翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~
AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。
専門用語への対応や微妙なニュアンス、表現力で真価を発揮し、巻き返すのか。そうした痒い所に手が届く翻訳すらAIが代替するのか。5期連続で業績比較が可能な翻訳業100社を東京商工リサーチが分析した。
翻訳業100社の2025年度(4-3月)の売上高合計は392億5,700万円、最終利益は9億200万円だった。2022年度と比べ売上高は9.7%減で、利益は70.7%減と大幅に落ち込んだ。2026年(1-8月)の翻訳業の倒産は、3件(前年同期1件)が判明している。2025年(1-12月)の休廃業・解散は50件(前年53件)で高止まりしている。
AI台頭による倒産も
2021年度からの5年間で、翻訳業100社の業績のピークは2022年度の売上高434億7,800万円、利益30億8,200万円だった。
その後、機械翻訳が急速に進化し、簡易的な文章は無料翻訳も可能になった。複雑な長文にも対応し、瞬時に変換する。翻訳の敷居が低くなり、価格競争は激化している。
2023年度から2025年度まで3期連続で減収減益を強いられ、2025年度の利益は9億200万円まで落ち込んだ。
2025年度は、100社のうち、減収50社、横ばい18社、増収32社と、半数が減収だった。利益も、減益47社、横ばい18社、増益35社と、半数近くが減益に追い込まれた。
倒産以外で事業を停止した休廃業・解散は、2019年に初めて30件台(33件)を突破し、2024年に53件、2025年も50件と高止まりしている。
倒産の年間件数は5件未満が続いていたが、コロナ禍の2020年に6件まで上昇した。2021年、2022年はコロナ関連支援で支えられてゼロと落ち着いたが、2026年は8月までで3件が判明、再び増勢の兆しもみせている。
2026年に倒産した首都圏の翻訳サービス会社は、関係者によると「従来から業況が思わしくなかったが、AI翻訳の台頭がとどめを刺した」という。最終的に破産を選択した。
AI翻訳は飛躍的に進歩した。だが、複雑な契約書面やニュアンス、専門分野では人力による翻訳や最終チェックが欠かせない。
AIと翻訳業は競合か、共生か。付加価値の創造を絡め、経営決断の時期が迫っている。
