「半導体関連メーカー」生成AI普及で業績好調 売上トップはキオクシア、TSMC日本子会社は売上高約143倍
~ 2026年「半導体関連メーカー」動向調査 ~
生成AIの普及やデータセンター向け需要拡大で、国内の主要半導体関連メーカーの業績が好調だ。
全国の主な「半導体関連メーカー」154社の2025年度業績は、売上高合計7兆9,115億円(前年度比17.1%増)、利益は7,125億円(同5.4%増)だった。売上高、利益ともに過去5年間で最高を記録した。
大容量・高速記憶装置(SSD)や最先端プロセッサなど、半導体需要の急増で追い風が吹いている。売上高トップのキオクシア(株)(TSRコード:024937533、東京都)など主要メーカーは、AIサーバー向け高付加価値製品の出荷が好調で、業績を大きく伸ばした。
2026年7月の「令和8年熊本地震」では、TSMC(DUNS:656122470、台湾)のグループ生産拠点や、周辺に集積するサプライヤー各社が操業停止などの影響を受けた。迅速な復旧で早期再開にこぎ着けた企業もあるが、まだ全面再開に至らない企業もあり、特殊ガス等の部材供給や周辺企業への影響には注意が必要だ。
東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約440万社)から、全国の主な半導体関連メーカー154社の2025年度業績を分析した。
売上高トップのキオクシア(株)は、AI普及に伴うデータセンター向け高機能SSDの需要を取り込み、前年度比38.5%増の増収で業界を牽引した。売上上位5社の売上合計が全体の約8割(79.1%)を占めており、半導体業界は大手数社の寡占化が加速している。
一方、利益は原材料費やエネルギーコストの高騰、人件費などへの対応で、二極化が鮮明になった。価格転嫁が難航する企業や汎用製品の需要低迷が重なり、4割以上(42.8%)の企業が減益に追い込まれるなど、好調業界でも明暗が分かれた。
※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約440万社)から、日本産業分類の集積回路製造業を対象に、2025年4月-2026年3月期を最新期(2025年度)とする5期連続で業績が判明した154社を抽出、分析した。
主な半導体関連メーカー154社 売上・利益が過去5年間で最高
全国の主要半導体関連メーカー154社の2025年度業績は、売上高合計が7兆9,115億円(前年度比17.1%増)、利益合計は7,125億円(同5.4%増)で、ともに過去5年で最高となった。
2021年度以降、デジタル需要の急成長や活発なスマホ・PC需要で拡大したが、需要が一巡した2023年度は減収減益となった。ただ、2025年度は生成AIの需要増に加え、NAND型フラッシュメモリの世界的な供給不足で販売単価の上昇などがあり、売上高を伸ばした。
一方、利益は2024年度に急伸長(同500.8%増)を遂げたが、2025年度はコスト上昇から前年度比5.4%増にとどまった。

売上高10億円以上が半数近くを占める
半導体関連メーカーの売上高分布は、最多が売上高1億円未満の36社(構成比23.3%)、次いで1億円以上5億円未満が35社(同22.7%)、10億円以上50億円未満が28社(同18.1%)の順だった。
売上高500億円以上は18社(同11.6%)で、前期(17社)より1社増えた。
売上高10億円以上が68社(同44.1%)と中堅以上が半数近くを占めた。多額の設備投資を伴うため、投下資本の効率化を図るには規模拡大が避けて通れない。
売上高伸長率は、10~100%未満が46社(構成比29.8%)で最多だった。次いで、▲10%未満が37社(同24.0%)、0~5%未満が27社(同17.5%)と続く。
売上高伸長率100%以上は3社(同1.9%)で、製造拠点の本格稼働などが要因だった。

損益別 黒字企業が7割、減益企業は4割超
2025年度の最終利益が黒字は、113社(構成比73.3%)だった。
黒字企業は、2024年度が107社(同69.4%)だったが、2025年度は6社増加した。
一方、黒字を維持したが、減益企業は66社(同42.8%)と4割を超えた。
半導体製造に不可欠なシリコンウエハ等の部材費や、特殊ガスなどの原材料費に加え、エネルギー価格高騰で工場の光熱費上昇、さらには深刻な人手不足に伴う人件費の急増が収益を直撃した。膨らんだコスト増を価格転嫁できない状況がうかがえる。

売上高ランキング AIの普及拡大を取り込み業績好調
売上高トップのキオクシア(株)は、旧東芝メモリ(株)を前身とするNAND型フラッシュメモリ生産を手がける。AIの急激な普及に伴う大容量・高速SSDの需要に加え、NAND型フラッシュメモリ販売単価の急騰や米エヌビディア(NVIDIA)関連の大容量SSDが好調だった。
2位のソニーセミコンダクタソリューションズ(株)は、積層型CMOSイメージセンサーで世界シェア第1位を保持。スマートフォン向け大口径化・高感度化に加え、車載・産業用カメラ向けセンシングの拡大が寄与した。
3位のルネサスエレクトロニクス(株)は、車載用マイクロコントローラ(MCU)分野で高いシェアを持つ。自動車の電子化・高度化や産業用機器・IoT向け半導体の需要を取り込んだ。
売上伸長率トップは、TSMC(台湾)の日本子会社Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(株)(TSRコード:693835427、熊本県)。初の通年稼働で売上高724億2,000万円をあげ、前年度比の伸長率は14240.5%増だった。本社工場の本格稼働および量産出荷が順調に進捗し、今後は先端・成熟プロセスの生産拠点として、車載・イメージセンサー分野等への安定供給を目指す。
