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長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

 歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(TSRコード:295731311、渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都中央区、以下ダイヤモンドG)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチ(TSR)の取材で長渕さん側が明らかにした。



 長渕さん側が債権者として8月、東京地裁へ申し立てたダイヤモンドGへの破産手続きも開始事由の調査が進んでいるとみられ、事態は新たな局面を迎えた。
 長渕さん側代理人の加藤博太郎弁護士(加藤・轟木法律事務所)は、「長渕剛さんの意向を踏まえ、債権者破産手続きを通じてダイヤモンドGの資金の流れを明らかにしていきたい」とTSRの取材にコメントした。
 ダイアヤモンドG側は12月中旬、TSRの取材に応じ、今回の一連の動きに関し、「支払いを協議していたなかで破産を申し立てられた」と語り、刑事告訴については「断じて横領などではない」と反論した。

長渕さん側による刑事告訴の趣旨

 長渕さん側の関係者への取材によると、オフィスレンとダイヤモンドGは2024年4月1日付けで「長渕剛OFFCIAL FAN CLUB」の運営委託契約を締結した。ダイヤモンドGは、長渕剛公式ファンクラブの運営とファンクラブ会費の集金などの業務を担当し、ファンクラブ入会の会員から入金された多額のファンクラブ会費を集金し、保管していた。
 だが、(入金した会費を)ダイヤモンドGの運転資金に充てるため、オフィスレンに渡さずに着服して横領した、として刑法第253条の業務上横領容疑で告発したという。

破産申立に関する東京地裁の調査状況は

 長渕さん側は、約2億5,000万円超が未払いになっているとして「債務の支払不能の状態」を理由に8月、ダイヤモンドGの破産を申し立て、早急な開始決定を求めている。
 TSRが入手した破産申立の関係書類によると、ダイヤモンドG側は、破産開始の事由である債務超過について見込みはない旨を主張している。
 長渕さん側は、ダイヤモンドGはまだ決算作業中で、かつ当該決算書の信用性はダイヤモンドGの実態を正確に反映したものでなく信用性はない、と意見は対立している。
 東京地裁は当事者双方に対し、12月5日までに主張や疎明資料があるようであれば提出するように指示を出した。今後、東京地裁が破産の原因があるか調査を進め、破産開始決定を出すか否か判断する。

ダイヤモンドG側の見解は

 ダイヤモンドGの代表と代理人弁護士は12月中旬、今回の一連についてTSRの取材に応じた。

―長渕さん側への未払いはなぜ

 長渕氏側が主張する未払いの根拠は、長渕氏とダイヤモンドG間で今年4月に交わした公正証書で、そこで約2億5,000万円超の支払義務をダイヤモンドG側は承諾した。
 しかし、そこに至るまで長渕氏からツアーライブなどで、スタッフに対する強硬的な態度などが散見され、スタッフが怯えたり退職する事態が度々発生していた。こうしたなか、ツアーライブ後に売上や双方の取り分などを清算中であるにも関わらず、長渕氏側から一括での支払いを求められた。支払いの意思はあったが、他の支払いもあり、そちらに充てたものもあるので一括で支払うことは出来ない。そうしているうちに長渕氏側から強引に公正証書を巻かされた。ツアーライブを巡る一連で、ダイヤモンドG側も長渕氏側への不信感は相当高まっており、支払いを一旦停止した。その後、支払いを巡って長渕氏側と協議していたなかで、急に破産を申し立てられた。

―刑事告訴にはどのような対応を

 警察の捜査に関しては、要請があれば出向いて説明を行っていく。今回、長渕氏側が主張する業務上横領罪にあたる認識の行為は、一切ない。長渕氏のツアーイベントなどの売上を他に回してはいけないということは、会社経営においてありえない。断じて横領などではない。

―破産開始の事由は

 破産開始の原因は一切ないと考えている。ダイヤモンドGは長渕氏に一括で支払いが可能なキャッシュはないが、非上場会社の株式なども保有しており、破産開始の原因である債務超過の状態には陥っていない。支払不能に関しては、正当な理由があって長渕氏側に支払停止をしている。それを裁判所が破産開始の事由である支払不能と認定するかは裁判所の判断に任せるのみだ。いずれにしても債権者などには誠実に対応していく。しかし、今回の破産申立は、嫌がらせ以外の何でもないと考えている。破産は長渕氏の債権回収のみを目的とし、多方面に及ぶ影響を一切考えておらず誠に遺憾だ。



長渕さんはTSRの取材に対し、以下のコメントを寄せた。


 人が必死で稼いだ金を違う目的に流したり、ファンクラブ会員の会費まで業務上横領は断じて許さない。
 徹底的に真相解明をしていく。本件については、事実に基づき刑事告訴を行い民事の手続きも並行して進めている。ファンの皆様の信頼を守る為に今後も徹底的に追求していく。


 長渕さん側の代理人である加藤弁護士は、「不正の金の流れについては、迅速に法的措置を講じていく」と民事、刑事の両面での解明に期待をかける。
 今回の破産申し立てを巡っては、長渕さんのファンだけでなく、多くの音楽ファンや業界関係者も行方を注視している。


長渕剛さん(本人提供)

長渕剛さん(本人提供)

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年12月17日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)


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