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「ナフサ供給」 支障がある85.0% 製造業で40.4%が在庫積み増しに動く

~ 2026年6月 「ナフサなどの供給」に関するアンケート調査 ~


 ナフサやシンナーなど石油化学製品基礎原料の供給不安が広がっているが、在庫を積み増した企業は30.7%(5,707社中、1,757社)で、製造業では40.4%(1,600社中、647社)に達したことがわかった。中小企業が31.2%(5,307社中、1,661社)で大企業24.0%(400社中、96社)を上回った。 「調達量と価格のいずれか、または両方に支障がある」と回答した企業も85.0%(5,326社)に達し、ナフサなどの原料不足の影響が、幅広い産業に広がっている。ナフサ供給に関するアンケート調査は初めて実施した。
 東京商工リサーチ(TSR)は、ナフサに関する企業向けアンケートを6月上旬に実施した。供給不安の解消が見通せず、「目詰まり」が問題視されているが、事業継続のための防衛的な在庫積み増しが明らかになった。 
 
 政府は5月12日、「6月に必要な原油を確保できる見通し」と公表した。だが、「調達量と価格のいずれか、または両方に支障がある」と回答した企業は85.0%に達した。規模別では、大企業86.1%、中小企業85.0%と差がなかった。また、ナフサの目詰まりが問題になっているが、30.7%の企業が在庫を積み増したと回答した。企業が供給の先行き不安と事業継続の観点から、独自に在庫積み増しに動いていることがわかった。
 すでに中東情勢が一因の倒産、事業停止が発生し、先行きの不透明さから「あきらめ」倒産も起きている。目詰まり解消の目安を示すと同時に、早急な実態の把握と対策が求められる。

※本調査は、2026年6月1日~6月8日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答6,788社を集計・分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。ナフサ供給に関するアンケート調査は初めて。


Q1.ナフサなどの石油化学製品の原料について、政府は「日本全体で必要な量は確保できている」との見解です。現在、貴社が使用する石油化学製品の調達に支障はありますか?(単一回答)

■8割の企業が「支障がある」と回答
 最多は「調達量・価格ともに支障がある」の54.1%(6,259社中、3,390社)だった。以下、「調達量は問題ないが、価格は支障がある」の25.8%(1,617社)、「調達量に支障をきたしているが、価格は問題ない」の5.1%(319社)と続く。調達量・価格ともに問題ないと回答したのは14.9%(933社)にとどまった。
 規模別では、それぞれの設問で大企業と中小企業は3%以内の差にとどまり、影響は規模を問わず広がっている。
 「調達量に支障がある」と回答した業種別(中分類、分母10以上)では、トップは「自動車整備業」の86.7%(53社中、46社)だった。「価格に支障がある」のトップは「プラスチック製品製造業」の(111社中、111社)と「非鉄金属製造業」(34社中、34社)の各100.0%だった。

Q1.ナフサなどの石油化学製品の原料について、政府は「日本全体で必要な量は確保できている」との見解です。現在、貴社が使用する石油化学製品の調達に支障はありますか?

Q2.中東情勢の緊迫化(2026年2月末)以降、貴社は石油化学製品の在庫を積み増しましたか?数量ベースでご回答ください。(単一回答)

■30.7%が在庫を積み増した
 積み増したと回答した企業のうち、最多は「前年比1-20%程度増加させた」の22.2%(1,272社)だった。以下、「前年比21-40%程度増加させた」は6.2%(358社)、「前年比41-60%程度増加させた」1.3%と続く。
 規模別でみると、在庫を積み増した企業は中小企業で31.2%(5,307社中、1,661社)に対し、大企業では24.0%(400社中、96社)にとどまった。中小企業ほど、防衛的な在庫積み増しに動いているようだ。
 産業別では、製造業の40.4%(1,600社中、647社)が最も高かった。次いで、小売業の37.3%(340社中、127社)、卸売業の34.2%(1,080社中、370社)と続く。


 Q2.中東情勢の緊迫化(2026年2月末)以降、貴社は石油化学製品の在庫を積み増しましたか?数量ベースでご回答ください。

「前年比で増加させた」業種別

■非鉄金属製造業がトップ
 ナフサなどの在庫を「前年比で増加させた」もしくは「前年比で減少させた」企業を業種別(中分類、分母10以上)でみた。
 増加させた業種は、トップが「非鉄金属製造業」の53.1%(32社中、17社、次いで「ゴム製品製造業」の50.0%(22社中、11社)、「洗濯・理容・美容・浴場業」の47.3%(19社中、9社)と続く。
 洗濯洗剤やタイヤなどの製品は値上げや納品遅れが予想されている。生産が不安視されている業種で在庫の積み増しが行われている。
 一方、減少させた業種は、「娯楽業」13.3%(15社中、2社)、「自動車整備業」12.9%(54社中、7社)が続いた。

Q3.政府は5月、「6月に必要な原油を確保できる見通しが立つことから、第3弾の国家備蓄放出はしない」と公表しました。貴社はこの方針を支持しますか?(単一回答)

■支持・不支持分かれ、47.4%が「どちらともいえない」
 6,788社から回答を得た。最多は「どちらともいえない」が47.4%(3,220社)で、ほぼ半数だった。次いで、「ある程度支持する」23.8%(1,616社)、「あまり支持しない」13.4%(914社)と続く。半数が判断を避け、「大いに支持する」と「ある程度支持する」が合計30.5%に対し、「あまり支持しない」と「全く支持しない」は21.9%とだった。
 規模別では、大企業では「支持する」が28.1%、中小企業では30.7%と大差なく、「支持しない」は大企業で18.4%、中小企業で22.2%と僅かながら中小企業が上回った。
 産業別では、「支持する」が最も多いのは「情報通信業」の38.2%、「支持しない」が最も多いのは「小売業」の24.3%だった。

Q3.政府は5月、「6月に必要な原油を確保できる見通しが立つことから、第3弾の国家備蓄放出はしない」と公表しました。貴社はこの方針を支持しますか?



 今回のアンケート調査で、「調達量と価格のいずれか、または両方に支障がある」との回答が85.0%に達した。ナフサなど化学製品基礎原料の供給不安は、幅広い産業に広がっている。
 政府は、ナフサ不足は「供給の偏り」や「流通の目詰まり」が原因と説明するが、足元では企業の在庫積み増しが起こり、今回のアンケート調査では企業の30.7%が「積み増した」と回答した。特に、中小企業で在庫積み増しに動いていることがわかった。
 ナフサ不足の影響は、食品業界では包装フィルムをカラーから白黒に変更し、パスタを束ねるテープを無地にしている。
 また、建築・住宅資材メーカーではトイレ・ユニットバス・塩ビ管などに支障を起こし、医療現場でも注射器、点滴バッグ、手袋などに影響が出ている。ごみ袋の欠品では、指定外のごみ袋でのごみ出しを認めるなどの自治体もあり、消費者にも目に見える影響が出始めている。
 今後も多くの製品で値上げを誘発することが懸念されており、一日も早くナフサなど化学品基礎原料の不足を解消するスケジュールを打ち出すことが求められている。


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