ムツミハウス(株)(大阪市淀川区宮原2−12−5、登記上:吹田市江の木1−1、設立昭和41年6月、資本金1億2150万円、春日健司社長)と関連会社の(株)アルファー・ビーム(同所、設立平成3年11月、資本金1000万円、岩井幸一郎社長、飲食業ほか)、ユニバーサル商事(有)(同所、設立昭和63年6月、資本金1000万円、平山東一社長、レジャー業)は6月27日、大阪地裁より破産手続開始決定を受けた。負債はムツミハウスが453億1375万円、アルファー・ビームが1億785万円、ユニバーサル商事が7454万円(債権者は両社ともムツミハウスのみ)。
ムツミハウス(高杉開発(株)から今年5月に社名変更)は不動産販売や建売を手掛けるグループを形成、テレビCMなどで知名度を高め、近畿地区のほか西日本を中心とした営業エリアで展開、ピーク時の平成8年5月期には年商527億8500万円をあげていた。
しかし、バブル崩壊とともに経営が悪化、借入の一部が整理回収機構(RCC)へ移行したほか、金融機関から多額の債権放棄などの支援を受け、さらに損切販売を進めて金融債務を圧縮、採算物件は別会社に移していた。このため、営業規模は大幅に縮小、16年5月期は年商5945万円にとどまり、存続の見通しが立たないとして6月13日、関係会社とともに破産を申し立てた。
(株)天神興産(旧・勝山産業(株)、北九州市小倉北区大手町11−2、設立昭和54年3月、資本金4000万円、安東竜一社長、従業員250名)は6月21日、福岡地裁に民事再生手続開始を申し立て同日保全命令を受けた。負債は約333億円。
同社は昭和24年4月の創業、48年頃からパチンコ店の経営に進出、54年3月勝山産業(株)として法人化した。北九州市内に「ライオングループ」の名称でパチンコ店8店舗、サウナ店「グリーンランド」を天神・中洲・小倉他で経営、平成15年7月期には年商約344億円をあげていた。
しかし、平成1年11月天神ビル(本社)に約85億円、2年9月葛原店に約65億円を投じるなど、過去の積極的な設備投資で年商に匹敵する借入負担が財務を圧迫していた。こうした中、パチンコ店経営は同業間の競争激化で低迷、16年7月期は年商304億円にとどまり約1億円の赤字に転落、苦しい資金繰りが続いていた。
そのため、不採算店を閉鎖するなど合理化策を実施する一方、金融機関に債権放棄を要請していたが、銀行から債権譲渡を受けた外資系サービサーが債権放棄に難色を示し、自主再建に狂いが生じたため民事再生法による再建を決断した。
弘済建物(株)(千代田区麹町5−1、設立昭和34年10月、資本金1億円、杉山義郎代表)は、3月31日開催の株主総会で解散を決議、東京地裁に特別清算手続開始を申し立て5月27日開始決定を受けた。負債は約318億円。
同社は昭和34年10月に(財)鉄道弘済会の100%出資により設立された不動産会社。不動産売買のほか宅地造成(藤代、喜連川、矢板)、不動産賃貸管理、ゴルフ場・ホテル経営、不動産関連サービスなどを手掛け、ピーク時の平成6年3月期には年商136億6600万円をあげていた。しかし、バブル崩壊後の不動産市況低迷により主力の不動産事業が低迷。平成10年5月に不動産賃貸、ゴルフ場事業を弘済事業(株)に譲渡、業務縮小により16年3月期は年商2億4200万円に減少、当期損失20億5600万円を計上して大幅な債務超過に陥っていた。このため、事業所体制の見直し、遊休資産処分など所有不動産の整理を進めていたが、借入負担が重荷となっていた。
(株)本間ゴルフ(世田谷区上野毛4−35−10、設立昭和34年2月、資本金30億2765万円、本間秀一社長、従業員785名)は6月20日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は約305億7200万円。
同社はゴルフクラブ・パーシモンウッドの国内メーカーとして知られる高級ゴルフクラブ製造販売業者。昭和33年1月に横浜市でゴルフ練習場を開業、翌34年2月に(有)鶴見ゴルフセンターとして法人化、平成2年4月数回の商号変更を経て現商号となった。その後、平成4年10月系列会社の(株)本間ゴルフ製作所(店舗・ゴルフ場開発)と(株)本間ゴルフ興産(ゴルフクラブ・用品製造)の2社を吸収合併し現在の体制となり、平成7年8月日本証券業協会(現・JASDAQ)に株式を店頭登録した。
主な事業内容は、ゴルフクラブを中心にゴルフウェア・ゴルフ関連商品を製造・販売するが、特に「HONMA」ブランドのゴルフクラブは高級品としてゴルファーに浸透、国内生産されるハンドメイドの高級ゴルフクラブが中心だった。また、全国主要都市に約70の直営店を展開するほか、ゴルフ場「本間パブリック和歌山コース」を経営、ゴルフ場事業にも係ってきた。
しかし、近年はゴルフ市場の停滞や海外ブランド勢の進出の影響を受け、9年3月期には年商341億4600万円が、16年3月期は163億2400万円と半減。このため、直営店の展開やゴルフ場建設など設備投資にともなう借入負担約259億円(平成16年9月末現在)が経営を圧迫していた。この間、不採算店の閉鎖、従業員の削減などのリストラに取り組んできた。
だが、17年3月期の決算予想を、売上高5億円減少、在庫評価損25億円、子会社評価損13億円、固定資産売却損5億円により当期利益が44億円減少、48億円の最終赤字に下方修正。加えて5月26日会計監査人から17年3月期決算につき「返済期日が到来し期限の利益を喪失している多額の借入金があり、当該借入金に関する複数の金融機関との協議が継続中であるため、現時点では経営計画等が未確定である」とされ、「意見を表明しない」旨の監査報告書が出され、ジャスダック市場からも監理ポストに移す決定を受けていた。以降は、関係筋と調整を図るも先行きの見通しは厳しく、そうした中17年9月(中間)期決算で保有不動産に対する固定資産の減損会計を迫られ債務超過が確実になったことから自主再建を断念、民事再生法による再建を選択した。
(株)那珂川ゴルフ倶楽部(栃木県芳賀郡茂木町大字町田2015−4、東京事務所:中央区八丁堀2−3−2、設立昭和47年11月、資本金2000万円、鴨下存代表、従業員50名)は6月24日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は預託金を中心に約187億円。
同社は昭和47年11月に設立されたゴルフ場経営会社。オイルショックの影響などで一時開発計画が頓挫、59年の経営者交代を経て63年9月「那珂川ゴルフ倶楽部」(栃木県芳賀郡茂木町)をオープンした。同ゴルフ場は18ホール、6368ヤード、パー72、96万平方メートルの丘陵コース。関連会社が経営するホテルを併設、ピーク時の平成5年9月期には会員約2700名を擁し年商約10億1000万円をあげていた。
しかし、バブル崩壊後は利用客の減少に歯止めがかからず業績が低迷、平成16年9月期は年商約4億円にまで落ち込んでいた。このため、プレー料金の値下げやホテル宿泊とセットにした割安のパック商品の販売などで業況回復を図ってきた。だが、会員権の預託金償還問題も抱えていたことから現状での自主再建は困難と判断、事業譲渡を前提に今年5月31日鴨下氏が代表に就任し民事再生手続開始を申し立てた。
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