• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

AIの広がりも影響、「デザイン業」倒産が14年ぶり高水準 ~ 2026年上半期は40件に急増 ~

 グラフィックデザインやインテリアデザインなど「デザイン業」の倒産(負債1千万円以上)が、急増している。
 2026年上半期(1-6月)の「デザイン業」の倒産は40件(前年同期比166.6%増)で、2012年同期の45件以来、14年ぶりに40件を超えた。
 AIの台頭やデザインソフトの浸透に加え、広告代理店やハウスメーカーなどのクライアント企業の不振が影響している。現在のペースをたどると、年間(1-12月)では2011年の80件を抜く可能性も出てきた。

デザイン業の倒産 件数推移



 40件の内訳をみると、負債1億円以上は2件(前年同期ゼロ)で、5千万円以上1億円未満8件(前年同期比300.0%増)、1千万円以上5千万円未満30件(同130.7%増)と小・零細規模が圧倒的に多い。
 従業員数でも、5人未満が36件(構成比90.0%)と9割を占める。
 倒産企業を分析すると、大きく3つのパターンに分類できる。

 1つ目は、顧客がデザインを内製化したことで受注不振に陥るケースだ。生成AIの普及でデザイン関連業務の短時間・低コスト化が可能となった。内製化を進むほど、苦境に直面するデザイン会社は多い。
 2つ目は、雑誌など紙媒体が主力の企業が、デジタルシフトで受注不振に陥るケースだ。コロナ禍を経て、SNS向けなどを中心にネット広告需要が拡大し、紙媒体がメインの企業がダメージを受けている。
 3つ目は、住宅の内装や家具などのインテリアデザインを手がける企業だ。ハウスメーカー(木造建築工事)の倒産が急増。その煽りで内装デザインを中心に手掛ける企業が、連鎖的に厳しい状況に追い込まれている。



 デザイン分野に限らず、AI活用が広がっている。独自性を打ち出せない企業は価格競争も劣勢に立たされ、こうした企業を中心に今後も淘汰が続くとみられる。一方で、AI利用は権利面を含め、生成された後の確認が欠かせず、怠ると発注元のレピュテーションにも繋がる。この点もフォローできるデザイン業者の存在感は増しそうだ。



(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年8月3日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

賃金上昇、従業員退職による倒産が過去最多 8月の「人手不足」倒産 8月では最多の32件

2026年8月の「人手不足」倒産は、32件(前年同月比39.1%増)だった。8月としては、前年の23件を大幅に上回り、最多を更新した。1-8月は333件(前年同期比38.7%増)で、年間最多ペースが続く。

2

  • TSRデータインサイト

出版業の倒産急増、利益も悪化傾向 ~ 存続に向けた書店との直取引、目指す姿と課題 ~

電子書籍が普及するなか、紙の書籍を主体に手掛ける老舗出版社を中心に、「出版業」の倒産(負債1,000万円以上)が急増している。 2026年1-7月の「出版業」の倒産は21件(前年同期比90.9%増)で、2019年同期の21件以来7年ぶりに20件を超えた。

3

  • TSRデータインサイト

「フィットネスクラブ」の倒産が過去最多を更新へ 1-8月は26件、市場拡大もレッドオーシャンの兆し

拡大するフィットネス市場で、「フィットネスクラブ」の倒産が急増している。2026年1-8月は26件(前年同期比160.0%増)と前年同期の2.6倍に達し、2023年同期の16件を抜いて過去最多を更新した。 現在のペースで推移すると、2026年は年間最多の2023年の27件を上回り、40件台も視野に入ってきた。

4

  • TSRデータインサイト

泥臭い再生支援と粉飾決算、銀行員の「違和感」~ 「実務家座談会」を開催(後編)~

(後編)事業再生に携わる金融機関は企業にどう向き合うのか。東京商工リサーチ(TSR)は、事業再生に携わる金融機関の担当者に、取り組みの現状や事例、特色、留意点などを聞いた。

5

  • TSRデータインサイト

「半導体関連メーカー」生成AI普及で業績好調 売上トップはキオクシア、TSMC日本子会社は売上高約143倍

生成AIの普及やデータセンター向け需要拡大で、国内の主要半導体関連メーカーの業績が好調だ。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約440万社)から、全国の主な半導体関連メーカー154社の2025年度業績を分析した。

TOPへ