上内容を異にした開示の場合、社数は1社、件数は2件としてカウントした。
  • 業種分類は、証券コード協議会の業種分類に基づく。上場の市場は、東証1部、同2部、マザーズ、JASDAQ、名古屋1部、同2部、セントレックス、アンビシャス、福岡、Qボードを対象にした。

開示企業数 2018年は54社

 2018(1-12月)に「不適切な会計・経理(以下、不適切会計)」を開示した上場企業は、過去最多の2016年(57社)に次ぐ、過去2番目の54社だった。
 2015年5月に発覚した東芝の不適切会計問題が表面化して以降、開示資料の信頼性確保や企業のガバナンス強化の取り組みを求める声は強まっている。上場企業は、国内市場の成熟化で各企業は売上拡大を求め、海外展開を進めている。だが、拡大する営業網のなかでグループ各社へのガバナンスが行き届かず、不適切会計の開示に追い込まれる企業は少なくない。
 また、企業会計は厳格な運用が求められているが、経営側に時価会計や連結会計などの厳格な会計知識が欠如し、現場で適切に対応できず会計処理を誤る事例も生じている。内部統制報告書(企業の財務報告に関する内部統制が有効に機能しているかを経営者自身が評価し、その結果を記載した報告書)を訂正する企業も相次いでいる。背景には、会計処理の高度化(能力不足)や現場の人手不足などがあり、この状況を改善できないと今後も不適切会計が増える可能性を示している。

不適切会計開示企業推移

内容別 「誤り」が最多の22社

 内容別では、経理や会計処理ミスなどの「誤り」が22社(構成比40.7%)で最多だった。次いで、「架空売上の計上」や「水増し発注」など、営業ノルマの達成を推測させる「粉飾」が21社(同38.8%)と続く。
 また、子会社・関係会社の役員や従業員による着服横領は11社(同20.3%)で、「会社資金の私的流用」、「商品の不正転売」など、個人の不祥事についても監査法人が厳格な監査を求めた結果が表れているようだ。

不適切会計 内容別

発生当事者別 「会社」が26社でトップ

 発生当事者別では、最多は「会社」の26社(構成比48.1%)で、2017年の21社から5社増えた。会計処理手続きの誤りや事業部門で売上の前倒し計上などのケースがあった。
 「子会社・関係会社」は15社(同27.7%)で、子会社による売上原価の過少計上や架空取引など、見せかけの売上増や利益捻出のための不正経理が目立つ。「会社」と「子会社・関係会社」を合わせると41社で、社数全体の75.9%と多数を占めた。

不適切会計企業 発生当事者別

市場別 東証1部が26社でトップ

 市場別では、「東証1部」が26社(構成比48.1%)で最も多かった。「ジャスダック」が14社(同25.9%)、「東証2部」が8社(同14.8%)と続く。2013年までは新興市場が目立ったが、2015年から国内外に子会社や関連会社を多く展開する東証1部の増加が目立っている。

不適切会計企業 市場別

産業別 最多は製造業の17社

 産業別では、「製造業」の17社(構成比31.4%)が最も多かった。製造業は、国内外の子会社、関連会社による製造や販売管理の体制不備に起因するものが多い。運輸・情報通信業では、元社長や元役員が不明瞭な外部取引を通じて着服横領を行っていたケースなどが目立った。



  2018年の不適切会計の開示企業数は54社で、高水準が続いている。2015年5月に発覚した東芝の不適切会計を契機に、監査の信頼性確保が強く求められている事も一因だ。
 2018年1月、不適切会計を開示した愛知県三河地域を地盤とする中堅食品スーパーの(株)ドミー(TSR企業コード:400215950、愛知県岡崎市、元名証2部)は監査法人より、仕入先からのリベートや協賛金を不適切に傾斜配賦していた不正会計の疑いの指摘を受けた。その後、第三者委員会の調査でも全容が判明せず、2018年5月期第2四半期(2017年6~11月期)報告書が提出できず、3月27日上場廃止に追い込まれた。
 また、(株)ディー・エル・イー(TSR企業コード:295371960、千代田区、東証1部)も不適切会計処理に関する決算開示に問題があるとして東証から上場契約違約金の徴求を受けた。
 こうした企業の相次ぐ不祥事で、公認会計士の職業倫理に関する規則が2019年4月から厳格化される。会計士は監査を請負う企業で違法行為を発見した場合、監督官庁などへの通報義務が課せられる。企業側は、会計士との適切な距離感を保つと同時に、会計倫理の向上が一層求められることになる。
 ビジネスのグローバル化で事業規模が拡大し、海外子会社との取引に伴う不適切会計も増加傾向にある。一方、売上達成に対する過度なプレッシャーで、不正会計に陥る企業、担当者も後を絶たない。コーポレートガバナンスやコンプライアンスへの意識向上だけでなく、不適切会計を生じさせないためには社員の働きやすい環境づくり、風通しの良い組織への整備も急務になっている。

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