「お弁当屋さん」の倒産、2年連続で過去最多へ ~ コメ価格下落と消費税引き下げもコスト高 ~
「お弁当屋さん」の倒産が急増している。2026年は8月までに83件に達し、これまで最多の2025年(1-12月)の89件超えが確実だ。コメ価格下落の兆しがみえ、食品の消費税率引き下げも控える。だが、肉や野菜などの食材や包装資材、電気・ガス料金の値上がり幅は大きく、経営の重しとなっている。さらに、コンビニ、フードデリバリーなどの競合も台頭し、環境は厳しさを増している。
お弁当屋さんはコメや鶏肉、小麦粉、食用油などの食材、ガスや電気などの光熱費、包装資材や人件費など、物価高の煽りで軒並みコストが上昇し、八方塞がりの状況が続く。
さらに、スーパーやコンビニ、宅配サービス、キッチンカーに加え、最近はドラッグストアも総菜分野に参入し、競合が多い。
2026年の倒産(83件)を地区別でみると、最多は関東の35件(構成比42.1%)と約4割を占める。次いで、近畿と九州が各10件(同12.0%)で競合がひしめく関東が突出する。ただ、物価高で値上げは理解されても、飲食店との差が縮小する。また、お弁当に求められる「割安感」を損なうことは、顧客離れを引き起こす恐れもある。
8月、靖国神社近くで「海苔弁いちのや」を経営していた(株)いちのや(TSRコード:380248719、東京都中央区)が事業を停止した。いちのやは、素材にこだわった高級海苔弁当が看板メニューで、百貨店にも弁当販売店を出店。テレビやSNSで取り上げられる人気店だったが、原材料や人件費の高騰、出店費用などが資金繰りを圧迫、7月31日で閉店した(一部フランチャイズは営業中)。
5月には深川めし弁当販売の(有)太郎(TSRコード:298068290、江東区)が東京地裁から破産開始決定を受けた。門前仲町駅近くで「深川太郎」を経営し、地元で親しまれていた。だが、コロナ禍の売上低迷から回復が遅れ、行き詰まった。
地元で愛されても、価格と質をアピールしながら採算を確保できないとお弁当屋さんの生き残りは難しい時代を迎えている。

大手の弁当チェーンは、セントラルキッチン方式で低価格を維持するが、小・零細規模の事業者はコスト上昇が直撃している。2026年の倒産を資本金別でみると、1千万円未満が67.4%と約7割を占めた。コメ価格の下落や消費税率引き下げは好材料ではあるが、それ以上のコスト上昇が追い打ちを掛け、資金力も乏しい小・零細規模のお弁当屋さんの生き残りはシビアな状況が続く。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年9月15日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)