(株)エー・シー・リアルエステート(渋谷区千駄ヶ谷5−8−10、設立昭和12年3月、資本金5291万円、服部克彦社長、従業員40名)は、11月15日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は約3526億7600万円。
同社は元東証1部上場の準大手ゼネコン(株)フジタの分割会社。旧・フジタは平成14年10月建設事業(新・フジタ)と不動産事業(エー・シー・リアルエステート、以下AC社)に会社を分割、本業の建設部門は新・フジタ(東証2部上場)が引き継ぎ、不動産事業は旧・フジタに残し商号をAC社に変更、不良化した販売用不動産などの処理を進めてきた。会社分割当時、旧・フジタは連結有利子負債約8600億円を抱えていたが新・フジタに約2700億円、約3500億円はAC社に残していた。
旧・フジタは準大手ゼネコンとして建築土木のほかバブル期に都市開発事業にも積極的に取組んできた。都市開発事業は地権者から自前の資金を投じて用地買収し施設建設を行ってきたため、多額の不良資産を抱え込んでいた。このため、借入金は平成9年には6400億円近くに膨れ、旧・フジタは平成10年12月に中期経営計画としてメインバンクだった旧・さくら、旧・東海銀行などに1200億円の債権放棄を要請していた。ところが建設不況の進行から不良資産処分は進まず、平成14年に再度の再建策として会社分割による抜本的な不良資産処理を進めてきた。
その後、AC社は西新宿地区など工業団地の販売用不動産処分を進め、平成17年3月期は年商114億1200万円をあげていた。しかし、不良資産処分に伴い同期で1839億円の赤字を計上、累積赤字は3450億円に達し、3449億円の債務超過に陥っていた。
こうした中、今年9月末までに資産処分の目途が立ち、また新・フジタの金融支援も完了したことから今回の申立となった。
(株)シンコー(大阪市中央区島町2−1−15、設立昭和47年11月、資本金4500万円、松本敏博社長、従業員378名)と関連会社3社は2月10日、大阪地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債はシンコーが約2020億円で4社合計約2459億円。
シンコーは昭和47年11月創業設立したゴルフ場経営会社。昭和50年10月に「グリーンハイランドカントリー倶楽部」(三重県名張市)をオープンしたのを皮切りに54年7月「三木セブンハンドレッド倶楽部」(兵庫県三木市)、61年11月「六甲カントリー倶楽部」(兵庫県西宮市)、平成2年11月「奈良若草カントリー倶楽部」(奈良県山辺郡)、4年6月「ロータリーゴルフ倶楽部」(神戸市北区)、6年3月「サンリゾートカントリークラブ」(和歌山県海草郡)を相次いで開場。その結果、6コース126ホールを保有し、ピーク時の平成5年12月期には年商102億8600万円をあげていた。
しかし、近年は個人消費の低迷を反映してゴルフ利用者が減少していたうえ、同業者との競合から客単価が下落、15年12月期は年商47億8100万円に減少、過去のゴルフ場開発、海外レジャー施設建設などにともなう借入負担が経営を圧迫していた。このため、商業用不動産や遊休資産を売却して借入の圧縮を図るほか、従業員の削減などのリストラを実施してきたが、資産売却による多額の特別損失から81億2600万円の債務超過に陥っていた。そうした中、預託金(約1400億円)の返還請求が増加、現状での自力再建が困難な状況から民事再生法による再建を図ることとなった。
豊秀興産(株)(守口市京阪本通2−3−6、設立昭和27年12月、資本金544億円、財前正智代表)は、9月30日株主総会で解散を決議し、大阪地裁より特別清算手続開始決定を受けた。負債は約1500億円。
同社は、平成17年4月に松下興産(株)から商号変更した。旧:松下興産は、松下電器産業の創業者、松下幸之助氏によって設立され、松下電器産業グループの不動産部門として「松下IMPビル」を始め、全国に展開する「MIDビル」やリゾートマンションなどの不動産業を主体に、「ギャラリーツイン21」「MIDシアター」「IMPホール」などの商業施設の運営、豪州のホテルなどの海外事業、「和歌山マリーナシティ」などの大型プロジェクトを展開していた。
しかし、ゴルフ場など大型リゾート開発により負債が膨張し、バブル崩壊により経営が悪化、平成13年より不採算事業の整理を進め、14年には松下電器産業、三井住友銀行などから1500億円の金融支援を受けていた。その後も事業の整理を進めていたものの、18年3月期から導入される減損会計で債務超過に陥る公算が大きくなったため、好調な不動産事業を新設会社に移す一方、不振の観光事業は残し資産売却を進める再建計画を公表していた。
平成電電(株)(渋谷区広尾1−1−39、設立平成2年7月、資本金16億8235万円、佐藤賢治社長、従業員1100名)は10月3日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立て同日保全命令を受けた。負債は約1200億円。
同社は平成2年7月の設立だが、休眠状態を経て実質的には平成8年3月に創業した通信サービス業者。通信業界の規制緩和を受けて「マイライン」に参入、中継電話サービス事業を手掛け、平成15年7月業界に先駆けて低価格を売り物にした直収電話サービスの「CHOKKA(チョッカ)」を提供。人気俳優を使ったテレビコマーシャルを大々的に流し、平成17年1月期には年商440億6000万円をあげていた。
また、今年8月にソフト開発のドリームテクノロジーズ(株)(大証ヘラクレス)を子会社化、11月からはドリーム社と協同して全国規模での高速・大容量の無線LAN事業に乗り出すとし、この間に平成電電システム匿名組合を窓口に一般投資家から出資を募るなどして資金を調達していた。
しかし、「CHOKKA」事業のために多額の設備投資を実施したにも関わらず、手続きが煩雑だったことや大手通信会社の参入に加えてNTTが固定電話の基本料金の値下げを行ったことから、「CHOKKA」契約者数の伸びが鈍化し計画を下回り、金融債務が経営を圧迫するようになった。
このため、7月に「マイライン」事業をドリーム社に譲渡、「CHOKKA」を主体にして経営の建て直しを図るとしていたが、10月3日以降の資金繰りの目処が立たず、10月2日に取締役会を開催し民事再生手続開始を申し立てた。
(株)富士エクセレント倶楽部(名古屋市中区錦3?23?31、登記上:東京都中央区京橋1?5?5、設立平成8年4月、資本金2億5000万円、梅田吉道社長、従業員104名)は、1月20日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は約958億円。
同社は全国に25カ所のゴルフコースを擁した富士カントリーグループの1社として平成8年4月に設立された。平成10年8月「御嵩花トピアゴルフ場」(岐阜県可児郡御嵩町古屋敷)と「伊勢大鷲ゴルフ場」(三重県久居市稲葉町)をオープンしたのに続き、平成11年9月「一志温泉ゴルフ場」(三重県一志郡一志町波瀬)と「伊勢二見ゴルフ場」(三重県伊勢市朝熊町)をオープン、平成12年10月期には年商25億2900万円をあげていた。
しかし、利用者の減少やビジター料金の値下げなどで平成13年10月期は年商20億4700万円に減少。このため、平成14年1月に「稲武カントリークラブ」(愛知県東加茂郡稲武町夏焼クダリヤマ)の営業譲渡を受け、14年10月期は年商22億2900万円に回復した。だが、15年10月期は年商20億2100万円と再び低下、特別損失553億5700万円の計上で561億6400万円の赤字となり債務超過に陥っていた。そうした中、昨年12月からグループ企業の破たんが相次ぎ、同社も民事再生法による再建を図ることになった。
東京都の第三セクターで臨海副都心地区のビル賃貸を手がける東京ファッションタウン(株)(江東区有明3−1、設立平成5年8月、資本金172億4500万円、荒木繁雄社長)と(株)タイム二十四(江東区青海2−45、設立平成2年3月、資本金24億8400万円、村岡茂生社長)の両社は、過大投資から経営に行き詰まり3月31日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。
負債は東京ファッションタウンが約900億円(うち金融債務約850億円)、タイム二十四が約500億円(うち金融債務約450億円)。両社は債務の約70%カットを金融機関に要請する意向で、都は両社に対する出資金約46億円のほか、滞納地代約36億円を放棄するという。
各地で経営不振に陥った第三セクターを特定調停法で救済する流れが主流だが、東京都は透明性を優先し、民事再生手続による破たん処理を選択した。
東京ファッションタウンは東京都が24.6%出資する第三セクター。東京有明の臨海副都心地区にファッションビジネスの一大拠点を形成し、ファッション関連産業の活性化と企業力の強化を図ろうと平成8年4月「TFTビル」(東館及び西館)を開業した。その後、平成12年4月から「TFTビル」を(株)東京国際貿易センター(現:(株)東京ビッグサイト)にサブリースしていたが、平成16年3月期の売上高は38億4900万円にとどまり、バブル期に計画した賃料収入に届かなかった上に、減価償却や金利負担から16年3月期末で277億8000万円の累積赤字を抱え、105億円の債務超過に陥っていた。
タイム二十四は東京都が16.1%出資。東京青海地区の東京テレポートタウンでインテリジェントビル「TIME24」ビルを賃貸し、同ビルには大手情報開発会社や東京都の家賃補助を受けたベンチャー企業などが入居していた。しかし、平成16年3月期の売上高は19億円にとどまり、同期末で累積赤字156億5700万円を抱え債務超過は131億円に達していた。
東京都の第三セクターの経営破たんは、平成13年3月債権者の東京都が民事再生手続開始を申し立てた(株)多摩ニュータウン開発センター(八王子市、負債384億円)に次ぐケースで、市民団体からも臨海部でビル事業を手がける第三セクターの経営支援打ち切りや破たん早期処理を求められていた。
(株)松村組(大阪市北区東天満1−10−20、設立大正8年7月、資本金130億3000万円、石田忠良社長、従業員809名)は5月5日、大阪地裁へ民事再生手続開始を申し立て保全命令を受けた。負債は約833億7400万円(平成17年3月31日現在、金融債務約456億円、工事代金債務約345億円、その他約32億円)。
同社は明治27年10月の創業、昭和38年12月大証2部、49年4月大証1部に上場した中堅ゼネコン。大阪、東京のほか北海道から九州に営業拠点30カ所以上を設置して事業規模を拡大、バブル期には大型土地開発も数多く手掛け、ピーク時の平成5年3月期には年商2562億1200万円をあげていた。
しかし、バブル崩壊後の建設不況の影響を受けて業績は低下、平成16年3月期は年商995億6800万円にまで落ち込み247億7500万円の赤字を計上した。その間、有利子負債の圧縮や従業員の削減などのリストラに取り組んでいたが、青木建設、藤木工務店、セザール、福島県勤労者住宅生活協組、森本組などに相次いで不良債権が発生して財務内容はさらに悪化。このため、昨年3月に主力行の三井住友銀行から260億円の金融支援(優先株引き受け)を受けるなど再建への体制をすすめていた。
だが、受注環境の悪化は予想を超え、17年3月期は年商875億円にまでダウン。さらに、(学)大阪経済法律学園との土地売買代金請求訴訟の第二審で逆転敗訴したことにより約50億円の引当金計上を余儀なくされ、経常赤字3億5000万円、当期赤字95億9000万円(予想)にまで低落、今後も計画通りの業績達成は難しく自力再建は困難と判断、民事再生法による再建を選択した。
(株)ギャラック(岐阜市鹿島町1−13、登記上:各務原市成清町1−1、設立昭和47年8月、資本金4800万円、川島國良社長)は、4月26日債権者の整理回収機構(RCC)から破産手続開始を申し立てられ27日大阪地裁より破産手続開始決定を受けた。負債は約690億円(金融債務約260億円、会員預託金約380億円、公租公課約10億円、その他約40億円)。
同社は昭和47年8月に現代表者の一族で経営する紡績会社が脱織物業を目指してゴルフ場経営に乗り出し武芸川開発(株)として設立、昭和63年9月に現商号に変更した。49年にゴルフ場「美濃カントリー倶楽部」(関市)をオープン。その後平成5年3月「ギャラクシー淡路リゾート」(兵庫県津名郡)をオープンし、ピーク時の平成6年7月期には年商約34億円をあげていた。
しかし、「ギャラクシー淡路リゾート」は、造成地区からの遺跡出土などにより完成が遅れたうえ、不況や阪神大震災による利用者減少なども重なり業績は低迷、多額の借入負担が経営を圧迫していた。このため、人員の縮小・遊休不動産の売却・不採算事業からの撤退、事業所の統廃合などリストラを進め、平成11年5月には2カ所のゴルフ場運営を別法人に委託した。だが、平成15年7月期は年間収入約5900万円にとどまり、現状での自主再建は困難な状況から債権者のRCCが破産を申し立てた。
インベ(株)(旧・フジタインベストメント(株)、渋谷区千駄ヶ谷5−8−10、設立昭和61年12月、資本金2160万円、松井幸夫代表)は11月14日開催の株主総会で解散を決議していたが、25日東京地裁より特別清算手続開始決定を受けた。負債は約650億円。
同社は昭和61年に東証1部上場の準大手ゼネコン旧・(株)フジタが有価証券の売買、金銭の貸付を目的に設立。グループファイナンスという位置付けで旧・フジタのグループ企業への資金貸付、資金運用を主業務とし、旧・フジタからの債務保証などで資金を調達。ピーク時には1500億円を超える貸付金や株式などの資産を運用していた。
しかし、バブル崩壊後は貸付先であるフジタグループ企業の経営悪化を受けて業績は大幅に悪化。そうした中、平成14年10月、旧・フジタが会社分割による再建策に着手。同社は不動産事業を引き継いだ(株)エー・シー・リアルエステート(旧・フジタ)の子会社となり、以降は業容を縮小して資産処分などを進めていた。今回の措置は、旧・フジタ関連の債務処理の一環で、17年10月フジタインベストメント(株)から現商号に変更していた。
(株)大阪シティドーム(大阪市西区千代崎3中2−1、設立平成4年1月、資本金96億7100万円、淡居毅社長、従業員86名)は10月7日、大阪地裁へ会社更生手続開始を申し立てた。負債は約588億円。
同社は平成4年1月に大阪市が資本の20.6%を出資して設立された第三セクター。平成9年3月に総事業費696億円を投入して5万人規模の収容人数を持つ全天候多目的ドーム、通称「大阪ドーム」をオープン。当初は「大阪近鉄バファローズ」の本拠地球場として利用されるほか、各種コンサートや展示会などが開催され、平成10年3月期には年商91億3000万円をあげていた。
しかし、建築資金の大半を借入金で賄っていたため金利負担が財務を圧迫、多額の減価償却費計上などで開業以来、赤字が続いていた。近年は不況を反映してイベントの受注が減少、16年3月期は年商54億4200万円にとどまり、17億5100万円の赤字を計上、234億6800万円の累損を抱え、137億9700万円の債務超過に陥っていた。
このため、自力での営業継続は困難として、昨年11月に特定調停手続開始を申し立て、債権者である大阪市や金融機関と交渉、債務免除額や今後の事業計画の策定を進めていた。だが、17年3月期は年商52億3600万円、17億7500万円の欠損を計上、債務超過は155億7200万円(累損252億4300万円)に拡大した。
さらに、今期は本拠地として利用していた「大阪近鉄バファローズ」が球団統合により「オリックス・バファローズ」となり大阪ドームでの主催ゲームが減少、また観客のジャンプによる振動問題からロックコンサートの開催が昨年冬以降出来なくなるなど経営環境が悪化していた。
そうした中、特定調停ではドーム施設を筆頭株主である大阪市に売却し、売却代金を金融機関に返済した上で残額を債権放棄してもらう方針であったが、今年6月に出た不動産鑑定が金融機関側の予想を大きく下回る98億8000万円となり、これにより金融機関の債権放棄額が拡大するため金融機関が反発、大阪市の追加支援を求めていた。だが、大阪市としても、買い取り金額を上乗せすれば公費負担が増え、市民からの反発も大きくなることから調整が難航、7月の提出を予定していた弁済計画が9月になっても提出できず、動向が注目されていた。
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