「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超
~ 2025年度「畳製造業」業績動向調査 ~
9月24日は 「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。
全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)、純利益合計は4億5,700万円(同49.3%増)だった。売上高は2023年度から3年連続の減収で、増収が81社(構成比31.6%)に対し、減収は136社(同53.1%)と半数を超えた。
「令和8年熊本地震」で大きな被害を受けた熊本県は、国内で生産される「いぐさ・畳表」の9割以上のシェアを誇る。例年、「いぐさ」の収穫を終えて製織や来年用の育苗時期にあたり、地震の影響が心配される。
「畳製造業」は業歴100年超の老舗企業58社(構成比22.6%)を含め、同50年以上が211社(同82.4%)を占める伝統産業だ。だが、生活様式の変化や畳職人の高齢化と後継者不足、安価な海外製品の流入など、マーケットは厳しさを増しており、畳製造業は生き残りをかけた転機を迎えている。
全国の主な「畳製造業」256社の売上高は、5億円未満が243社(同94.9%)で中小・零細業者が大半を占める。農林水産省の「特定作物統計調査」によると、令和7年産「いぐさ」の作付面積は前年比24%減で、収穫量も同27%減と原料の「いぐさ」の生産に陰りがみえる。
一方、2016年には地域の知的財産として国が登録・保護を行う「地理的表示(GI)保護制度」に、「くまもと県産いぐさ」「くまもと県産いぐさ畳表」が登録された。一大産地の熊本県を中心に畳のブランド力を守り、高齢化する事業者への対応など、畳製造業への支援が急がれる。
※ 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約440万社)から、2025年度の業績(2025年4月~2026年3月期)を最新期とし、 5期連続で業績が判明した256社を抽出、分析した。調査は今回がはじめて。
売上高・利益合計は減収増益
全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の業績は減収増益だったが、長期低迷が続く。
売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)、純利益合計は4億5,700万円(同49.3%増)だった。
2021年度と2025年度の売上高を比較すると6.3%減と低迷傾向が鮮明になっている。純利益合計は、2025年度は4億5,700万円まで回復したが、2023年度は2億円台に落ち込んでいた。

2025年の休廃業・解散件数は28件
過去10年の休廃業・解散と倒産を比較すると、休廃業・解散が高水準に張り付いている。
年により増減はあるが、2025年の休廃業・解散は28件、倒産は3件だった。
「畳製造業」を取り巻くマーケットの厳しさに伴って、市場退出を選択する企業は少なくない。

売上高5億円未満が9割超
売上高別では、1億円未満が195社(構成比76.1%)で最も多い。次いで、1億円以上5億円未満が48社(同18.7%)、5億円以上10億円未満が8社(同3.1%)で続く。売上高5億円未満の企業が9割以上を占め、小・零細規模の企業や家族経営で、地域に密着した企業が多くを占めている。
なお、集計対象に売上高100億円以上はなく、他業種との相違点にもなっている。

増収企業の比率が2.3ポイント減
売上高の増減収別では、2025年度は増収が81社(構成比31.6%)、減収は136社(同53.1%)だった。2024年度は増収が87社(同33.9%)、減収は136社(同53.1%)で、増収企業の比率が2.3ポイント減少した。

増益企業の比率が5.1ポイント減
利益面は、2025年度は増益が97社(構成比37.8%)、減益が116社(同45.3%)だった。
2024年度は増益が110社(同42.9%)、減益が113社(同44.1%)で、増益企業が5.1ポイント減少した。また、赤字企業が2025年度は97社(同37.8%)と4割近くを占め、2024年度の85社(同33.2%)から構成比が4.6ポイント上昇した。

業歴別 50年以上100年未満が約6割
業歴別では、50年以上100年未満が153社(構成比59.7%)でトップ。
次いで、100年以上が58社(同22.6%)、10年~50年未満が41社(同16.0%)、5年以上10年未満が3社(同1.1%)、5年未満は
1社(同0.3%)で、50年以上が82.4%を占めた。
極めて新規参入が少ない業界だが、代表者の年齢別は、判明した180社では、60歳代が67社(同26.1%)で最も多かった。次いで、50歳代が51社(同19.9%)、70歳代が35社(同13.6%)と続き、80歳以上も13社(同5.0%)ある。
40歳以下は14社(同5.4%)にとどまり、高齢の代表者が廃業を選択するか、事業承継する道を探るか、岐路に立たされている。
