こうして倒産した

2023年(令和5年)8月度こうして倒産した・・・
征矢野建材(株)
  • 長野
  • 木材販売ほか
負債総額
65億2000万円
 

 征矢野建材(株)(TSR企業コード:420028161、法人番号:4100001013425、松本市笹賀7116-1、設立1977(昭和52)年9月、資本金2500万円)は8月9日、長野地裁松本支部に民事再生法の適用を申請し同日、保全処分および監督命令を受けた。
 申請代理人は大宮立弁護士ほか3名(レックス法律事務所、東京都千代田区麹町4-3-29)。
 監督委員には愛川直秀弁護士(愛川法律事務所、同市中央2-8-23)が選任された。
 負債総額は65億2000万円。
 松本市にプレカット工場、塩尻市に木材加工工場を有し、長野県内の工務店やハウスメーカーを中心に建築資材を供給、県内では相応の知名度を誇っていた。また、森林バイオマス資源活用事業「信州F・POWERプロジェクト」に取り組み、2023年2月期には売上高49億5077万円をあげていた。
 しかし、バイオマス資源活用事業の計画の見通しの甘さに加え、ウッドショックの影響などから、多額の債務超過が続いていた。さらに、木質チップの供給不足に起因して、多額の補償金が発生。資金繰りが限界に達し、今回の措置となった。

アミックテレコム(株)ほか1社
  • 愛知
  • 携帯電話販売ほか
負債総額
36億2500万円
 

 アミックテレコム(株)(TSR企業コード:401037487、法人番号:6180001044411、名古屋市中村区名駅5-18-6、設立1996(平成8)年11月、資本金8000万円)と、関連の(株)ファイブティテレコム(TSR企業コード:296633143、法人番号:6010001097822、東京都千代田区神田錦町3-15-5、設立2006(平成18)年2月、資本金5000万円)は8月21日、名古屋地裁に破産を申請した。
 申請代理人は眞下寛之弁護士(弁護士法人佐藤・眞下法律事務所 、名古屋市中区丸の内3-14-32)。
 負債は、アミックテレコムが27億4300万円、ファイブティテレコムが8億8200万円で、2社合計36億2500万円。
 アミックテレコムは、大手携帯電話キャリアの代理店として展開し、愛知県や静岡県、東京都内などに店舗網を拡大していた。ピーク時には10店舗以上を展開し、2006年9月期には売上高36億5054万円を計上。しかし、その後は同業他社との競合や市況の低迷により販売が減少し、2018年9月期以降の年間売上高は30億円を下回っていた。
 「新型コロナウイルス」感染拡大後は、ショップの営業を一時制限したことで2020年9月期には売上高が23億4139万円まで減少。2021年9月期以降は28億円台の年間売上高で推移していたものの、人件費の上昇等も負担となっていた。
 こうしたなか、出店費用などを含めた借入負担が重荷となり、資金繰りが悪化。取引金融機関に支援を要請するほか、2023年8月中旬に販売店を相次いで休業するなどしていたが、事業環境は改善せず、資金繰りも限界に達し、今回の措置となった。
 ファイブティテレコムは、東京都と神奈川県で携帯電話キャリアの代理店を運営していたが、アミックテレコムに連鎖した。

(株)守田
  • 福岡
  • 鉄スクラップ卸
負債総額
30億円
 

 (株)守田(TSR企業コード:132413337、法人番号:4290001086634、福岡市東区香椎照葉5-1-12、設立2019(令和1)年9月、資本金900万円)は8月3日、福岡地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には一瀬悦朗弁護士(ジャスト法律事務所、福岡市中央区舞鶴3-2-4)が選任された。
 負債総額は30億円。
 輸出に特化した鉄スクラップの卸業者。地場大手の解体工事業者などを仕入先とし、韓国企業との直接取引を主体に販路を築いていた。複数のヤードを確保して北九州市内に拠点を置き、2020年8月期は売上高約43億円を計上。さらに、2021年8月期はスクラップ価格の高騰や取扱量の増加で売上高を約140億円に伸ばし、2022年8月期は円安の恩恵も受けたことで約200億円まで拡大した。
 しかし、業績拡大の一方で、扱い品の相場の変動などから利益面は安定感を欠いていたうえ、業歴も浅く財務基盤も脆弱で余裕のない資金繰りを強いられた。こうしたなか、調達を巡ってトラブルが発生したことなども重なり、2023年4月以降はヤードでの受け入れを中止していた。輸出先の変更等で再建の道を探ったものの計画通りに進まず、膨らんだ債務の圧縮の目途も立たないことから、今回の措置となった。

(株)クロナス
  • 東京
  • 建設機械販売・リース
負債総額
29億3300万円
 

 (株)クロナス(TSR企業コード:300184131、法人番号:5011101066635、中央区京橋1-6-12、設立2013(平成25)年5月、資本金1000万円)は8月9日、東京地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には本間伸也弁護士(那須・本間法律事務所、千代田区永田町1-11-30)が選任された。
 負債総額は29億3300万円。
 建設機械・輸送機器などの産業機械の販売とレンタル・リースを主体に展開し、中古機械の買取りや海外への輸出事業も手掛けていた。大手の建機販売会社などを得意先に抱え、2022年6月期は売上高23億6080万円をあげていた。
 しかし、従来から自己資本は乏しく借入負担が重荷となっていた。また、「新型コロナウイルス」感染拡大により取引環境が悪化。恒常的に資金需要が発生し、余裕のない繰り回しが続いていたなか、2023年7月に予定していた大口の取引契約がキャンセルとなり、資金繰りが逼迫。8月2日に東京地裁へ破産を申請していた。

JMKトレーディング(株)
  • 神奈川
  • 中古トラック・部品販売
負債総額
28億7500万円
 

 JMKトレーディング(株)(TSR企業コード:363858520、法人番号:7021002031883、厚木市金田641、設立1999(平成11)年6月、資本金1000万円)は8月17日、横浜地裁小田原支部より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には藤嶋崇友弁護士(おだわら総合法律事務所、小田原市本町1-4-7)が選任された。
 負債総額は28億7500万円。
 中古トラックや部品の輸出・販売業者。全国への出張買取を行い、フィリピンのオークションサイトを通じて現地企業および一般顧客に販売していた。改造などを施したカスタム仕様車両の取り扱いにも力を入れるほか、レンタルやリース、一般貨物自動車運送業なども手掛け、トラックにかかわる事業を急拡大。インフラ整備などが進むフィリピン市場への参入によって、2015年5月期にはピークとなる売上高55億541万円を計上した。
 しかし、フィリピン市場への世界的な参入が相次ぐ一方で、日本製車両は右ハンドルを左ハンドルに改造する必要があるなど手間と費用が嵩むことから価格帯が高く、その後は需要が低下し取扱高も急減した。
 業容拡大に伴う借入負担も重荷となり、2016年5月期以降はたびたび赤字を計上。「新型コロナウイルス」感染拡大による影響も加わり、2021年5月期には売上高が12億7278万円まで減少した。年商を上回る債務超過を抱え、資金繰りが限界に達し、事業継続を断念した。

(株)近澤製紙所
  • 高知
  • 大人用紙おむつ製造
負債総額
27億円
 

 (株)近澤製紙所(TSR企業コード:830027858、法人番号:5490001005390、吾川郡いの町4003、設立1953(昭和28)年4月、資本金7000万円)は再度の資金ショートを起こし8月3日、行き詰まりを表面化した。
 7月4日までに、破産手続きを津田久敬弁護士(大塚・津田法律事務所、高知市升形4-3)に一任している。
 負債総額は27億円。
 手漉き和紙の製造業者として創業。1959年には機械漉きに移行し、京花紙などの製造を手掛けるようになった。1962年に生理用ナプキン、1975年には他社に先駆けて大人用紙おむつの製造を開始。1987年にはパンツタイプの大人用紙おむつの製造ラインを設置するなど、老人医療福祉需要の高まりを背景に新製品の開発と製造ラインの増設を進め、1992年3月期には売上高が20億円を突破した。以降も売上を伸ばし、自社ブランド製品からOEMまで手掛け、2008年3月期には売上高41億6188万円をあげていた。
 しかし、同業他社との競合から、その後の売上は一進一退で推移し、採算面も低調に推移していた。こうしたなか、2020年以降は「新型コロナウイルス」感染拡大により、事業環境が悪化。コロナ関連融資を受けるなどして凌いでいたが、2022年12月には大口取引先との契約が解消となったうえ、一段の原材料高もあり、2023年3月期は3億6606万円の赤字を計上し、債務超過に陥った。
 今期に入っても、原材料費の高騰などによる業況の悪化が続き、今回の事態となった。

(株)栄食
  • 愛知
  • 非鉄金属製品卸
負債総額
20億円
 

 (株)栄食(TSR企業コード:400682168、法人番号:8180001021581、名古屋市熱田区千代田町17-8、設立1979(昭和54)年9月、資本金4000万円)は7月26日、名古屋地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には渡邊健司弁護士(弁護士法人愛知総合法律事務所名古屋丸の内本部事務所、同市中区丸の内3-2-29)が選任された。
 負債総額は約20億円。
 アルミインゴットの輸入販売を主体に、アルミの添加剤として使用されるシリコンやマグネシウムの販売も手掛けていた。アルミニウム合金地金メーカーや商社に販路を築き、販売した製品は自動車のエンジンや足回り部品をはじめ、ボディやフレームなどにも使用されていた。
 ピークとなる2007年8月期には売上高約83億5500万円を計上。しかし、近年は「新型コロナウイルス」感染拡大の影響から世界各国でロックダウンや部品調達不足が起こり、自動車メーカーが減産を余儀なくされたことで受注状況が悪化。アルミ相場の下落等もあり、2022年8月期の売上高は約31億7400万円まで落ち込んだ。
 以降も自動車メーカーの増産シフトがなかなか進まず受注が回復しないなか、資金調達が限界に達し2023年1月5日、株主総会の決議により解散していた。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
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