再建型の民事再生、申請企業の生存率25.6% 法的手続の優位性と、私的整理のすみ分けが課題
再建型の民事再生、申請企業の生存率25.6% 法的手続の優位性と、私的整理のすみ分けが課題
2000年4月の民事再生法の施行から25年が経過した。民事再生法は、和議法に代わる再建型の倒産手続きとして施行された。会社更生法に比べ手続きが簡易かつ迅速で、債務超過や支払不能に陥っていなくても、その可能性があれば申し立てることができ、経営陣が継続して経営を担えることも特徴になっている。
東京商工リサーチは、2000年4月1日~2024年12月31日までに負債1,000万円以上で民事再生法の適用を申請した1万1,439社のうち、個人企業を除く8,137社を対象に追跡調査をした。その結果、同一企業で事業継続が確認されたのは25.6%(2,088社)で、4社に3社が消滅したことがわかった。
倒産は「法的倒産」と「私的倒産」の2つに大別され、法的倒産は再建型の「会社更生法」と「民事再生法」、清算型の「破産」と「特別清算」に4分類される。
このうち、民事再生法は自主再建かスポンサー支援型が主体だが、再生計画を履行できずに破産へ移行するケースも少なくない。スポンサー支援型では、同一企業で再建を目指すほか、事業を別会社に譲渡し申請企業は清算するケースもある。
だが、再建型とはいえ法的倒産は公告されるため、レピュテーションリスクが避けられず、得意先の離脱だけでなく、事業価値の毀損に及ぶこともあり、再建への道のりは平坦ではない。
※本調査は、2000年4月1日~2024年12月31日に民事再生法の適用を申請した1万1,439社のうち、個人企業等を除く 8,137社を対象に、同一企業での事業継続の有無を調査した。
※消滅率・生存率は、TSRが保有する合併・解散、破産、特別清算、休廃業、再度の倒産などの状況を基に検証した。
申請企業の生存率は25.6%
民事再生法の施行25年間で、民事再生法を申請した8,137社のうち、事業継続を確認できたのは25.6%(2,088社)にとどまる。また、生存企業でも、債務整理のために生存している場合もあり、同一企業での生き残りは難しい現実を示している。
民事再生法の適用は、ピークの2001年に年間901件の申請があったが、その後は減少をたどり、2020年以降は100件を下回る低水準で推移している。
申請年別での生存率は、2000年(4月1日~)が16.7%で最も低かった。以降は、2019年まで20%台が多くを占めている。なお、2020年以降は40%を超えているが、2020年以降は再生計画の認可決定から3年を経過しておらず、手続きが終結していない企業も多い。このため時間の経過とともに消滅する企業の比率が高まる可能性もある。