• TSRデータインサイト

「歯科関連」倒産 20年間で最多の39件 診療報酬改定の効果と中東情勢の行方

~2025年度「歯科診療所」と「歯科技工所」の倒産動向~


 コンビニより多い歯医者が苦境に立たされている。2025年に「歯科診療所(歯医者)」と「歯科技工所」の倒産は、39件(前年度比56.0%増)と急増、2006年度以降の20年間で最多だった。

 元々、零細規模が多く、個人企業他を含む資本金1千万円未満が38件と全体の97.4%を占めた。
 倒産の内訳は、「歯科診療所」が31件(前年度比55.0%増)、「歯科技工所」 が8件(同60.0%増)だった。

 歯の治療や予防を行う「歯科診療所」、入れ歯や矯正器具などの製作・修理を手がける「歯科技工所」は、歯の健康を保つには欠かせず、両者は密接な関係にある。
 「歯科診療所」は6万6,378施設(2024年時点、厚労省)で、コンビニの5万6,149店舗(2026年2月時点、JFA)より多い。治療から予防・審美などニーズが広がるが、差別化には技術だけでなく、デジタルレントゲン、インプラント用機器など高額な投資も必要だ。さらに、後継者問題も避けられず、対応が遅れた「歯科診療所」の脱落は今後も増加が見込まれる。
 「歯科技工所」は、「歯科診療所」からの要請で歯科技工物を製作するが、原材料高騰で収益確保が難しく、低賃金につながりやすい。海外メーカーの台頭も追い打ちをかけ、人手不足にも見舞われている。
 2026年度(令和8年度)の診療報酬改定は、歯科技工士の確実な賃上げを目的に、歯科技工所ベースアップ支援料の新設や「歯科診療所」と「歯科技工所」の連携強化などが盛り込まれた。
 だが、昨今の貴金属の値動きや中東情勢で医療品等の供給状況によっては、診療報酬改定の効果を帳消しにすることも懸念されている。
※本調査は、日本産業分類(細分類)の「歯科診療所」と「歯科技工所」を抽出し、2006年度から2025年度までの倒産を集計、分析した。


「歯科診療所」と「歯科技工所」倒産 年度(4-3月) 件数・負債額推移



原因別:販売不振が32件(前年度比166.6%増、構成比82.0%)で最多。以下、既往のシワ寄せ5件(同±0.0%、同12.8%)。

資本金別:「個人企業他」が33件(同65.0%増、同84.6%)で最多。以下「5百万円以上1千万円未満」(同100.0%増、同5.1%)と「1百万円以上5百万円未満」(同33.3%減、同5.1%)が各2件、「1千万円以上5千万円未満」(前年度ゼロ、同2.5%)と「1百万円未満」(前年度比±0.0%、同2.5%)が各1件の順。

負債額別:最多は「1千万円以上5千万円未満」が24件(前年度比118.1%増、構成比61.5%)。 「1億円以上5億円未満」8件(同11.1%減、同20.5%)、「5千万円以上1億円未満」7件(同75.0%増、同17.9%)で、1億円未満が約8割。

従業員数別:「5人未満」が34件(同78.9%増、同87.1%)で最多。以下、「5人以上10人未満」3件(同40.0%減、同7.6%)、「10人以上20人未満」2件(前年度ゼロ、同5.1%)で、小規模事業者の倒産が目立つ。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「鰻の成瀬」、株式譲渡を巡り対立が表面化~ 仮処分決定と株主間契約 ~

うなぎ料理専門店「鰻の成瀬」のフランチャイズ(FC)やコンサルティングなどを手掛けるフランチャイズビジネスインキュベーション(株)(TSRコード:136729983、滋賀県、以下FBI社)の周辺が騒がしい

2

  • TSRデータインサイト

キーボード「FILCO」のダイヤテック、忸怩たる破産 ~ 為替デリバティブと需要減、綱渡りの資金繰り ~

パソコン用キーボード「FILCO(フィルコ)」で知られあるダイヤテック(株)(TSRコード:292026617、東京都)が負債2億円あまりを抱えて4月30日、破産開始決定を受けた。

3

  • TSRデータインサイト

役員報酬額 歴代最高の134億円「セブン&アイHD」デピント元取締役

(株)セブン&アイホールディングスのジョセフ・マイケル・デピント元取締役(2025年3月9日辞任)の2026年2月期の役員報酬額が、134億1,700万円と、過去最高額となった。5月20日に公表された有価証券報告書で判明した。

4

  • TSRデータインサイト

エステサロン、倒産が今年もハイペース ~1-4月は過去最多、高額契約は慎重に~

全身美容や脱毛などエステ・脱毛サロンの倒産が止まらない。2026年は4月までに35件に達し、同期間で過去最多だった2025年の31件を上回った。

5

  • TSRデータインサイト

サッカーW杯 日本代表を支える40社 売上1兆円以上8社 設立10年未満も

2026年6月11日、米国・カナダ・メキシコの3カ国共催で、史上最大規模のFIFAワールドカップが開幕する。5月15日、日本代表メンバー26名も発表され、関心が集まるなか、スポンサーシップやパートナーシップなど、サッカー日本代表・日本サッカー協会を支援する企業40社を調査した。

TOPへ