• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「想定為替レート」 平均1ドル=151.4円 調査開始の2011年以降、初めて対ドル150円を突破

~ 上場主要メーカー 2027年3月期決算「想定為替レート」調査 ~


 歴史的な円安が加速する中、主な株式上場メーカー103社の2026年度決算(2027年3月期)の期首ドル想定為替レートは、1ドル=150円が60社(構成比58.2%)と約6割を占めた。
 平均値は1ドル=151.4円で前期に比べて9.8円の円安となった。調査を開始した2011年3月期首以降の16年間で、「想定為替レート」がドルに対し最安値を更新し、初めて150円を突破した。
 近年は円安ドル高が進行し、想定為替レートの平均値も円安が続いている。前期の期首は、円高への揺り戻しで4期ぶりの円高に振れたが、2026年は再び円安ドル高に転じ、多くの企業が想定為替レートを見直したことがわかった。

 2025年度(2025年4月~2026年3月)の円ドル相場は、期首に1ドル=140円台前半と近年の相場では円高水準でスタートした。その後、年度後半にかけ日米金利差が縮まらないとの見方が広がり、再び円安が加速。1ドル=150円台後半へ戻した。特に、2026年に入るとさらに円安が進み、年度末にかけて1ドル=160円に迫る水準で推移した。
 こうした動きを背景に、前期と比較して2026年度期首に想定為替レートを円安設定に見直した主要メーカーは99社のうち、97社(構成比97.9%)と大多数を占めた。
※ 本調査は、東京証券取引所に上場する主な電気機器、自動車関連、機械、精密機器メーカー(3月期決算企業)のうち、2026年度決算(2027年3月期)の期首想定為替レートを公表した103社について分析した。

想定為替レート 平均値は1ドル=151.4円、前期から約10円の円安ドル高

 主要上場メーカー103社の2027年3月期首の想定為替レートは、平均1ドル=151.4円で、前期(2026年3月期首、1ドル=141.6円)から約10円(9.8円)の円安となった。
 調査を開始した2011年3月期以降、これまで最安だった2025年3月期首の平均1ドル=143.5円を上回り、最安値を更新した。
 2011年3月期以降の16年間では、2013年3月期に1ドル=79.1円の最高値を記録した。近年は2022年以降、日米金利差やロシア・ウクライナ情勢などを背景に、円安ドル高の動きが続いている。前期は円安ドル高に一服感が出たが、2026年は再び想定為替レートは円安に振れた。

主要メーカー 期首ドル想定為替レート 推移

想定為替レート 1ドル=150円が最多で約6割

 2027年3月期首の想定為替レートは、103社のうち最多が1ドル=150円が60社で、約6割(構成比58.2%)を占めた。次いで、155円が24社(同23.3%)、153円と145円が各4社(同3.8%)と続く。150円と155円で8割以上(同81.5%)を占めた。
 前期(対象99社)と比較すると、2026年3月期首の想定為替レートは最多が1ドル=140円で49社(構成比49.4%)、次いで145円の29社(同29.2%)だった。ボリュームゾーンは10円の円安にシフトした。前期は1ドル=150円台は4社のみ、140円台が87社、130円台が8社だったが、2026年3月期首は1ドル=150円台が96社に増え、140円台が6社、130円台はゼロで、想定為替レートは円安ドル高に大きく振れた。
 2027年3月期首の想定為替レートの対ドル最安値は160円(1社)、最高値は140円(1社)で、20円の開きがあった。

主な上場メーカー 期首ドル想定為替レート分布 左:2026年3月期 右:2027年3月期

1年前からのレート変更 最多は「140円→150円」、円安シフトが97.9%

 前期との比較可能な99社のうち、想定為替レートの前期からの変更は、「140円→150円」のレート変更が31社(構成比31.3%)で最も多く、3割を占めた。次いで、「145円→150円」が18社(同18.1%)、「140円→155円」が9社(同9.0%)、「145円→155円」が5社(同5.0%)と続いた。   
 前期と比べて「円安へのシフト」が97社(構成比97.9%)と大半を占め、「変更なし」(据え置き)が2社(同2.0%)のみ、「円高へのシフト」はゼロだった。為替相場は前期首から円安に動いたほか、当面は円安基調が続くことを見越している企業が多い。
 また、前期からの乖離幅の最大は、円安に20円のシフト(135円→155円、1社)したケースだった。

2027年3月期 主な上場メーカー 期首ドル想定為替レート 前年同期変更状況



 円安ドル高が加速し、6月22日の円相場は一時、161円93銭を付け約40年ぶりの安値に迫った。
 電気機器、自動車関連、機械、精密機器関連などの輸出比率の高い大手メーカーは、円安が業績の押し上げ効果を生み、好業績に繋がっている。2027年3月期期首の「増収増益」は約6割に(59.2%)に達し、前期実績の52.4%を上回った。
 一方、行き過ぎた円安はコスト面に悪影響を及ぼしている。海外からの輸入に頼るエネルギー資源の高騰のほか、原材料、部品価格が上昇し、生産コストの負担増が避けられない状況だ。
 また、価格転嫁による吸収には限界があり、海外から調達依存度が高いメーカーや内需型のメーカーほどその影響は大きく、業績に二面性が生じている。

 東京商工リサーチが2026年6月に実施した「為替に関するアンケート調査」によると、望ましい為替レートは、全体で平均1ドル=136.8円だった。このうち、製造業で、かつ資本金1億円以上の大企業に絞ると、平均は1ドル=140.6円で、主要メーカーの今期の想定為替レートとは10円以上の乖離がある。
 行き過ぎた円安に対し、大手メーカーには一定の警戒感が生じている可能性もある。不透明な地政学リスクの上昇などが重なり、引き続き流動的な円相場が続くが、想定為替レートのブレが今後の業績見通しに大きな影響を与えるだけに、今後の動きが注目される。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

年度上半期の「人手不足」倒産 過去最多の240件 深刻な“賃上げ疲れ”、『賃上げ倒産』が1.7倍に増加

2026年度上半期(4-9月)の「人手不足」倒産は、240件(前年同期比17.0%増)と過去最多を記録した。コロナ禍の2021年度同期の26件を底に、5年連続で前年同期を上回った。調査を開始した2013年以降の年度上半期では、これまで最多だった前年同期(205件)を抜いて最多を更新した。

2

  • TSRデータインサイト

外国人「技能実習制度」認定取消しは累計754社 製造業と建設業で7割占める、ワーストは愛知県の46社

外国人技能実習制度で実習生を受け入れていた企業のうち、法令違反や不正などを理由に実習実施の認定取消処分を受ける企業が相次いでいる。 2017年11月の現行制度施行以降、累計754社にのぼり、2026年度も8月までに50社が公表され、前年度と同水準のペースで推移している。

3

  • TSRデータインサイト

再編が進むホームセンター、キーワードは「1兆円」 ~ 統合や提携、共同購買やPB商品の取り組み ~

ホームセンター業界で統合や提携で競争力を高める動きが加速している。店舗が増えながら1店舗の売上効率が低下する「オーバーストア」状態で、大手各社は次の一手を巡りしのぎを削っている。5期連続(最新期:2025年4月-2026年3月期)で決算比較が可能な48社を分析した

4

  • TSRデータインサイト

1-9月の上場企業「早期・希望退職募集」は22社 人数は5,345人、黒字企業が6割を超える

2026年1月-9月に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は22社(前年同期34社)、対象人数は5,345人(同1万1,909人)だった。社数は3割(35.2%)減少し、対象人数は半減(55.1%)した。

5

  • TSRデータインサイト

新型コロナ破たん、9月は133件発生

 9月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円未満含む)が133件判明し、2020年2月の第1号の発生から累計1万4,700件に達した。2026年は3月に162件と3カ月ぶりの150件超えを記録。しかし、4月は一転して150件を下回り、5月は119件で、2021年1月以来の120件割れとなった。

TOPへ