再編が進むホームセンター、キーワードは「1兆円」 ~ 統合や提携、共同購買やPB商品の取り組み ~
「成熟期」に入り成長が容易でないホームセンター業界で、統合や提携で競争力を高める動きが加速している。
業界団体の一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会の担当者は、ホームセンターを「1兆円企業がない業界」と指摘する。2025年度の単体売上高は、トップの(株)カインズ(埼玉県)が4,852億円(単体、以下同)、次いでコーナン商事(株)(大阪府)が4,404億円、DCM(株)(東京都)が4,203億円で追うが、大手3社とも4,000億円台にとどまっている。
業界としては、店舗が増えながら1店舗の売上効率が低下する「オーバーストア」状態で、大手各社は次の一手を巡りしのぎを削っている。
市場は停滞
東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約440万社)から主業種がホームセンターで、5期連続(最新期:2025年4月-2026年3月期)で決算比較が可能な48社を分析した。
2025年度の売上高伸長率は、±5%の企業が85.4%と8割を超えた。コロナ禍の「巣ごもり需要」の収束でドラスティックな変化が起こりにくい構図だ。
深刻なのが利益(最終利益)だ。2025年度はコスト増に加え、価格転嫁が進まずに、利益を3期前の2022年度(1,108億5,200万円)と比較すると最新期の2025年度(803億8,600万円)は27.4%減少した。こうした状況について、日本DIY・ホームセンター協会の担当者は「プライベートブランド(PB)の取り扱い品目の増加や共同仕入れで経費削減に対応している」と業界の動きを指摘する。利益の確保への取り組みが必要だ。

加速する経営統合
2025年度(2026年2月期決算)の売上高が2,803億円のアークランズ(株)(新潟県)は、同(2026年6月期決算)1,301億円の(株)ジョイフル本田(茨城県)との経営統合を予定している。両社が統合すると単純計算で売上高は4,104億円となり、(株)コメリ(新潟県)の3,741億円を抜いて業界4位に躍り出る。
一方で、業界全体での課題となっている利益の確保への取り組みについてジョイフル本田は、2026年5月に公表した決算補足資料で、統合で期待される効果の1つに共同仕入による「原価の低減」をあげている。また、PB商品の相互供給・販売で利益確保への取り組みを示し「日本一のホームセンター」(開示資料より)への進化を意気込む。
資本業務提携
売上高上位のコーナン商事は2026年2月、グループにホームセンター3社(売上高合計1,119億円)を持つ(株)バローホールディングス(岐阜県)との資本業務提携を発表した。両社の売上高は単純合計で5,523億円となり、業界トップのカインズを超える規模になる。
コーナン商事の担当者は、「共同仕入れは難しいが、プライベートブランドの相互供給を行っていく」と話し、今後それぞれの店舗でPB商品を展開する予定だ。
バローホールディングスは、スーパーマーケット事業が売上の半分以上を占めている。このため、「ホームセンターとスーパーでシナジー効果を狙う」(担当者)と狙いを語る。今後、提携などの方針について「機会とタイミング、同じ方向なら余地がある」(同)と意欲を示す。

DCMも2026年4月公表の決算説明資料で、「2030年までに売上高9,000億円を目指す」と積極的な展開を明らかにしている。
市場が停滞するホームセンター業界だが、ここにきて1兆円企業を目指す動きが活発になってきた。ただ、扱い商品は、食品と比べて回転が遅く、大型店舗では10万点の多品種商品を扱っている。それだけに在庫管理や仕入が独特で、新規参入が難しい反面、成長分野が分散しがちだ。
業界の特異な状況をカバーし、商圏を有効に生かす同業間の合併や統合に成長の可能性を求める動きが活発になっている。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年9月29日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)