こうして倒産した

2019年(令和元年)8月度こうして倒産した・・・
(株)ひびき
  • 埼玉
  • 焼き鳥店ほか経営
負債総額
77億900万円
 

 (株)ひびき(TSR企業コード:313846391、法人番号:9030001057689、川越市霞ケ関北2-3-2、設立1992(平成4)年1月、資本金1億円、日疋好春社長)は8月20日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は鈴木規央弁護士(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業、千代田区内幸町2-2-2、電話03-5501-2111)。監督委員には髙木茂弁護士(銀座木挽町法律事務所、中央区銀座4-10-3、電話03-6228-4487)が選任された。負債総額は債権者181名(金融機関20名、リース債権31名ほか)に対して77億900万円。
 1990年6月創業。1994年頃から焼き鳥の提供を開始し、1995年には川越市内に第1号店をオープンさせた。以降、店舗を展開し、川越市を中心に埼玉県内に24店舗、東京都内に5店舗、茨城県内に1店舗を有し、各店舗にて焼き鳥を中心とした肉料理の販売・提供を行っていた。
 2015年6月期には売上高約15億5800万円を計上するなど堅調に推移し、出店ペースも加速させていた。しかし、過去からの積み重なった借入金の債務負担が重くのしかかったことに加え、増加した店舗の管理のために本部人員を増強させたことで経費が増大し、利益の悪化を招いていた。
 2018年と2019年には金融機関からの要請で2つの会社を買収したものの、従来の事業とのシナジー効果をあげることができず、買収費用によりさらに収支を圧迫した。また、日本酒オートサーバーの開発など非食品分野への積極的な研究投資を行ったが奏功せず、本部経費の増加により利益は悪化。こうしたなか、2018年にテナントオーナーの意向で、大きな収益源でもあった東京大手町店を撤退せざるを得なくなり、後継の有楽町店の売上も低迷し大手町店の減収を補えなかったため、2019年6月期には約13億円の赤字を計上し、債務超過に陥った。資金繰りが破綻することも明白であったことから早期に再建に着手するため、今回の措置となった。

(株)ISO(旧:ラブリークィーン(株))
  • 岐阜
  • 婦人服卸
負債総額
45億円
 

 (株)ISO(TSR企業コード:470045230、法人番号:8200001005796、岐阜市加納寿町4-1、設立1964(昭和39)年2月、資本金1億円、代表清算人:井上真典氏)は8月7日、岐阜地裁から特別清算開始決定を受けた。負債総額は約45億円。
 レディースフォーマルウェアの企画販売を手掛け、レディースフォーマルウェア業界では売上高3位に位置していた。長年の業歴を背景に、直営店と卸売の2軸で販路を構築し、ピーク時には年間売上高約176億円を計上した。しかし、同業他社との競争激化や少子高齢化による需要減少に加え、主力販売先だった総合スーパー向け売上が縮小した影響により、近年は赤字を散発していた。
 2017年5月期は8億9477万円の赤字を計上し、債務超過額は拡大。こうしたなか、東証2部上場で美容脱毛サロンや美容エステ運営企業を傘下に有する(株)RVH(TSR企業コード:350646783、法人番号:5020001030519、東京都港区)が、新設分割により設立した(株)ラブリークィーン(TSR企業コード:027238989、法人番号:9200001034844、岐阜市)を株式交換により子会社化し、事業は全て同社が継承し社員も転籍した。当社は2019年1月16日、現商号へ変更するとともに株主総会の決議により解散し、今回の措置となった。

(株)タケヤ
  • 東京
  • 靴小売
負債総額
36億9100万円
 

 (株)タケヤ(TSR企業コード:330033263、法人番号:3013101003751、立川市錦町1-1-23、設立1962(昭和37)年2月、資本金5000万円、岸澤陽一郎社長)は8月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は野中信敬弁護士(大島総合法律事務所、千代田区紀尾井町3-20、電話03-3288-5048)。負債総額は36億9100万円。
 1931年創業の老舗業者。婦人靴、スニーカー、サンダルなど靴商品全般を取り扱う小売業者として相応の規模を有し、ショッピングモールなどに専門店「CROCEED(クロシード)」、「Take5」、「coche et coche(コシュエコシュ)」など、全国で100店舗以上を展開していた。ブランド品からオリジナル企画商品まで幅広く取り扱い、ピーク時の1998年2月期は売上高約130億3300万円をあげていた。
しかし、同業他社との競合激化などから売上の減少に歯止めが掛からず、2019年1月期は売上高が約65億円にまで減少。4期連続で赤字となり債務超過額が拡大した。経営悪化も深刻化するなかで資金繰りも限界に達し、今回の措置となった。

(医)社団冠心会
  • 東京
  • 病院経営
負債総額
34億6200万円
 

 (医)社団冠心会(TSR企業コード:296430366、法人番号:3010705001446、品川区北品川5-4-12、設立1994(平成6)年9月、理事長:遠藤真弘氏)は8月27日、東京地裁より民事再生開始決定を受けた。管財人には岩崎晃弁護士(岩崎・本山法律事務所、中央区八丁堀4-1-3、電話03-6222-7231)が選任された。負債総額は34億6200万円。
 2005年開業の心臓病専門病院「大崎病院・東京ハートセンター」を運営していた。心臓・血管疾患等の専門病院として著名で、心臓血管外科や循環器内科、放射線科、麻酔科を診療科目として、2018年3月期には売上高41億171万円を計上。しかし、過去の赤字や施設への投資負担などから債務超過が続いていたうえ、病院賃借料や仕入先への支払遅延などがあり、一部は訴訟トラブルとなっていた。
 2019年4月には一部で理事長夫人の法人資金の流用疑惑が報じられるなど信用性が低下。4月24日には当時、遠藤真弘氏が理事長を兼務していた(医)一成会(TSR企業コード:430130716、法人番号:8030005001108、さいたま市)が負債17億2403万円を抱え、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、影響が懸念されていた。また、当院の医師の退職が相次ぐなか7月30日、債権者より破産を申し立てられていた。

(株)エステートジャパン
  • 京都
  • 不動産売買・仲介
負債総額
25億円
 

 (株)エステートジャパン(TSR企業コード:641228120、法人番号:2130001020032、京都市中京区烏丸通押小路上る秋野々町535、設立1986(昭和61)年6月、資本金1億円、三上隆社長)は8月9日、京都地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には松枝尚哉弁護士(松枝法律事務所、同市中京区富小路通二条上る鍛冶屋町368-2、電話075-211-8788)が選任された。負債総額は債権者29名に対し約25億円。
 京都府府議会議員経験を有する三上隆氏が設立し、商業施設用地に特化した不動産売買・仲介を主業務としていた。不動産開発を主体としたビジネスを推進し、バブル期には京都市内の土地売買などを手掛け、1990年5月期はビル売却などもあって売上高約60億円を計上した。
 しかし、バブル崩壊により不動産価格が大きく下落して業容が縮小し、業況も好転せず再度の資金ショートを起こし2002年6月、行き詰まりを表面化した。その後は大手量販店との結び付きを強め、関東方面に進出するなどして事業を継続し、2015年5月期には大型の不動産売却もあって売上高は33億3254万円を計上したが、2016年5月期は売買案件がほとんどなく売上高は4億3849万円に縮小。こうしたなか、数年前に購入した愛知県内の物流施設用地の売却案件がまとまらない状態が続くなか、債権者より破産を申し立てられた。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
負債額順にまとめた記事はこちら

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「人手不足」企業、69.3%で前年よりも悪化 建設業は8割超が「正社員不足」で対策急務

コロナ禍からの経済活動の再活性化で人手不足が深刻さを増し、「正社員不足」を訴える企業が増加している。特に、2024年問題や少子高齢化による生産年齢人口の減少などが、人手不足に拍車をかけている。

2

  • TSRデータインサイト

「食品業」倒産 2年連続増加の653件 原材料やエネルギー価格、人件費上昇が負担

歴史的な円安が続くなか、歯止めが掛からない食材の価格上昇、人件費などのコストアップが食品業界の経営を圧迫している。2023年度(4-3月)の「食品業」の倒産(負債1,000万円以上)は653件(前年度比16.3%増)で、2年連続で前年度を上回った。

3

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】テックコーポレーションと不自然な割引手形

環境関連機器を開発していた(株)テックコーポレーションが3月18日、広島地裁から破産開始決定を受けた。 直近の決算書(2023年7月期)では負債総額は32億8,741万円だが、破産申立書では約6倍の191億円に膨らむ。 突然の破産の真相を東京商工リサーチが追った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年の「中堅企業」は9,229社 企業支援の枠組み新設で、成長を促進し未来志向へ

東京商工リサーチの企業データベースでは、2024年3月時点で「中堅企業」は9,229社(前年比1.2%増、構成比0.7%)あることがわかった。うち2023年の中小企業が、2024年に「中堅企業」に規模を拡大した企業は399社だった。一方、「中堅企業」から「中小企業」へ規模が縮小した企業も311社みられた。

5

  • TSRデータインサイト

「経営者保証」 75%の企業が「外したい」 保証料率の上昇、金融機関との関係悪化を懸念する声も

資金調達時の経営者(個人)保証について、「外したい」と回答した企業が75.5%にのぼり、経営者保証に拠らない融資へのニーズが大きいことがわかった。ただ、保証料率の上乗せや金融機関との関係悪化を懸念して経営者保証を外すことに慎重な企業も多い。

記事カテゴリを表示
記事カテゴリを閉じる

プリントアウト

RSS

CLOSE
TOPへ