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“東日本大震災から10年” 「東北6県への進出企業」調査

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公開日付:2021.03.09

 2011年3月11日の“東日本大震災”から10年を迎える。未曽有の被害をもたらした震災から復興に向けたインフラ整備、復興予算の後押しで多くの企業が被災地の東北へ事業を展開している。
 東京商工リサーチは、震災から10年間の東北6県への企業進出を調査した。東北6県以外に本社を置き、東北6県に支店、営業所、工場などの事業所を設けた企業は1万7,046社で、事業所総数は4万5,287件にのぼる。10年間で企業数・事業所数ともに25%以上増加した。
 進出企業の約7割は関東に本社を置き、東北6県では宮城県が全事業所の約4割を占めた。
 一方、2011年以降、東北6県で新たに設立された法人(以下、新設法人)は、復興への動きが活発だった2013年をピークに減少へ転じ、起業への支援強化に課題を残すこともわかった。

  • 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約400万社)から、東北6県以外に本社を置き、東北6県に事業所を設置する企業を抽出し、分析した。調査は2011年3月、2015年2月に続き3回目。

関東からの進出が7割、10年間の増加率は宮城県がトップ

 東北6県以外に本社を置き、東北6県に支店、営業所、工場などの事業所を設置した企業は1万7,046社で、東北6県に設置された事業所総数は4万5,287件だった。
 2011年調査(1万3,553社)より、10年間で企業数が3,493社(25.7%増)、事業所数が9,232件(25.6%増)、それぞれ増加した。進出企業の地区別では、トップが関東で1万1,976社(構成比70.2%)と、7割を占めた。東北6県の事業所数の増加率は、宮城県が31.5%増(1万3,917→1万8,306件)でトップ。次いで、岩手県26.8%増、青森県23.09%増、福島県23.05%増、山形県18.1%増、秋田県14.9%増の順。東北の中核都市である仙台市を抱え、宮城県内だけで東北6県に進出した事業所の4割(構成比40.4%)を占めた。

東北進出企業

産業別 製造業が全体の約3割、増加率は建設業がトップ

 進出企業の産業別では、最多が製造業の4,615社(構成比27.1%)。次いで、サービス業他3,895社(同22.8%)、卸売業3,244社(同19.0%)、建設業1,891社(同11.1%)が続く。
 東北は、自動車、半導体などの工場集積地で、協力企業を含め製造業が多く集まり、全産業の約3割を占めた。2012年7月にトヨタ自動車系列の車輌組立・部品メーカー3社の合併で誕生したトヨタ自動車東日本(株)は、宮城県内に大型工場を新設。自動車関連部品メーカーの進出を牽引した。
 2011年と比較した増加率トップは、建設業の80.6%増。次いで、サービス業他59.8%増、情報通信業48.9%増、不動産業39.6%増、運輸業34.5%増が続く。道路建設やインフラ整備に向けた復興関連工事が、建設業の事業所進出を後押ししたとみられる。

東北進出企業

業種別 建設業やNPO法人の増加が際立つ

 業種別では、最多が産業機械器具卸売業の542社(構成比3.1%)。次いで、ソフトウェア業474社(同2.7%)、一般貨物自動車運送業442社(同2.5%)の順。
 社数の上位20位では、2011年と比較した増加率の最高は、とび・土工・コンクリート工事業で282.6%増(46→176社)。次いで、他に分類されない非営利的団体157.3%増(89→229社)、土木工事業128.0%増(146→333社)だった。
 震災復興に向けた土木建築工事の増加が、建設関連業種の増加につながった。また、震災復興支援を目的としたNPO法人の増加も際立った。

BtoC業態の店舗が最多、病院・老人福祉施設も2.2倍増

 進出企業の事業所区分は、最多が店舗で1万1,898件(構成比26.3%)。次いで、営業所1万1,153件(同24.6%)、支社店9,867件(同21.8%)の順。店舗は2011年(8,912件)から2,986件(33.5%増)増加し、2011年に最多の営業所(9,093件)の増加数(2,060件)を上回った。
 東日本大震災以降、時間の経過とともに交通インフラや住宅整備が進み、住環境に落ち着きを取り戻すなか、BtoCの店舗出店が加速した。
 2011年と比べた増加率では、病院・老人福祉施設が124.5%増(379→851件)と2.2倍増で、生活基盤の充実を支えている。

新設法人数 2013年をピークに頭打ち

 東北6県で2011年から2020年8月まで設立された新設法人は、累計4万7,904社に達する。
 年別推移では、震災が発生した2011年は年後半にかけ増勢をみせ、前年比10.3%増の4,179社が設立された。続く12年は、同25.6%増の5,253社に大幅増加、ピークの13年は5,424社に達した。しかし、その後は伸び悩み、17年から3年連続で減少、18年には5,000社を割り込んだ。
 2020年(1-8月)は3,007社で、同水準のペースで推移すると、18年(4,570社)並みにとどまる見込み。
 県別の内訳は、最多は宮城県で1万7,151社(構成比35.8%)。次いで、福島県1万1,607社(同24.2%)、岩手県5,535社(同11.5%)、青森県5,268社(同11.0%)、山形県4,348社(同9.0%)、秋田県3,995社(同8.3%)の順。

東北進出企業

産業別新設法人数 サービス業他と建設業で6割を占める

 産業別では、サービス業他が1万9,857社で、4割(構成比41.4%)を占めた。次いで、建設業9,404社(同19.6%)、小売業4,750社(同9.9%)、不動産業3,421社(同7.1%)の順。
 事業所数と同じく、復興支援を目的としたNPO法人を含むサービス業他と復旧・復興工事を支えた建設業の設立が際立ち、2業種で全体の6割を占めた。


 東日本大震災から10年。全国各地から東北への企業や事業所進出が相次いだ。住民生活に直結するショッピングセンター、店舗のほか、企業活動の最前線である営業所、支社店などの進出が、民間活力による復興を目指す東北での雇用や生活を支えた。
 また、2020年に感染拡大したコロナ禍は、海外に生産拠点を展開する企業にサプライチェーンの見直しを迫り、国内回帰の選択肢として東北の存在感を示した。
 だが、住民の生活や企業活動が震災前に戻るには、“まだ10年”でもある。今後も、政府支援と同時に、震災復興に向けた継続的で、広範な企業活動の展開が求められる。

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