時計修理業の業績復調、思い入れと二次流通 ~ 時間とメンテナンスで価値向上 ~
思い入れのある時計をメンテナンスしながら長く愛用する。もしくは、ビンテージ価値の維持に向けたメンテナンスに勤(いそ)しむ。
高級腕時計の二次流通価格が高騰するなか、時計修理業者の業績が回復していることがわかった。
時計修理業者の業績は、コロナ禍の2021年を底に、落ち込んだが、翌年から業績は緩やかに回復している。そして、2025年は売上高が前年比7.7%増、最終利益は18.2%増と堅調に成長している。
価格高騰やスマートウォッチ台頭など、時計業界は激変しているが、機械式時計をオーバーホールしながら、大切な時計の維持、メンテナンスを支える時計修理業を分析した。
東京商工リサーチが保有する440万社の企業データベースを活用。主な時計修理業者のうち、7期の業績比較が可能な26社を抽出し、分析した。
コロナ禍前の2019年(1-12月)は、売上高は105億6,900万円、最終利益は2億4,600万円だった。コロナ禍の2020年は人流抑制などもあり、売上高は101億6,900万円(前年比3.7%減)、最終利益7,900万円(同67.8%減)と赤字寸前まで落ち込んだ。
その後、ロレックスなど高級時計の中古価格が急騰する一方で、スマートウォッチも普及した。それでも大切に使っている時計をオーバーホールし、ビンテージ価値の維持だけでなく、整備して長く愛用する時計愛好家は多い。そうした愛好家に支えられ、時計修理業は活況なようだ。
最新の2025年売上高は123億5,000万円(同7.7%増)、最終利益は3億3,100万円(18.2%増)と、成長を続けている。

オーバーホールの価値
高級時計のオーバーホール代金は10万円を超え、中堅時計でも5万円前後を要する。いまどきの時計の値段を考えると、日常使いの新しい時計が一本買える料金だ。それでもオーバーホールに出す価値を、時計愛好家は疑わない。
孫の代まで長く使える時計には、必要コストをいとわない。正確さでは電波時計、スマートウォッチにかなわないが、時計が示す時間は24時間で同じだ。時代ごとの出来事を唯一共有してきた腕時計への思い入れが、時計修理業界を支えているのだろう。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年6月18日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)