地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず
2025年1-11月「地場スーパー」の倒産状況
2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。大手との価格競争に加え、コンビニやドラッグストア、デリバリー業者など、競合が激化。食品主体の地場スーパーは、コロナ禍が落ち着くと同時に、厳しい環境に入っている。
現在のペースで推移すると、コロナ禍以降では2023年の25件を抜き、最多を更新する可能性も出てきた。
コロナ禍の地場スーパーは、巣ごもり需要や在宅勤務の広がりで特需とコロナ関連の支援策に支えられ、倒産は2020年の25件から2021年は過去20年間で最少の11件に半減した。
だが、コロナ禍を経て、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、円安に伴うエネルギー価格の上昇、人手不足など、経営環境が一変した。特に、運営コストが上昇するなか、輸入原材料の高騰で商品の値上げが、価格競争力の弱い地域密着型の地場スーパーに大きな打撃を与えている。
倒産の原因別では、販売不振が19件(前年同期比46.1%増)と86.3%を占め、競合からの脱落が激しくなっている。また、資本金別は、1千万円未満が13件(同85.7%増)と約6割を占めた。
地場スーパーは、コロナ禍前から業態間の垣根が下がり、コンビニやドラッグストア、ミニスーパーが入り混り、市場競争が激化していた。特に、資金力と商品開発力で優位に立つ大手スーパー、そしてデリバリー業者など、独自の強みを持つコンペティターが多様化している。
地域密着型でも商品構成に強みや特徴のない地場スーパーは今、冬の時代を迎えつつある。
※本調査はTSR企業データベース(約390万社)から、「スーパー」を経営する企業を抽出し、2016年から2025年11月までの倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。
地場スーパー倒産22件、2025年は11月ですでに前年を超える
2025年1-11月の「地場スーパー」倒産は、22件(前年同期比46.6%増)と大幅に増加。コロナ禍の特需や金融支援策の効果が薄れている。特に、大手スーパーや異業種からの参入に加え、商品値上げによる仕入コストや光熱費、人件費の上昇も負担が増している。競争が激しさを増すなか、小・零細規模の事業者は価格転嫁も容易ではない。
2016年以降、地場スーパーの倒産は年間20~30件台だったが、コロナ禍の減少を経て増勢に転じ、2025年は11月までに22件発生し、2024年の年間18件を超えた。

【形態別】22件すべて消滅型の法的倒産
形態別では、破産が19件(前年同期比72.7%増)で、全体の9割近く(86.3%)を占めた。このほか、特別清算が3件(同25.0%減)だった。
民事再生法は2023年6月の(株)佐藤長(TSRコード:180059963、青森県弘前市)以来、発生がない。
地場スーパーの倒産は、2年連続で全て消滅型が占めた。業績低迷からの脱却が見込めず、再建へのハードルが高い実態が浮き彫りになっている。

【負債額別】1億円以上が約6割
負債額別は、1億円以上が12件(前年同期比20.0%増)で、全体の54.5%を占めた。
内訳は、「1億円以上5億円未満」が8件(同33.3%増)、 「5億円以上10億円未満」(同33.3%減)と、「10億円以上」(同100.0%増)が各2件だった。
このほか、「1千万円以上5千万円未満」が6件(同100.0%増)、 「5千万円以上1億円未満」が4件(同100.0%増)。
ただ、50億円以上は2年連続で発生がない。
