“ミャクミャク“広がるか、万博の商機に期待高まる
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)アンケート調査
2025年4月13日に大阪・関西万博が開幕し、2か月が経過した。関西圏で盛り上がりを見せる一方、万博に向けた取り組みを「特に実施していない」企業は全体の96.0%にのぼることがわかった。
多くの企業が慎重な姿勢を示すが、何らかの取り組みを実施したと回答した企業は大阪府の8.7%を筆頭に、奈良県(8.1%)、兵庫県(5.8%)、和歌山県(4.8%)と、全国平均(3.0%)関西圏で関心の高さがうかがえる。
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は会期中の来場者数を2,820万人と見込むが、今後は関東をはじめ、全国的に万博への関心を高めることが企業の取り組みを促すことになるだろう。
万博を主催する公益社団法人2025年日本国際博覧会協会によると、一般入場者数は開幕から6月13日までに約653万人を数え、後半への期待が高まっている。
各国の先端技術や持続可能な未来への提案が集結し、国際的にも注目を集めているが、全国の企業を対象にしたアンケートでは、万博への取り組みを「特に実施していない」と回答した企業が96.0%に及ぶ。これは万博が一時的なイベントにとどまり、中小企業には投資リスクが大きいことも影響しているとみられる。
具体的に「万博特需を見越して拠点を開設した」、「設備投資をした」など、中長期の経営判断に踏み切った企業はわずかで、万博がどれだけ企業や地域の動きを後押しできるかは今後の課題になっている。
「万博の良い影響を受けているか」の質問では、奈良県(13.5%)や大阪府(11.8%)、兵庫県(6.3%)など、関西圏で軒並み高い水準となった。地理的条件や観光需要、取引機会などへの期待の高さが、企業活動に波及しているようだ。
万博終了後への期待では、「披露された新技術・サービスの実装化」(11.8%)、「創出されたビジネス機会の維持」(8.7%)、「大阪・関西地区の都市魅力の向上」(9.3%)などが目立ち、企業は万博を“将来の成長基盤”と捉えているようだ。開催期間の後半に向けたコンテンツの展開が、今後の企業行動に影響を与えそうだ。
※ 本調査は、2025年6月にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答6,664社を集計・分析した。
※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(資本金がない法人・個人企業を含む)を中小企業と定義した。
Q1. 現在開催中の「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)に向けて、貴社が実施したことは以下のどれですか?(複数回答)
万博に向けた取り組みを聞くと、「特に実施していない」が96.0%(6,664社中、6,401社)でトップだった。規模別では、中小企業が96.6%(6,137社中、5,933社)で大企業の88.8%(527社中、468社)を7.8ポイント上回った。
次いで、「万博に関連した商品・サービスを作成した」が2.3%(6,664社中、157社)、「万博に関連した広告を展開した」0.6%(40社)が続いた。
各項目とも中小企業より大企業が取り組みに積極的な姿勢がうかがえた。
【都道府県別】開催地周辺で盛り上がり
開催地である大阪府では8.7%が万博に関連した取り組みを行っており、全国で最も高い数値となった。奈良県(8.1%)、岡山県(7.7%)、鳥取県(7.6%)、三重県(7.3%)と続く。このほか、関西圏では全国平均(3.0%)を上回る自治体が多数を占めており、会場への物理的距離の近さや報道の多さ、自治体からの情報提供の手厚さが企業の行動を後押ししている。
特に大阪府では、「万博に関連した商品・サービスを作成した」(32社)、「万博に関連した広告を展開した」(15社)の回答が目立った。地域密着型の商材や観光連携を背景に、万博を契機としたPRや販促に取り組む結果があらわれている。
一方で、地方圏は顕著な静観姿勢にある。秋田県、山形県、福島県、群馬県、山梨県など、計16県で万博に関する取り組みはなしという回答だった。
Q2. 大阪・関西万博は、貴社にどのように良い影響を与えていますか?(複数回答)
万博の良い影響を聞くと、「特になし」が95.5%(6,637社中、6,344社)でトップ。次いで、「万博関連の受注により売上高が増加した」が2.2%(152社)、「万博への参加や協力により社会的評価が向上した」1.0%(72社)だった。
規模別では、大企業が「万博関連の受注により売上高が増加した」5.1%(526社中、27社)、「万博への参加や協力により社会的評価が向上した」4.3%(23社)と回答しており、いずれも中小企業を上回っている。
Q3. 大阪・関西万博後、貴社は大阪府や国にはどのようなサポートを期待しますか?(複数回答)
「特にない」が76.5%(6,629社中、5,072社)でトップ。次いで、「披露された新技術・サービスの実装化」11.8%(787社)、「大阪・関西地区の都市魅力の向上」9.3% (618社)が続いた。
規模別では、「大阪・関西地区の都市魅力の向上」に大企業の15.8%(524社中、83社)が回答した一方、中小企業は8.7%(6,105社中、535社)にとどまり、温度差が表れた形となった。