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「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

~最低賃金「26年度引き上げ」「1,500円以上」に関するアンケート調査~


 厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。

 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

 政府が目標に掲げる2020年代の時給1,500円は、対応が「不可能だ」と回答した企業は39.3%と4割を切った。目標まであと4年に迫るなか、 「不可能」と回答した企業は1年前の前回調査(2025年10月)の49.2%から9.9ポイント改善した。だが、最低賃金の引き上げに対し、「できる対策はない」と回答した企業が10.3%(5,354社中、552社)あり、最低賃金の改定に苦慮する企業の姿が見え隠れする。
 
 東京商工リサーチは、10月1-8日に企業アンケートを実施した。「引き上げ後の最低賃金額より低い時給での雇用はない」との回答は48.6%で、前回の43.2%から5.4ポイント上昇した。
 最低賃金引き上げへの対応は、「設備投資を実施して生産性を向上させる」が19.8%で、前回(20.1%)とほぼ同水準だった。一方、「商品やサービスの価格に転嫁する」は43.9%で、前回から4.8ポイント上昇した。
 時給1,500円を「すでに達成している」、「可能だ」との回答は60.6%で、前回(50.7%)から9.9ポイント上昇した。賃上げ余力のある企業は、最低賃金の改定に取り組んでいるようだ。
 ただ、時給1,500円への対応策として、「解雇規制の柔軟化」との回答が3割に達した。賃上げに対応するため、従来の範疇に捉われない人員の適正化への意識に変化が生じつつある。
※本調査は2026年10月1~8日にインターネットによるアンケート調査を実施。有効回答5,354社を集計し、分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
※最低賃金の年度引き上げに関しては2024年8月、1,500円への引き上げに関しては2024年12月、両テーマで2025年10月、それぞれ同一設問で調査を実施している。

Q1.2026年度の最低賃金(時給)引き上げ額の目安は56円(全国加重平均)で、目安通りに引き上げられた場合、最低賃金は全国平均1,177円となります。今回の引き上げを受けて、貴社では給与設定を変更しますか?(択一回答)

◇今回の改定で「給与を引き上げる」企業が51.3%
 最多は、「引き上げ後の最低賃金額より低い時給での雇用はなく、給与は変更しない」の48.6%(5,302社中、2,578社)だった。前回調査(2025年10月)の43.2%より5ポイント以上上昇した。
 一方、「引き上げ後の最低賃金より低い時給での雇用はないが、給与を引き上げる」は24.6%(1,309社、前回29.5%)、「引き上げ後の最低賃金額を下回っており、最低賃金額と同額まで給与を引き上げる」が13.5%(716社、同15.2%)、「現在の時給は引き上げ後の最低賃金を下回っており、最低賃金額を超える水準まで給与を引き上げる」が13.1%(699社、同11.9%)で、合計51.3%が今回の引き上げにより給与を改定すると回答した。
 引き上げ後の最低賃金より低い時給での雇用がある企業は26.6%だった。
 規模別でみると、現在の時給が引き上げ後の最低賃金より低い企業は、大企業で27.9%(369社中、103社)、中小企業では26.5%(4,933社中、1,312社)だった。

今回の改定で「給与を引き上げる」企業が51.3%

Q2.来年度(2027年度)も最低時給の引き上げが見込まれます。貴社で許容できる来年度の最低賃金(時給)の上昇額は最大でいくらですか? 

◇許容額の中央値は50円
 来年度許容できる引き上げ額を聞いた。2,525社から回答を得た。
 最多は「許容できない」の19.2%(485社)。前回調査の18.8%より0.4ポイント下落した。
 レンジ別では、最多は「41円以上50以下」の18.9%(478社)。許容額の中央値は50円、平均値は92.2円で、引き上げ耐性は二極化している。
 産業別で、「許容できない」の比率が最も高かったのは農・林・漁・鉱業(24社中、8社)と金融・保険業(18社中、6社)の各33.3%。許容額「101円以上」が最も多かったのは、情報通信業の29.0%(124社中、36社)だった。

最低賃金引き上げ許容値幅

Q3.最低賃金の上昇に対して、貴社はどのような対策を実施、検討していますか?(複数回答)

◇対策は「価格転嫁」が最多の43.9%
 「商品やサービスの価格に転嫁する」の43.9%(5,354社中、2,351社)が最も多く、前回から4.8ポイント上昇した。
 また、「設備投資を実施して生産性を向上させる」は19.8%(1,064社、前回20.1%)で、ほぼ同水準だった。
 中長期的な視点が必要な設備投資より、価格転嫁で賃上げに対応する動きが大きくなっているようだ。一方で、「できる対策はない」は10.3%(552社)に達し、自助努力が限界の企業も少なくない。
 「その他」では、「AIの導入」(情報サービス業、資本金1億円未満)など。
 規模別では、「設備投資を実施」は大企業29.7%(373社中、111社)、中小企業19.1%(4,981社中、953社)で、大企業が10ポイント以上高かった。

対策は「価格転嫁」が最多の43.9%

Q4.政府は、最低賃金を2020年代に全国平均1,500円に引き上げる目標を掲げています。貴社は、あと4年以内に時給1,500円に引き上げることは可能ですか?(択一回答)

◇「不可能」が約4割
 最多は、「不可能」の39.3%(4,235社中、1,668社)で、約4割が最低賃金1,500円への
対応が困難と回答した。前回調査(2025年10月)は49.2%で9.9ポイント改善した。
 一方で、「すでに時給1,500円以上を達成」は22.7%(965社、前回17.3%)、「可能だ」は37.8%(1,602社、同33.3%)だった。
 産業別でみると、「すでに達成」は情報通信業の40.4%(245社中、99社)が最も高かった。「不可能だ」の比率が最大となったのは小売業で58.3%(228社中、133社)だった。

「不可能」が約4割

Q5.(「不可能だ」と回答した方へ)どのようにすれば可能になると思われますか?(複数回答)

◇「促進税制の拡充」が最多
 「不可能」と回答した企業のうち、1,473社から回答を得た。
 最多は「賃上げ促進税制の拡充」の48.7%(1,473社中、718
社)で約半数を占めた。
 次いで、「生産性向上に向けた投資への助成、税制優遇」の42.9%(633社)、「解雇規制の柔軟化」の31.9%(470社)と続く。
 たびたび議論に上がる解雇規制の緩和は、前回(27.5%)から4.4ポイント上昇。人員確保と賃上げの狭間で、人員の適正化への意識に変化がみられる。
 規模別でみると、「生産性向上に向けた投資への助成、税制優遇」は大企業で48.7%(82社中、40社)だったのに対して、中小企業では42.6%(1,391社中、593社)だった。

「促進税制の拡充」が最多

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