東京都の第三セクターで臨海副都心地区のビル賃貸を手がける東京ファッションタウン(株)(江東区有明3−1、設立平成5年8月、資本金172億4500万円、荒木繁雄社長)と(株)タイム二十四(江東区青海2−45、設立平成2年3月、資本金24億8400万円、村岡茂生社長)の両社は、過大投資から経営に行き詰まり3月31日東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。
負債は東京ファッションタウンが約900億円(うち金融債務約850億円)、タイム二十四が約500億円(うち金融債務約450億円)。両社は債務の約70%カットを金融機関に要請する意向で、都は両社に対する出資金約46億円のほか、滞納地代約36億円を放棄するという。
各地で経営不振に陥った第三セクターを特定調停法で救済する流れが主流だが、東京都は透明性を優先し、民事再生手続による破たん処理を選択した。
東京ファッションタウンは東京都が24.6%出資する第三セクター。東京有明の臨海副都心地区にファッションビジネスの一大拠点を形成し、ファッション関連産業の活性化と企業力の強化を図ろうと平成8年4月「TFTビル」(東館及び西館)を開業した。その後、平成12年4月から「TFTビル」を(株)東京国際貿易センター(現:(株)東京ビッグサイト)にサブリースしていたが、平成16年3月期の売上高は38億4900万円にとどまり、バブル期に計画した賃料収入に届かなかった上に、減価償却や金利負担から16年3月期末で277億8000万円の累積赤字を抱え、105億円の債務超過に陥っていた。
タイム二十四は東京都が16.1%出資。東京青海地区の東京テレポートタウンでインテリジェントビル「TIME24」ビルを賃貸し、同ビルには大手情報開発会社や東京都の家賃補助を受けたベンチャー企業などが入居していた。しかし、平成16年3月期の売上高は19億円にとどまり、同期末で累積赤字156億5700万円を抱え債務超過は131億円に達していた。
東京都の第三セクターの経営破たんは、平成13年3月債権者の東京都が民事再生手続開始を申し立てた(株)多摩ニュータウン開発センター(八王子市、負債384億円)に次ぐケースで、市民団体からも臨海部でビル事業を手がける第三セクターの経営支援打ち切りや破たん早期処理を求められていた。
(株)山武グリーンカントリー倶楽部(千葉県山武郡山武町椎崎1552、設立昭和61年8月、資本金8000万円、中島榮三社長、従業員70名)は3月14日、東京地裁へ民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は加々美博久弁護士(東京都港区虎ノ門3−8−21、電話03−3437−2211)。監督委員には涌井庄太郎弁護士(東京都千代田区内神田1−15−11、電話03−3294−7222)が選任されている。負債は約369億円。
同社は昭和61年8月に設立されたゴルフ場経営会社。土地買収費約120億円、建設費約110億円を掛けて平成6年7月「山武グリーンカントリー倶楽部」をオープンした。同ゴルフ場は18ホール、6706ヤード、パー72、99万平方メートルで、山武杉が密生するフラットな丘陵コース、温泉を引き込んだ和風クラブハウスを併設する。
だが、平成16年7月期は年商約9億円にとどまり、約4億2000万円を計上するなど低収益が続いていた。そうした中、平成13年から預託金の償還期が到来していたうえ、ゴルフ場建設費用など約250億円にのぼる借入負担が経営を圧迫、金利の支払も滞る状況から自力再建を断念して民事再生法による再建を選択した。
平成16年7月東京地裁に債権者の(株)整理回収機構(RCC)から会社更生手続開始を申し立てられていた日栄総業(株)(中央区銀座8−5−18、資本金4000万円、佐藤英治社長)は、会社更生法での再建は困難と判断され3月8日、同地裁より破産手続開始決定を受けた。破産管財人は長島良成弁護士(千代田区五番町5−5、電話03−5276−1321)。負債は約342億7000万円。
同社は昭和47年10月にゴルフ場経営を目的に設立され、58年10月に「南千葉ゴルフ倶楽部」(千葉県夷隅郡)をオープンした。また、ゴルフ場に隣接したリゾート施設「サットグランドホテル大多喜」のほか、南房総の城崎海岸にリゾートホテル「サットグランドホテル小湊」(千葉県安房郡)をオープン、ピーク時の平成3年9月期には年商24億2000万円をあげていた。
しかし、近年はゴルフ場利用客の減少、ホテル利用者の伸び悩みなどから業績は低迷。15年9月期は年商6億9000万円まで低下し赤字計上から債務超過に陥っていた。また、会員権の預託金償還の問題も発生。会員に対して預託金をプレー料金や宿泊費と相殺させる「償還プレー」を実施して対応していたが、実態はプレー費が無料で収入の減少に拍車をかける結果となっていた。このため、関連会社へ業務移管を図るなど経営の効率化に努めていたが業況は好転せず、一部金融機関の借入が移行していたRCCから会社更生手続開始を申し立てられていた。
アイジー(株)(渋谷区渋谷2−6−11、設立昭和45年9月、資本金11億675万円、竹内邦芳社長、従業員7名)は2月25日、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てた。負債は約270億円。
同社は昭和45年に別荘地の分譲、貸別荘の経営を目的に(株)八ヶ岳中央観光の商号で設立された。その後、宿泊観光、建設、不動産等の関係会社を発足させ、平成1年に同社がそれらの関係会社を合併して(株)泉郷に商号変更。八ヶ岳、蓼科、伊豆高原などの別荘分譲やリゾート施設の運営と会員権の販売を主力に、平成6年3月期には年商199億6900万円をあげていた。
しかし、積極的な事業を展開していたため、ホテル・別荘など施設への資金投下が多額におよび、借入負担が経営を大きく圧迫していた。また、最近はリゾート部門の低迷に加え、別荘分譲の不振もあって業績が低迷、14年11月期(13年決算期変更)は年商66億3600万円まで落ち込み、大幅赤字計上から債務超過に陥っていた。このため、株主や取引先の協力を得て経営再生計画に着手。15年4月1日に会社分割で観光事業部門を新設会社((株)泉郷、現:(株)セラヴィリゾート泉郷)に移管し、同社は現商号に変更。以降は、不動産の管理業務に特化して金融機関と協議しながら資産売却を進めていた。
上松商事(株)(岸和田市木材町13−2、設立昭和48年2月、資本金2000万円、間崎清志社長、従業員77名)と関連会社のニッピンド(株)(岸和田市木材町13−2、設立昭和63年10月、資本金2500万円、同社長)の両社は、2月25日までに事業を停止。事後を弁護士に一任、3月破産手続開始を申し立てた。負債は上松商事が262億円、ニッピンドが約139億円。
上松商事は合板(コンパネ)を主力にフロアーベース、薄物合板などを販売、国内の大手建材商社などを対象に、平成6年11月期には年商1613億円をあげる有力企業に成長した。しかし、その後は業界不振を反映して業績は低下、15年11月期は年商611億円にとどまり、人員整理に伴う退職金支出もあって10億4200万円の大幅赤字を計上、以後も業況は厳しく回復のメドが立たないことから事業の継続を断念した。
なお、関連会社のニッピンドは、インドネシア産型枠用合板の窓口一本化を目的にインドネシア合板協会と上松商事の共同出資で設立されたもの。上松商事のほか国内合板商社に販売、平成9年9月期には年商2362億円をあげていた。だが、近時はインドネシアの情勢変化により売上が立たない状態となっていた。
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