• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

2025年度の上場ゼネコン 集計以来、最高の利益率  価格転嫁と選別受注で収益強化

~ 2026年3月期決算「上場ゼネコン50社 業績動向」調査 ~
 主要上場ゼネコン50社の2025年度(2026年3月期:単体)は集計以来、過去最高の利益率となった。
 売上高合計は14兆981億円(前年度比0.1%増)で微増だったが、純利益合計は1兆309億円(同47.5%増)と1.4倍増となった。売上高が伸び悩む中、建材上昇分の価格転嫁や低採算工事の減少などで利益が大幅に改善、当期純利益率は7.3%と過去最高を更新した。
 2025年度の受注高は16兆5,388億円(同5.8%増)と堅調を持続した一方、期末繰越高は過去最高の24兆1,764億円(同10.1%増)に達した。中東情勢の影響や職人不足などで工事消化が追い付かず、工期の長期化や納期遅れなども懸念され、一段と収益を優先した選別受注を指向する可能性もある。

 主要50社のうち、増収増益は31社(構成比62.0%)と6割を超え、前年度と同様に50社すべてが黒字だった。増益は42社(同84.0%)と8割に達し、各社は堅調な受注環境を背景に、資材や人件費の高騰を吸収した。ただ、建設業の2025年度の倒産は2,047件(前期比5.3%増)と4年連続で増加し、価格転嫁が難しい中小の下請けを中心に、規模の格差が浮き彫りとなった。
※本調査は、2009年3月期から2026年3月期までの決算期を対象に、連続比較が可能な上場ゼネコン50社の単体ベースの業績(売上高・粗利益・営業利益・経常利益・当期純利益など)を集計、分析した。


売上高は微増も利益率は大幅改善
 上場ゼネコン50社の2025年度の売上高をまとめた。売上高は14兆981億円(前期比0.1%増)で集計開始以降、最高を更新した。
 利益は、売上総利益が1兆9,175億円(前期比24.4%増)、営業利益は1兆434億円(同43.2%増)、経常利益は1兆1,543億円(同46.4%増)、当期純利益は1兆309億円(同47.5%増)と、大幅に改善した。人件費や資材価格の上昇が続くなか、ゼネコン各社の利益率は大幅に改善し、より利益率の高い案件への選別が進んでいるとみられる。



「増収増益」企業が6割超 赤字決算は2年連続発生せず
  主な上場ゼネコン50社の2025年3月期決算の売上高と最終利益を前期と比較した。
 「増収増益」は31社(構成比62.0%)で最も多く、6割を超えた。次いで、「減収増益」が11社(同22.0%)、「減収減益」が6社(同12.0%)、「増収減益」が各2社(同4.0%)と続く。
 50社のうち、「増収」は33社(同66.0%)で7割に届かなかったが、「増益」は42社(同84.0%)と8割を超えた。「減益」は8社にとどまり、収益改善が進んだ。
 また、昨年度同様に、赤字を計上したゼネコンはなかった。



受注高 建築、土木ともに増加し過去最高
 2026年3月期の受注高は16兆5,388億円(前期比5.8%増)で、5期連続で前期を上回り、2009年の集計開始以来、初めて16兆円台に乗せた。
 工事種類別では、建築工事が10兆7,709億円(前期比6.0%増)、土木工事は5兆1,630億円(同3.8%増)で、いずれも前期を上回り、過去最高を更新した。
 期末繰越高は6期連続で増加し、24兆1,764億円(前期比10.1%増)と過去最高を更新した。未成工事が積み上がるなか、工期の長期化や納期遅れへの対応も急がれる。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

3

  • TSRデータインサイト

米穀卸、令和のコメ騒動で25年度の業績急伸 ~ 26年度はコメ価格下落で暗転へ ~

コメ価格の急騰や品不足で市場が混乱した「令和のコメ騒動」が過ぎ去った。コメを供給してきた米穀(米麦)卸売業は4期前と比べて売上高が約2倍、利益(最終利益)は4.5倍と、業績が急拡大したことが東京商工リサーチ(TSR)の調査でわかった。

4

  • TSRデータインサイト

「お弁当屋さん」の倒産、2年連続で過去最多へ ~ コメ価格下落と消費税引き下げもコスト高 ~

「お弁当屋さん」の倒産が急増している。2026年は8月までに83件に達し、これまで最多の2025年(1-12月)の89件超えが確実だ。コメ価格下落の兆しがみえ、食品の消費税率引き下げも控える。だが、肉や野菜などの食材や包装資材、電気・ガス料金の値上がり幅は大きく、経営の重しとなっている

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

TOPへ