こうして倒産した

2023年(令和5年)5月度こうして倒産した・・・
FCNT(株)ほか2社
  • 神奈川
  • 携帯電話端末販売
負債総額
1775億円
 

  「arrows(アローズ)」シリーズや「らくらくスマートフォン」などの携帯電話端末を販売するFCNT(株)(TSR企業コード:027062554、法人番号:7010001189049、大和市中央林間7-10-1、設立2018(平成30)年1月、資本金91億9650万円)と関連2社は5月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。

 申請代理人は鈴木学弁護士(西村あさひ法律事務所、千代田区大手町1-1-2)ほか。

 監督委員には伊藤尚弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、中央区八重洲2-8-7)が選任された。

 FCNTとともに民事再生法の適用を申請したのは、製造部門のジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)(TSR企業コード:027062619、法人番号:5010001189050、加東市佐保35、設立2018(平成30)年1月、資本金16億5250万円)と、2社の持株会社であるREINOWAホールディングス(株)(TSR企業コード:027062490、法人番号:8010001189048、大和市中央林間7-10-1、登記上:東京都港区芝4-13-3、設立2018(平成30)年1月、資本金89億4055万円)。

 負債は、FCNTが債権者約300名に対して872億円、ジャパン・イーエム・ソリューションズが債権者約360名に対して613億円、REINOWAホールディングスが債権者24名に対して290億円で、3社合計1775億円(保証債務含む)。

 FCNTは2018年1月、富士通(株)(TSR企業コード:350329109、法人番号:1020001071491、東京都港区、東証プライム)グループの携帯端末事業の見直しに伴い、富士通コネクテッドテクノロジーズ(株)(TSR企業コード:017167000、法人番号:4020001114710、川崎市中原区)の事業を承継。投資会社のポラリス・キャピタル・グループ(株)(TSR企業コード:296134120、法人番号:3010001089698、千代田区)から資本を受け入れるとともに、富士通グループから切り離された。

 以降はポラリス・キャピタル・グループの主導のもと、「arrows」シリーズや「らくらくスマートフォン」などのブランドを展開して、携帯キャリア向けに販売。高い知名度を有していたものの、国内外の同業他社との競合激化などで販売価格の低下などが響いたほか、のれん代の償却負担などで2022年3月期は売上高843億5500万円に対して、設立後5期連続の赤字となる15億2600万円の赤字を計上。さらに、円安の進行や世界的な半導体不足の影響で原価・費用が急激に高騰するなど、事業環境の悪化に歯止めがかからず今回の措置となった。

 ジャパン・イーエム・ソリューションズは、携帯電話端末の製造会社。富士通グループの携帯端末事業の再編を機に2018年6月、富士通周辺機(株)(TSR企業コード:670141577、法人番号:2140001075091、兵庫県明石市)から、会社分割方式で事業承継し、同時に当社株式は富士通からポラリス・キャピタル・グループへと譲渡された。

 製造部門として、携帯電話端末の開発製造を展開。メイドインジャパンにこだわった本社工場での生産などを特徴に2022年3月期は売上高695億5300万円をあげていたが、グループの法的整理に伴い、民事再生法を申請した。

 REINOWAホールディングスは、ジャパン・イーエム・ソリューションズとFCNTとの中間持株会社で、金融機関からの資金調達の窓口でもあった。多額の負債を抱えるなか、2社に貸し付けていた資金の回収が困難となり、今回の措置となった。

 ジャパン・イーエム・ソリューションズとFCNTは、REINOWAホールディングスが金融機関から調達した債務の一部を保証している。

(株)ONEPIECEほか1社
  • 東京
  • モバイルWi-Fiレンタルほか
負債総額
52億8000万円
 

 (株)ONEPIECE(TSR企業コード:294752536、法人番号:2013301032519、豊島区池袋3-34-7、設立2012(平成24)年8月、資本金900万円)と、関連のフォン・ジャパン(株)(TSR企業コード:296838454、法人番号:4010401074729、豊島区南池袋1-21-5、設立2006(平成18)年8月、資本金4000万円)は4月28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し5月8日、民事再生開始決定を受けた。
 申請代理人は小山航弁護士(スプリング法律事務所、新宿区左門町3-1)。

 監督委員には萱場健一郎弁護士(萱場健一郎法律事務所、千代田区霞が関1-4-2)が選任された。
 負債は、ONEPIECEが債権者26名に対して35億円、フォン・ジャパンが債権者22名に対して17億8000万円で、2社合計52億8000万円。
 ONEPIECEはモバイルWi-Fi端末のレンタルを中心に、コールセンターへの人材派遣などを手掛け、2020年7月期には売上高29億5152万円をあげていた。
 また、「新型コロナウイルス」感染拡大以降は在宅勤務者向けの需要増をにらみ、2021年1月の2回目の緊急事態宣言の発令後に在庫を大幅に増やした。しかし、想定通りに需要が伸びず、在庫負担が嵩み、資金繰りが悪化。資金調達も限界に達し、今回の措置となった。
 フォン・ジャパンは、ONEPIECEから消費者向けモバイルWi-Fiレンタル事業を移管され、事業を展開していたが、ONEPIECEに連鎖した。

オーサム(株)
  • 東京
  • 雑貨販売ほか
負債総額
45億9200万円
 

 オーサム(株)(TSR企業コード:293540152、法人番号:6010901014959、渋谷区宇田川町32-7、設立1982(昭和57)年2月、資本金5000万円)は5月16日、東京地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。
 破産管財人には川瀬庸爾弁護士(濱田法律事務所、千代田区内幸町2-2-2)が選任された。
 負債総額は45億9200万円。
 インテリア・雑貨の販売を手掛けていた。当初は卸売を主体としていたが、1998年に直営店をオープンし小売業へシフト。「AWESOME STORE」や「off&on」の2ブランドで展開し、ECサイト、カフェなども運営していた。積極的な出店を重ね、2014年11月頃には85店舗まで拡大し、ピーク時の2019年6月期には売上高約55億円をあげていた。
 しかし、「新型コロナウイルス」感染拡大による店舗の休業などが響き、リスケを要請するなど資金繰りの悪化が露呈していた。オンラインの強化や経営資源集中のため、「AWESOME STORE」ブランドに統一するなど事業再生を進めていたが、資金繰りが限界に達し、今回の措置となった。

(株)大水
  • 茨城
  • 不動産賃貸
負債総額
40億円
 

 (株)大水(TSR企業コード:280069847、法人番号:3050001006872、ひたちなか市馬渡3839-1、登記上:東京都練馬区小竹町1-11-2、設立1972(昭和47)年7月、資本金2700万円)は4月26日、東京地裁より特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は40億円。
 1963年6月に千葉県松戸市で冷凍食品の卸売を目的に創業し、勝田市(現:ひたちなか市)で設立。水産冷凍食品の製造・卸売業者として、低価格の自社開発商品を展開しながら大手商社に販路を築き、消費需要拡大も背景に、1992年6月期にはピークとなる売上高79億6062万円を計上した。
 しかし、取引先の倒産による不良債権発生が相次ぎ、たびたび赤字を計上していたうえ、バブル期にひたちなか市を中心に不動産取得を活発化したことで借入負担が大きく膨らみ、資金繰りは徐々に悪化していった。このため、製造部門を別法人化するなどして水産冷凍食品の製造・卸売業から撤退。不動産事業に注力することで経営再建を図ったものの、業績への反映は乏しかった。
 近年は不動産の売却を進めながら清算に向けて動き2023年1月31日、株主総会の決議により解散し、今回の措置となった。

(株)テクノ大徳
  • 大阪
  • パチンコ店経営
負債総額
34億円
 

 (株)テクノ大徳(TSR企業コード:710346387、法人番号:1120101028241、堺市堺区中瓦町2-3-22、登記上:同市西区浜寺石津町中1-9-12、設立1993(平成5)年11月、資本金300万円)は5月9日、大阪地裁堺支部より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には小林功武弁護士(小林功武法律事務所、大阪市北区西天満4-2-2)が選任された。
 負債総額は約34億円。
 パチンコ店「エムズ本店&プレミアムライト店」の経営を主体に、ダイニングレストラン「DDS/デリシャスダイニング」および日本料理店・韓国料理店「咲蔵堺東本店」も併営し、ピーク時の2014年7月期には売上高約59億900万円を計上していた。
 しかし、近年は同業他社との競合激化に加え、改正風営法に基づく出玉規制や受動喫煙防止法等の影響を受けたパチンコ・パチスロ競技人口の減少などから業況が悪化。さらに「新型コロナウイルス」感染拡大の影響により店舗の休業や時短営業を余儀なくされ、2022年7月期には売上高が約21億1400万円にまで減少した。
 過去に行った大型店舗改装や機器の入替、台風被害等の費用などが嵩み、借入依存度の高い状態にあったことから、取引行に対し借入返済のリスケジュールを要請するなどして資金繰りを維持していた。しかし、業況の改善見通しも立たないことから5月8日、店舗を閉店し、今回の措置となった。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
負債額順にまとめた記事はこちら

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