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「コロナ禍における食料品関連業のアンケート」調査

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公開日付:2021.05.20

 新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言などで、時短営業や休業要請で飲食業の苦境が続くが、その裏側では食料品関連業界の疲弊も進行していることがわかった。
 2020年2月から東京商工リサーチ(TSR)が実施した「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」で、飲食業を除く飲食料品の製造業・卸売業・小売業(以下、食料品関連業)を対象に、分析した。2021年4月、食料品関連業でコロナの「影響が継続している」のは84.5%(660社中、558社)に及んだ。コロナ禍で食料品関連業界は人員不足や物流停滞、さらに巣ごもり需要などが起き、その後もイベント中止や外食向け納品の鈍化、供給の偏りによる影響が続いている。
 売上回復も遅れ、コロナ関連支援策の利用は63.3%に達し、過剰債務が重くのしかかっている。
 現在、9都道府県で3回目の緊急事態宣が発令された。人流抑制で時短営業や客数の減少に喘ぐのは小売店だけでない。飲食店や外食産業は厳しい業況に追い込まれ、飲食業界と取引する食料品関連業界もまた、先行きが見通せないままだ。

  • 本調査は2020年2月~2021年4月まで毎月実施してきたインターネットによるアンケート調査の全15回分を分析した。
    飲食料品製造業(食料品製造業、飲料・たばこ・飼料製造業)、飲食料品卸売業、飲食料品小売業を「食料品関連業」と定義した。

Q1.新型コロナウイルスの発生は、企業活動に影響を及ぼしていますか?(択一回答)

2021年4月時点で「影響が継続している」は8割超
 2020年2月の第1回調査では、食料品関連業で「現時点ですでに影響が出ている」との回答は25.3%(203社)だった。新型コロナ感染拡大で中国など海外からの輸入の停滞、ホテルや飲食店からの受注減などで、2割を超える企業の活動に陰りが見え始めていた。さらに、「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」は54.3%(436社)で、すでに半数以上が強い警戒感を示していた。
 そして、2021年4月の第15回調査では「影響が継続している」は84.5%(558社)に達し、「影響が出たがすでに収束した」は4.7%(31社)にとどまった。コロナ禍収束への道筋が見えず、企業活動への影響が深刻さを増している。

2021年4月時点で3業種とも8割超の高水準
 食料品関連業で新型コロナの影響は、飲食料品小売業が最も深刻だ。2020年2月、「新型コロナウイルスの発生は、企業活動に影響を及ぼしていますか」の質問に対し、「すでに影響が出ている」の回答が飲食料品小売業は40.0%(75社中、30社)で最も高かった。さらに、2020年3月72.8%(103社中、75社)、4月80.4%(97社中、78社)と月ごとに上昇。当初、商品の入荷遅延の混乱が多く、食品スーパーなどでは客数増による店舗運営のひっ迫を訴える声が多かった。その後、時短営業や感染対策の負担などの影響を訴える声が増えた。
 2020年2月、飲食料品製造業は18.9%(396社中、75社)、飲食料品卸売業は29.6%(331社中、98社)だったが、3月以降は影響が大幅に広がった。製造業は、工場運営に欠かせない衛生用品の品薄や価格高騰とともに、外食向け受注が落ち込み、小売店向けなど一部の商品では需要が急増するなど混乱が広がった。2021年4月も、3業種はそれぞれ8割を上回っている。

Q2.貴社の前月の売上高は、前年同月を「100」とすると、どの程度でしたか?(第2回~)

2020年5月は約9割が減収、2021年3月でも2019年3月比で約7割の水準
 コロナの影響を受けた企業の売上高を分析した。2020年2月の減収企業は65.1%(482社中、314社)にとどまっていたが、徐々に増加。1回目の緊急事態宣言の発令中の5月には減収企業が85.9%(805社中、692社)に達し、うち、24.7%(199社)は売上高が半減した。
 6月以降は減収企業の比率は徐々に落ち着き、10月の減収企業は68.0%(491社中、334社)と2月と同水準まで戻した。しかし、2回目の緊急事態宣言が発令された2021年1月は、79.8%(562社中、449社)に上昇。同年3月の減収企業は54.8%(501社中、275社)だが、コロナ禍前の2019年3月と比較すると70.5%(492社中、347社)で、コロナ前の水準に遠く及ばず、厳しい経営を強いられてる。

食料品関連業

業種別 一部小売は増収も、緊急事態宣言で外食向け製造、卸売は厳しさを増す

 飲食料品製造業の減収企業率は徐々に上昇し2020年5月、85.5%(400社中、342社)に達した。
仕入れの停滞、休校による給食を含む受注のキャンセルや保護者らの休暇による稼働率の低下による減収が響いた。しかし、一方で小売向けなど一部商品の受注急増で増収企業も存在するなど二極化した。
 卸売業も緊急事態宣言の発令に伴い、2020年5月は88.8%(323社中、287社)に上った。飲食店や宿泊施設向けのほか、海外向けも物流遅延などで打撃を受けた。在庫の廃棄や2回目の緊急事態宣言を受け、2021年1月も84.3%(256社中、216社)と減収企業率は再び大幅に上昇した。製造業、卸売業は高水準を維持する飲食業と似た推移となった。
 小売業の減収企業率は2020年3月(86.9%、69社中、60社)をピークに減少するなど、他業種と対照的な動きとなった。食品スーパーは一部増収が目立ったが、その他飲食料小売店は来店客の減少で売上が伸び悩んだ。2021年3月の飲食料品製造業、卸売業、小売業の減収企業率は、2019年3月比で各69.9%、72.3%、63.8%とコロナ禍以前の業績に及ばない企業が大部分を占めた。

Q3.「新型コロナウイルス感染症特別貸付」や「セーフティネット貸付・保証」、「民間金融機関の各種融資」、「国の各種給付金」などの支援策は利用しましたか?(第3回~)

食料品関連業 支援策利用6割超え
 新型コロナ関連の支援策の利用率を分析した。
 食料品関連業のなかで支援策を「利用した」と回答したのは2020年4月は5.9%(1,108社中、66社)にとどまっていた。しかし、翌月から右肩上がりで急増。6月は31.9%(1,119社中、357社)、7月は50.1%(877社中、440社)と半数の企業がいずれかの支援策を利用している状況となった。
 その後も増加傾向が続き、2021年2月に61.0%(773社中、472社)となり、6割を突破した。
 食料品関連業は全業種よりも高い水準で推移している。


 新型コロナ感染拡大から1年が経過したが、感染拡大は一進一退を続け、社会、企業活動への影響は深刻さを増している。
 新型コロナ関連破たんは1,414件(2021年5月19日現在、負債1,000万円以上)に到達した。業種別では飲食業のトップは変わらず、今も増勢が続く。各種支援策、休業補償で急場を凌いでいる飲食業者も多いが、その陰で食料品関連業も痛みを分け合っている。飲食店との取引減少で売上が落ち込んだ企業への支援金など、食料品関連業にも目を向けた支援策は打ち出されたが、より柔軟な支援の拡充、延長を求める声が上がっている。
 第15回アンケートでは、事業再構築の意向について食料品関連業の49.7%(567社中、282社)が「再構築を行っている、行う予定がある」と回答した。新業種や新業態への参入、新規顧客開拓など、長引くコロナ禍でも新たな事業の可能性を模索している企業も多い。
 ただ、コロナ禍の長期化は深刻だ。アンケート調査で、廃業検討の可能性について「ある」と回答した食料品関連業の「廃業検討率」は、調査開始の2020年8月は5.7%(全業種7.3%)だった。だが、2021年4月は6.7%(同6.8%)に上昇している。人々の暮らしを支える食料品関連業の厳しい環境改善には、単純な資金貸出だけでは限界を迎えているようだ。

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