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2019年3月期決算「役員報酬1億円以上開示企業」調査

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公開日付:2019.07.19

 上場企業の2019年3月期決算で1億円以上の役員報酬の開示は280社、人数は570人だった。
 社数は前年同期を40社(前年同期240社)、人数は32人(同538人)それぞれ上回った。この結果、2017年3月期から3年連続で社数・人数の最多記録を更新した。
 2018年3月期から2年連続で登場した役員は404人。このうち、役員報酬が増えたのは238人(構成比58.9%)で約6割を占めた。初登場は166人だった。
 役員報酬額の最高は、ソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長32億6,600万円。報酬内訳は、基本報酬3億3,900万円、株式報酬29億2,400万円(未確定分を含む)など。また、上位10位に外国人役員が6人を占め、グローバルな人材確保で報酬の高額化も進んでいる。
 開示人数の最多は、三菱電機の21人(前年同期22人)で、6年連続トップを守った。
 役員報酬1億円以上の個別開示制度は、2010年3月期から開始された。2010年3月期から10年連続で登場の役員は73人で、2019年3月期登場の570人の12.8%だった。


  • 本調査は、全証券取引所の上場企業2,411社を対象に、2019年3月期の有価証券報告書で役員報酬1億円以上を個別開示した企業を集計した。上場区分は2019年7月10日現在。
  • 2010年3月31日に施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令の改正」で、上場企業は2010年3月期決算から取締役(社外取締役を除く)、監査役(社外監査役を除く)など、役職別及び報酬等の種類別の総額、提出企業と連結子会社の役員としての連結報酬1億円以上を受けた役員情報の有価証券報告書への記載が義務付けられた。内閣府令改正は、上場企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)に関する開示内容の充実を目的にしている。
  • 日産自動車の2018年3月期以前の数値は、2019年5月14日に訂正した数値を反映。

役員報酬額トップ ソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長の32億6,600万円

 2019年3月期の役員報酬の最高額は、ソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長の32億6,600万円で、前年同期(20億1,500万円)の1.6倍に増加した。
 報酬内訳は、基本報酬が3億3,900万円だが、株式報酬が29億2,400万円(未確定分を含む)により報酬額を押し上げた。2位は、新日本建設の金綱一男会長で23億4,300万円(前年同期開示なし)。役員報酬の大半を退職慰労金で占めた。3位は、ソフトバンクグループのマルセロ・クラウレ副社長COOで18億200万円(同13億8,200万円)。ロナルド・フィッシャー副会長と違い、基本報酬が主体となっている。4位は、武田薬品工業のクリストフウェバー社長で17億5,800万円(同12億1,700万円)。5位は、2018年11月に有価証券報告書への役員報酬の虚偽記載(過少記載)などで東京地検に逮捕された日産自動車のカルロス ゴーン元会長で、16億5,200万円(前年同期28億6,900万円)。このうち、12億3,700万円は支払繰り延べとなっている。
 日本人役員では、役員退職慰労金(引当金繰入額を含む)で多額の報酬を得るケースがある。一方、外国人役員は賞与や業績連動報酬のほか、ストックオプションなど非金銭報酬で多額の報酬を得るケースが目立つ。ただ、最近は退職慰労金制度を廃止する企業も増え、報酬体系は業績連動などの報酬に移行しつつある。
 報酬額10億円以上は8人(前年同期9人)、2億円以上10億円未満は139人(同118人)だった。2年連続開示の404人のうち、238人(構成比58.9%)は報酬額が増えた。前年同期に個別開示がなく、2019年3月期に開示は166人。個別開示制度が始まった2010年3月期以降、10年連続で登場は73人(同12.8%)だった。

2019年3月期 役員報酬額ランキング

企業別 最多は6年連続で三菱電機

 個別開示した280社のうち、最多は三菱電機の21人(前年同期22人)。2014年3月期から6年連続(18→23→23→22→22→21人)で開示人数のトップを守っている。
 2位は、日立製作所の17人で、前年同期18人から1人減。3位は、ファナックで前年同期と同数の10人だった。以下、東京エレクトロン9人、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱商事、バンダイナムコホールディングスが各8人、大和ハウス工業、三井物産、大東建託、ソフトバンクグループが各7人、エーザイ、三菱重工業が各6人と、グローバル展開する電機メーカー、商社などが上位に顔を揃えた。
 開示人数別では、最多は1人の161社(構成比57.5%、前年同期126社)で、6割近くを占めた。2人が63社(同22.5%、同63社)、3人が23社(同8.2%、同18社)と続く。10人以上は3社で、前年同期(4社)から東京エレクトロン(9人)で1社減少した。
 複数の役員が1億円以上の役員報酬を受け取った企業は119社(構成比42.5%)で、前年同期の114社より(同47.5%)より5.0ポイント低下した。
 個別開示した280社のうち、2年連続の個別開示は213社(構成比76.0%)。このうち、36社は前年同期より個別開示人数が増加し、減少は39社。同数は138社だった。
 10年連続で個別開示した企業は三菱電機、伊藤忠商事、ファナック、ソニーなど79社(構成比28.2%)で、3割にも満たない。

2019年3月期 役員報酬開示人数ランキング

役員報酬と従業員の平均給与との格差の最大は日産自動車の201.9倍

 2019年3月期の1億円以上の役員570人の基本報酬と賞与の合計(以下、報酬額)と、従業員の平均給与を比較した。
 最も格差が大きかったのは日産自動車のカルロス ゴーン元会長(報酬額16億4,700万円)で、従業員の平均給与(815万4,000円)の201.9倍の報酬を受け取った。2位は、日本調剤の三津原博元社長(報酬額6億6,300万円)で、従業員の平均給与(545万7,000円)の121.5倍。3位は、ソフトバンクグループのマルセロ・クラウレ副社長COO(報酬額11億9,200万円)で、従業員の平均給与(1,253万3,000円)の95.1倍。4位は、武田薬品工業のクリストフウェバー社長(報酬額9億700万円)で、従業員の平均給与(1,094万円)の82.9倍。5位は、アイビー化粧品の白銀浩二社長(報酬額3億500万円)で、従業員の平均給与(452万3,000円)の67.4倍。
 格差の平均は、報酬額で18.2倍(中央値14.0倍)に対し、報酬総額(基本報酬・賞与以外の報酬を含む)で30.5倍(同20.8倍)と、基本報酬や賞与以外の報酬が大きいことがわかった。


 2010年3月期から役員報酬の個別開示がスタートし、2019年3月期で10回目を数えた。海外市場の好調を反映した電機メーカー、商社などを中心に、2019年3月期は社数・人数とも過去最多を更新した。
 役員報酬の個別開示制度について、当初は「個人情報」を盾に反対論も多かった。だが、同業他社との役員報酬額の比較が可能になると同時に、株主や従業員などステークホルダーへの説明責任や報酬額の基準も明確化で評価もされるようになった。
 報酬体系は当初、多額の役員退職慰労金もあったが、ここ数年は企業が退職慰労金制度の廃止に動き、業績連動の報酬体系に移行している。このため、報酬額が大きな役員ほど、賞与や業績連動報酬が増加し、さらにストックオプションや株式報酬などの非金銭報酬も増えてきた。
 ただ、2018年11月に日産自動車のカルロス ゴーン元会長が有価証券報告書への報酬額の過少記載などで東京地検に逮捕され、役員報酬開示への信頼性が損なわれる事件も発生した。
 コーポレートガバナンス(企業統治)、コンプライアンス(法令順守)に対する意識は、年々高まっている。役員報酬の決め方や報酬額の妥当性など、企業のステークホルダーへの説明責任はより高まっている。そして、何より厳正な運用もまた求められている。

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